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川田十夢公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。https://twitter.com/cmrr_xxxhttp://alternativedesign.jp/

青雲、それは君が見た光。

川田十夢
公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。
https://twitter.com/cmrr_xxx
http://alternativedesign.jp/

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休日からはじまる点滴の味について

2012.05.08

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二度寝三度寝繰り返すたび、夢の色は薄れてゆく。それは疲労の色かも知れない。休んでいるうちに点滴の味を思い出した。

救急車で運ばれたことが二度三度ある。過労と診断された僕は、その度に点滴と絶対安静を命ぜられた。命ぜられようが、何だろうが。僕がそこまでする理由を、医者は知らない。そんな意味のわからないやつの命令をなぜ聞かなければならないのか。僕は脱走するように仕事場に戻り、点滴のまま仕事を続けた。メーカー勤務時代の話である。

会社からは「頼むから休んでくれ」と何度も言われた。僕は「頼むから働かせてくれ」と何度も頼んだ。取締役が、「責任は全部私が持つから彼の思う通りにやらせてみてくれ」と言ってくれた。点滴の針を抜いて一気に飲み干した。ポカリスエットを薄くしたような味だった。

やがてその仕事は、世界76カ国で稼動するシステムとなった。ミシンとインターネットをつなぐ特許となった。身を呈して僕に仕事をさせてくれた取締役に、やっと顔向けできると思った。彼は、僕を特別待遇で会社に入れてくれた人でもあった。最初から、僕には開発部屋とスタッフ数名を雇う予算が与えられていた。何も発明できないまま、数年が過ぎていた。焦っていた。それが、そこまでする理由だった。

二度寝三度寝繰り返すたび、夢の色は薄れてゆく。それは疲労の色かも知れない。休んでいるうちに点滴の味を思い出した。ポカリスエットを薄くしたような味だった。

Comments: 2

いまさらだけど、そのころの十夢さんに「おつかれさまでした&成功おめでとう!」を言いたい気分です。おつかれさまでした&成功おめでとうございます!

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