vol.58

GANT by Michael Bastian Special 2

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マイケル・バスティアン 自らが
コレクションについて解説します。

vol.55にて紹介した新ブランド〈ガント バイ マイケル バスティアン〉について、今回初来日したマイケル・バスティアンにインタビュー。日本についての印象から、ブランドスタートに至るまでの経緯、彼が見据えている今後の状況などについて熱く語っていただきました。ちょっとだけ来シーズン春夏の話もしてくれていますので、ぜひチェックをお忘れなく。

〈ガント バイ マイケル バスティアン〉がスタートするまで

ー日本は初めてとのことですが、印象はいかがですか?

マイケル・バスティアン(以下MB):最初はニューヨークとかなり違う都市だと思ってたのですが、実際に来てみると、カルチャーなども世界的に浸透していますし、みんなおしゃれな面は同じですし。似ている文化もあるなと思いました。

ー今回は東京だけの滞在ですか? 他にもどこか色々と廻る予定は?

MB:ないですね。東京だけです。

ーすでに東京では、どこかに行きましたか?

MB:昨日は、あんまり様子も分からないので、浅草観音と皇居のまわりと明治神宮に行きました。文化の日ということもありましたので、御神輿などが出ていましたね。あとはお寿司を食べました。とても観光客的なことをしましたよ。ニューヨークに来た人が、エンパイアステートビルに行ったり自由の女神を見に行ったりするのと同じように、観光的なことをしていました。

ー日本は楽しめていますか?

MB:お天気もいいし、東京はすごく好きです。ただ、とても楽しいのですが、タバコをよく吸うので...。

ーあっ、吸えない場所多いですからね。それでは本題に、初めて〈ガント〉社からお話をいただいたときの感想を聞かせてください。

MB:一年半前に、〈ガント〉社のアリ社長が電話をしてきて、「コーヒーでもいいから、カジュアルに話をしないか」という感じで誘われたのです。自分も小さい頃から〈ガント〉を着て育ったこともあって、ちなみに今回のカタログの中にも若かりし自分がシャツを着ている写真が登場するのですが、かなり馴染みのあるブランドではありました。ただ、ちょっと古いイメージのブランドで、現在はマーケット的に話題性もなくなっていた気がしたので、アリさんに現状がどうなっているのかを尋ねると、「〈ガント〉は1990年くらいに会社が変わり、イメージの立て直しを図っている」と説明されました。その後「コラボレーションしたいのですが、興味はありますか?」と聞かれましたが、自分のメインコレクションをやっていることもあり、そちらにかなり時間が掛かっているということ、自分は完璧主義者だからコレクションを完璧にするためにはスケジュールも必要だという理由で、その場ではお断りしました。そうすると〈ガント〉社の方々が、上層部の方々も一緒に再度来てくれて、「あなたの都合の良いようにスケジュールを合わせて、本社にいるデザイナーもニューヨークに飛ばすなど、すべてのアレンジをしますので、ぜひやってください」と提案してくれたので、承諾することにしました。色々やりはじめると、思ったよりもやりやすく、すごくうまくいっていますね。

ー最初はお断りしてるのですね。ちなみに、自分のシグネチャー ブランドと、〈ガント バイ マイケル バスティアン〉のイメージを分ける難しさを結構感じたりはしますか?

MB:最初仕事を依頼されたときに一番心配だったのは、どういう風に差別化するのかという点で、そこはすごく気になりました。バーグドルフ グッドマンのMDをしている際に、セカンドラインを展開しているデザイナーに巡り会ったとき、メインコレクションのお客様に安いものを出すのは失礼なことに当たるし、またセカンドラインのお客様にしても実は別に高いコレクションがあるということで、お互いのお客様の気持ちを意識すると複雑な心境でした。ただ、親として2人の子供がいるのと同じようなもので、〈マイケル バスティアン〉のメインラインは、生地感やデザインを含め、かなりこだわって高級感を出していますのでやや玄人向け、そういう面ではコンサバで、ある程度年齢を重ねた40代くらいの方に着てもらいたい。また〈ガント バイ マイケル バスティアン〉は大学を卒業したばかりの男の子たちが、ちゃんとした服装をして世間に出るための服。自分でどういった服を選ぶべきかなど、これから追求していく人に向けているということで、20~30歳くらいの人たちに着てもらいたい。その辺に違いを設けています。

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ストライプのワイドスプレッドシャツに
スウェットを重ねたセンス良いカジュアルスタイル。

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