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田中恭平ELIMINATOR PRESS 代官山のセレクトショップ”ELIMINATOR”のPRESS。世界に一店舗だからこそ出来る事、世界に一店舗だからこそ言わなくてはいけないコアな情報や新たな価値観の提案を発信していけたらと思っています。www.eliminator.co.jp

From MANCHESTER and LONDON to TOKYO

田中恭平
ELIMINATOR PRESS
代官山のセレクトショップ”ELIMINATOR”のPRESS。世界に一店舗だからこそ出来る事、世界に一店舗だからこそ言わなくてはいけないコアな情報や新たな価値観の提案を発信していけたらと思っています。

www.eliminator.co.jp

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UMBROやADIDASをセレクションする意味。

2013.11.29

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2013AW、ELIMINATORでは8年振りのUMBROコラボのリリースや、adidas Originalsのスニーカーをセレクションしていますが、今日は、「何故セレクションしているか?」の意味合いを知って頂きたいなと思いましてブログをアップします。このテキストを読んで、ブランドの見方や価値観が変わるきっかけになれれば幸いです。
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テキストは、ELIMINATOR創設メンバーであるMASAによるものです。

「THE TRUE REASON THAT WE SELL ADIDAS AND UMBRO」

私達エリミネイターが愛する英国メンズファッションは長い大英帝国の歴史の中で育まれてきた英国トラディショナルスタイルと、1950年代以降に若者を中心とするユース・カルチャーの影響下で生まれそして現在でも変革し続けるストリートスタイル、という大きな二つの流れがあります。
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デザイナーの机の上からではなく、ストリートの若者達から生まれたストリートスタイルでは、
モッズが着たテニス用ポロ、「フレッドペリー」。
スキンヘッズが履いたリハビリ用ブーツ、「ドクターマーチン」。
パンクスが着たバイク用レザージャケット、「ルイスレザーズ」etc...。
ユース・カルチャーの真っ只中でファッションをクリエートしてきた先人達は、それまでファッションとは無縁であった様々なブランドやアイテムを、それぞれのスタイルメイキングに欠かせないキーアイテムへとアップデートさせてきました。

そして、アディダス。シリアスなスポーツウエアブランドであると同時に、こちらも上記ブランド同様にユース・カルチャーの中で選ばれてきたファッションアイテムである、という2つの側面を併せ持つブランドとなったのですが、フレッドペリーやドクターマーチン、ルイスレザーズと異なるのは英国のブランドではないということ。インポートブランドであるアディダスは英国人にとって始めから特別であこがれの存在であった訳です。

80年代以降、ストリートスタイルをデザインアイデンティティーの中枢に持つヴィヴィアン・ウエストウッドなどのデザイナー達が活躍し始めると、ストリートスタイルはよりハイエンドで高尚なものへと変化していきました。そういった時代にスポーツブランド、アディダスはファッションアイテムへの進化を加速させました。ではなぜアディダスだったのか??? 話は1970年代末のマンチェスターへと遡ります。
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当時マンチェスターの熱狂的なサポーター達はある意味アウトオブファッション。自らが着る洋服はせいぜいフライトジャケットに履き古したジーンズ、そして安物のスニーカーといった程度のものでファッションに気を使っているとは到底呼べないレベルでした。しかし、当時開催されたサッカーワールドカップでヨーロッパの強豪、イタリアやフランスとの試合で相手方サポーターのスタイルにビックリ。。。 彼らはセルジオ・タッキーニやフィラなどのテニスウエアをクリーンかつ上品にアディダスやプーマのスニーカーを用いてコーディネートしていたのです。

これは明らかにサッカーの試合そのものとは別の部分での敗北でした。豪傑ではあるが、冴えないスタイルだったマンチェスター出身のサポーター達は見た目で負けていたのです。まずは見た目から勝たなければいけないと考えた彼らは自国のブランド、バーバリーそして英国に近しい存在であるスコットランドのニットウエアブランド、ライルアンドスコットなどのトラディショナルなアイテムにセルジオ・タッキーニやフィラ、そしてラコステといった上品なスポーツウエアを合わせる独自のコーディネートでヨーロッパ強豪チームにサポーターレベルで対抗したのです。

さらに80年代に入り、マンチェスター・ユナイテッドがチームウエアとしてアディダスを採用すると、彼らの足元は全てアディダスのシューズとなったのです。サッカー王国としての意地と誇りからスタートしたこのスタイルは「カジュアルズ」と呼ばれ、メンズファッションにおける大いなる革命という仰々しいまでの評判と共に注目を集めたそうです。アディダスを履く、そして身に纏うという行為は、後にカジュアルズが下火になってもマンチェスター・ユナイテッドがチームウエアとしての使用を続行したことで特別な意味を持つものとなっていったのです。
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そしてマンチェスターから遠く離れたロンドンでも同時派生的にアディダスへの注目は高まります。これはマンチェスターからの影響と共に、アメリカにおいてのヒップホップカルチャーとアディダスの繋がりへの興味も同時にあったようです。主に低所得者層の黒人が多かったアメリカのヒップホップミュージシャン達は成功の証として高級スポーツブランド、アディダスのアイテムを身に付けたのです。80年代に入り世界中でアディダスの認識が同時派生的に変わり始めました。

アディダスには "The brand with three stripes" というサブタイトルが付いており、日本訳すると「3本線のブランド」、つまり3本線でブランドを認識させる。。。 この究極ともいえるミニマムなブランド意匠はグラフィカルなイメージを重視した様々な80'Sスタイルとコーディネートされることとなり、それまでのスポーツウエアという認識とは異なるファッションアイテムとしての認識が世界中で広まっていきました。

80年代以降のユース・カルチャーシーンにはどこを切り取ってみてもアディダスが常にありました。そしてそれはこれからも変わらないでしょう。

ベーシックなスタイルでも3本線があるだけでスポーティーなイメージに見える!!! これこそアディダスの歴史がなせる技です。これはスポーツブランドとしての確かな技術によって世界の一級品であり続けたからこそ可能な世界規模のパブリックイメージであり、"The brand with three stripes" という誇り高きサブタイトルの重みであるとエリミネイターは考えます。ドイツブランドでありながらもUKスタイルはもちろん、様々なファッションカテゴリーにおいて時代を超えたベーシックであり続けてきたこと。そしてそれはこれからも変わらないであろうこと。。。 そういったアディダスへのリスペクトはエリミネイター創業当時から現在まで、そしてこれからも尽きることはありません。
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さらにエリミネイターではマンチェスターを拠点とする英国ブランド、アンブロも同じく英国で愛され続けるスポーツウエアとして創業当時から取り扱いをしています。

マンチェスターを拠点とするアンブロはサッカーウエアをメインとする、サッカー王国UKならではのブランド。インポートブランドであるアディダスとは異なり英国、とくにマンチェスターの日常に存在してきたブランドです。試しに貴方がマンチェスターへ旅行する機会があれば人混みで2〜3枚ほど写真を撮ってみて欲しい。。。 そこには必ずアンブロのダイヤロゴが写っているはずです。

現在ではファッションへのアプローチも盛んなアンブロですが、実はこれまでにユース・カルチャーシーンとの融合は皆無なブランド。ただサッカーが好きな事が当たり前である英国人にとって歴代のナショナルチームユニフォームを作製してきたアンブロは別格の存在。ハイエンドなものとしての別格ではなくアンブロ自体がUKの一部であり英国人としてアイデンティティーそのものなのです。
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スポーティーなスタイルをハイエンドなファッションへとアップデートした原動力となった80-90年代のマンチェスタームーブメント「マッドチェスター」は、アディダスがなければ成立しなかったでしょう。そして他方でアンブロというブランドが日常的にマンチェスターで愛されていなければスポーツウエアを日常着として着る文化はなかったでしょう。対極の存在とも言える二つのブランドは奇跡的な化学変化をマンチェスターで起こした訳です。

私達エリミネイターは英国を愛する日本人です。どこまで行っても英国人になることは出来ません。しかし、良い所もあり、悪い所もある英国への愛を、ファッションスタイルを通じて表現することは出来ます。ここに述べたアディダス、アンブロという対極にある二つのスポーツブランドはエリミネイターが創業当時から掲げるテーマ「マンチェスター AND ロンドン TO 東京」において重要な存在です。

偉大な歴史とまでは現段階では言えないかもしれません。しかし私達にとってはアディダス、アンブロがマンチェスターで作った80-90年代の歴史は、とても重要で大切で忘れがたい出来事なのです。創業当時からの双方へのブランド愛は尽きることはありません。そしてこの愛情を持ってセレクトしたアディダス、アンブロのアイテムは特別なものとして皆様の目に映ることでしょう。。。 そうであって欲しいと私達は願っています。


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