Number 25
中目黒 クイーンシーバ

飽きない大国エチオピア

「私自身、国に帰るたび色々旅行するようにしてるんですよ。どこも全然趣きが違ってね、エチオピアは飽きないんですよ」

最初は留学生として日本に来てから、30年。エチオピア料理専門店を開いて20年が経とうという店長ソロモンさんの、故郷についてのお言葉だ。中目黒の駅から山手通りを池尻方面に10分も歩くと左手に、角を地下に降りる階段が見えてくる、クイーン・シーバ。長い間そこにある、伝説の女王の名がつけられたレストランを目にし、好奇心をくすぐられた人も多いはず。

「うちに来るお客さんの90%にはまず、『エチオピアってなんなの?』というところから、始めなければならないんです」

苦笑いしながら、ソロモンさん。確かにすぐ国の場所が頭に浮かぶ人も少ないだろうし、思いつくとして裸足のマラソン走者アベベか、昭和天皇と交流も深かったセラシエ皇帝と、そしてその皇帝を神と仰ぐ、ラスタファリアン達の存在だろうか。国の長い歴史、文化に付随する食文化を支える食材を日本に仕入れるところからして、店を長年切り盛りしてきた苦労は計り知れない。

「元々エチオピア文化を紹介するため、まわりの人に言われる中で店を始めたんですが、仕入れとか、面倒臭いことばかりですよ(笑)。エチオピアは経済がうまくいってない部分があって、国のバックアップが期待できず、個人レベルで頑張るしかない。でもね、昔からエチオピアを知ってる日本の年輩の方が来てくれたりすると、嬉しいですよ。ヨーロッパやアメリカにはだいたい大きいエチオピア人のコミュニティがあって、それを海外で体験して、ここに来るお客さんも多いですね」

美人が多いことで知られ、何より人類発祥の地として、たくさんの宗教のルーツとして、どうしても僕等の存在そのものと切り離せない大国、エチオピア。「酸っぱい」と表現される、日本人にとってのお米にあたる"インジェラ"が、あなたにとってショックな味か、虜になる味か、まず一度は確かめてみることが必須です。


中目黒 クイーンシーバ
住所:東京都目黒区東山1-3-1
ネオアージュ中目黒B1
営業時間:17:00~23:00
定休日:なし


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エチオピアから持って来た装飾品で飾られた、雰囲気ある店内
ビーフのハーブ野菜炒め、ジルジルティブス。お皿も秀逸。
鉄分、カルシウムを含む、栄養価の高いティフから作られるインジェラ。国外で最も本場に近い味との評価を得るが、本来なら発酵まで3、4日のところ、湿度などの関係か、時に2週間かかる日本では微妙に味が変わると、味に厳しいソロモンさん。
コーヒー発祥の地なのも、エチオピアを語る上で大事なファクター。かなり美味いが、それも「まだ本国の70%です」とソロモンさん。
インドの芋入りとはまた違う、レンズ豆のサモサ。
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
皆既日食以上のピークのないまま夏も終わり、それ以上のピークがないまま今年いっぱい終えてしまいそうです、すべての運を使い果たしたか心配な日々はmadfoot.jp「独壇場」にて。