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田中恭平ELIMINATOR PRESS 代官山のセレクトショップ”ELIMINATOR”のPRESS。世界に一店舗だからこそ出来る事、世界に一店舗だからこそ言わなくてはいけないコアな情報や新たな価値観の提案を発信していけたらと思っています。www.eliminator.co.jp

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田中恭平
ELIMINATOR PRESS
代官山のセレクトショップ”ELIMINATOR”のPRESS。世界に一店舗だからこそ出来る事、世界に一店舗だからこそ言わなくてはいけないコアな情報や新たな価値観の提案を発信していけたらと思っています。

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Mr.RAF SIMONSインタビュー①/FANTASTIC MAN issue14

2012.01.13

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オランダ・アムステルダム発のファッションマガジン"FANTASTIC MAN" issue14にて
掲載されたRAF SIMONSのインタビューを七回に渡り本ブログにアップ致します。

はじめに
これらはすべてELIMINATORによる翻訳です。
翻訳の専門ではないものの、これまで知る事のなかった内容が多く含まれた貴重な記事でしたので、是非みなさまにもご紹介したく和訳致しました。出来る限りオリジナル文章に添った言葉を選んでおりますが手前どもの英語力の限界もあり、書き手の心情を加味し表す事が出来ない部分もございます。何卒、ご容赦の程、お願い申し上げます。

Fantastic Man
The Gentleman's Style Journal
Est.MMV
Issue No14
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5月のある晴れた日曜日、RAF SIMONSはベルギーのアントワープにある自宅にて昼食の支度中である。
「よし」。RAFが言う。「この料理はなんと呼べば良いのかな?どう思う?」。彼は前日に買った小さなサーモンの切り身を焼いている。そして彼は注意深く、皿にチコリの葉とレタスにトマト、少し火を通したピンク色のカクテルソースに覆われたエビと共にそれを盛りつけており、私達の間には2Lサイズのダイエットコークが置かれている。
 
このインタビューは、ミラノにて開催された2012SS JIL SANDERコレクションとパリにて開催されたRAF自身の2012SSコレクションの前に行われた。
 
「風変わりな一年になったよ」。RAFが言う。信じられない事だが2011AWショーの3日前に、彼のパートナーであり生産機能でもあるイタリアンカンパニーFUTURENETとの契約が突如終了、という事態に陥ったのである。これでは、開催場所を確保しているのも関わらずショーは出来ない。さらに販売するための商品はどこで作るのか? RAF SIMONSのショーは通常ではパリ・ファッションウィークのハイライトとも言える存在なのに!!これは過去10年の中で、初めての中止となるのか?
 
しかし奇跡的にショーは行われたのである。そして最大の評価を集めるというヴィクトリーを勝ち得たのである。2011AWシーズンのベストであると唱える人も多数、コレクションは新鮮にて力強い。そしてRAF SIMONSの初期の作品を思わせる"DEAD PRINCE COLLEGE"と命名されたコレクションは生産されるに至り、RAF SIMONSブランドは生き残った。しかし、これはデザイナー自身のたくましさなしでは実現出来なかった事である。
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「ショーの後、本当に気分が悪かった。そして落胆させられた」。RAFは語る。「落胆しない方がおかしいさ。でも今は全て順調だ。仕事は再度うまくつながっているし、現在にとても満足している。パリを再度インディペンデントなデザイナーとして今シーズン訪れることにすごくエキサイトしているところさ」。
 
15年前に彼の最初のコレクションを発表して以来RAF SIMONSはエクストリームであることを保持してきた。メンズウエア界にて彼は常に影響力を持ち、そして最小限に世間に従順である(ラディカルではあるが誰もついて来ることが出来ない程の破壊的なスタンスではないという意味)。2005年からレディースも含めたJIL SANDERブランドのデザイナーに就任した際には、彼はまだ"有名ではないデザイナー"であった。しかし、様々な媒体に取り上げられることでファッション界以外でも有名なデザイナーとなったのだが、今でも彼のシグニチャーブランドは世界で50店舗でしか販売されていないカルトなブランドである。「いくつかのショップは僕たちに花を贈りながらも賛美と共に販売する事を、イタリアンカンパニーとの関係の終了と共に止めてしまった」。彼は言う。
 
RAFは現在、金銭的な面での新たなパートナーを探している。
「でも急いではいないんだ」。RAFは語る。「まずはこの状況をリカバーすることから始めて新しいパートナーシップへと向かわないとね。僕は組織としても状況としても現在は非常に良い形だと思っている。それはJIL SANDERのような大きな会社との取り組みで学んだことが組織の構築には大きく影響している。もし君が十分なお金を持っていてデザイナーを雇いブランドを構築するとしても、マーケティングとマネージメント、そしてセールスまで含めた組織構造が正しくなければ仕事に向かうことは出来ないよ」。
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昼食を食べ終わった後にRAFは他のデザイナー達がそうであるように、彼のオウンブランド以外のデザイナーとしての仕事に関して、幾つかのメゾンからオファーされていた事を臆する事なく私に明かした。「何かファッション界のゴシップネタを知ってる?」。彼はそう聞いてくるので、幾つかの新しいネタを私はRAFに披露した。彼はこの会話に対して「内緒の話か...」。彼は一言のみを発した。これは私が持っているファッション界のゴシップネタに対して、業界のシステムが彼にも取り巻いている事での発言とも捉える事が出来る。
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「僕は僕自身の事に対してとてもオープンだよ。そして僕は僕のファミリーと言える人たちと仕事をしたいと思っている。僕は皆に対して解りにくい人には、なりたくないんだ」。RAFは語る。
「僕は過去15年に渡って蓄積した携帯の電話番号を消去することなく保持している。そして彼らは僕にいつでも電話出来る...。僕はウィーンにある大学のファッション学科の先生をしていた事があってね、その時の学生達なんかにも会いたいよね。時々僕のスタジオに電話してくる人なんかがいるけど僕自身が電話に出るとビックリするみたいだ」。チームとしての仕事にこだわり、他の人間の意見にオープンなスタンス。これは彼の仕事における重要なポイントであるようだ。「例えば共にショーの構成を考えるとき、僕はアシスタントやインターン達に意見を聞くのがとても好きなんだ」。RAFは語る。「そして彼らがどう考えるかは、コレクションを構築する際の非常に重要な要素でもある」。
 
他のスタッフ達の意見を聞く事なく物事を推し進めるのはトラブルの原因となる、というのがRAFの意見である。彼はDIORのデザイナーJOHN GALLIANOがSTEVEN ROBINSONを失ったことを例に挙げて語る。「STEPHENを失って彼はとても寂しかっただろう。ネットで彼が一人でバーに佇んでいる写真を見て僕はそう感じた。もし自分の身の回りの友人達を突然失ってしまったら究極の寂しさを味わう事となると思う」「RAFは寂しかったことはある?」「いやそういうことはない。僕は子供のままに成長してしまったから自分自身が好きなんだ。でも仕事の時には、常に仲間といる事が好きだよ」。

この続きはまた明日、本ブログにアップ致します。

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