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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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ハーバードに一人

2010.05.24

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 レナウンが中国の資本になるというニュースを週末に聞いた。ちょっと複雑な思いが胸によぎる。

 その昔1980年代のこの国はイケイケだった。土地はどんどん値上がりし、景気は空前。毎夜社交場では大金が飛び交い、何かタガが外れたような騒ぎだった。余ったお金で日本は海外の会社やビルをどんどん買った。当時、マンハッタンは日本に買われるのではないかというような恐怖を煽る記事がアメリカの新聞に掲載されたこともある。

 バブルは萎み、手にしていたビルや会社、美術品はどんどん売却されていった。残ったものはほぼ、ない。いまでは1980年以前に規模に経済が収縮していく過程にある。

 かわりに台頭してきたのが中国だ。東京の変な形のビルはほとんどが中国資本だって誰かが言っていた。紀伊国屋後の青ビルや原宿のアウディが入っているビルとか。たぶん80年代アメリカが感じた恐怖をいま東京が感じている。

 昔は力でのみ他の国を支配するしかなかったのに、いまではお金でなんとかなる。新しい時代の経済植民地化か。いずれにせよ、その時代、最も勢いのある国が弱い国を飲み込んでしまう。

 それがいいことか悪いことかはぼくには正直分からない。20年以上前に香港に行ったことがある。当時は中国よりも香港の方が自由だし、モノも豊かだった。イギリスの支配するミニ中国。どっちがいいのかは旅行者の感想より、住んでいる人たちに聞いた方がいいだろう。

 いずれにせよ日本はもうすべてがダウンサイジングの方向へ進んでいる。

 大前研一さんのコラムを読んだ。すこし引用しよう。

今年3月、米ハーバード大学のドルー・ファウスト学長が来日して、ハーバード大への日本人留学生の減少に懸念を表明した。今年の1年生のうち韓国人は 200人、中国人は300人いるのに、日本人はわずか一人だという。かつてアジア代表のように留学生を送り込んできた日本は一体どうしてしまったのか、と学長自ら奮起を促したわけだが、今時、ハーバードに受かる日本の高校生は皆無に等しいのが現実だ。

 これが現実だ。

 蓮舫議員ならどういうのだろうか。「別にハーバードでなくてもいいんじゃないですか。東大ではダメなんですか?」とでもいうのだろうか。

Comment: 1

確かに蓮舫議員ならそうおっしゃりそうですね(笑) 最高レベルを目指すことに意味があって、ダメだったとしても、そこに様々な波及効果が有形無形を問わずに生まれることに価値が見出せるのに、という気がします。

アメリカの大学院では、出身国によってコミュニティのようなものが出来ますが、確かに我々日本人のコミュニティは今思うと寂しかったですね。

知識面でもう学ぶものは少ないと見切ったのか、日本の大学におけるアジア人の留学生が減っている現実も気になります。一方で、彼らのカネの面での自信の強さ。

蔡さんのおっしゃる日本のダウンサイジングという現象が、色々な所に見えている気がします。

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