Number 12
吉祥寺カフェロシア

ロシアとグルジアの家庭の味。

「元々ひねくれてまして(笑)、いつもハリウッド映画でアメリカの敵として描かれるソ連に『実際そんなことないだろう』と、行ってみたんです」と、関谷シェフ。「社会主義的な、競争のない状況の中で作られた料理は実際美味しくなかったりもしたんですが、仲良くなった人間の家に招かれて食べたロシア、グルジア料理が美味しくて。心のこもった、おばあちゃんの作るピロシキは格別でした」。本当の美味しいロシア料理は、なかなか日本では食べられないという。「それこそ戦時中やその前後に大陸経由で満州を通して日本に伝わったりもして、土地ごとに手が加えられ、最終的にピロシキの中に春雨が入っちゃうような(笑)」。

帰国後六本木で約10年間レストランで働き、ソ連崩壊後再度ロシアへ。最初は無給で現地レストランで修行、最後はシェフ代理まで登り詰めた。「最初はできるわけないだろうって。そんなことしている日本人は、僕だけでした」。
ロシア料理の特徴を「美味いこと」と一言で言い表し、グルジア料理を、僻地だからこそ残った郷土性とスパイスがより効いた地中海料理の共存、というニュアンスで説明してくださった関谷さん。素材を活かすことも大切な要素の一つで「母親は決して料理は上手くなかったですが、化学調味料等を使わなかったおかげで、変な味を覚えずにすんだのが良かったと思います」。

日本に定着した"高くて美味しくない"ロシア料理の印象が嫌で、リーズナブルな価格で、純粋に美味しい料理を普通に楽しんでもらえる店にしたかったとのこと。取材の最中「いつも売切れでなかなか買えないのよ」と、ピロシキを買いに来た主婦の方の笑顔が印象的で、出来て一年半のお店「カフェ ロシア」は、すでに目標を達成しているのではないかと感じた。昔からロシアとグルジア、特にグルジアはお客を大事にすることにかけて今も自分達に誇りを持っている国民性があり、その国民性も料理に受け継がれているのではないだろうか。


吉祥寺 カフェ・ロシア
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-4-10 ナインビル B1F
電話番号:0422-23-3200
営業時間:11:30〜最後のお客様が帰られるまで(ラストオーダー22:00)
定休日:なし









手の込んだ料理が並ぶ前菜盛り合わせ。「毛皮のコートを着たにしん」の名前が素敵。
外から見えるキッチンで自在に調理する関谷シェフ。
パイの中でチーズがたっぷり溶けボリューム満点、美味しいハチャブリ。
何種類ものスパイスを潰し、3ヶ月間寝かせて発酵させて作るアジーカに鶏肉を漬け込んで焼く、タバカ。
期間限定のチェブラーシカの焼印が付いたピロシキ。かわいらしさと旨さが凝縮した一品。
食後バラのジャムを舐めながらいただく紅茶に幸福感。
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで、世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
33歳での酔狂なボクシング・プロテスト挑戦も、やっと11月に最終決着が見えてきた活性家。体調管理に気を遣う人生で最も規則正しい日々はmadfoot.jpのブログ"独壇場"にて報告中。