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Creator Blog

草彅洋平(東京ピストル)株式会社東京ピストル代表取締役1976年東京生まれ。あらゆるネタに対応、きわめて高い打率で人の会話に出塁することからついたあだ名は「トークのイチロー」。インテリア会社である株式会社イデー退社後、2006年株式会社東京ピストルを設立。ブランディングからプロモーション、紙からWEB媒体まで幅広く手がけるクリエイティブカンパニーの代表として、広告から書籍まで幅広く企画立案等を手がける次世代型編集者として活躍中。www.tokyopistol.com/

トークのイチロー就活日誌

草彅洋平(東京ピストル)
株式会社東京ピストル代表取締役
1976年東京生まれ。あらゆるネタに対応、きわめて高い打率で人の会話に出塁することからついたあだ名は「トークのイチロー」。インテリア会社である株式会社イデー退社後、2006年株式会社東京ピストルを設立。ブランディングからプロモーション、紙からWEB媒体まで幅広く手がけるクリエイティブカンパニーの代表として、広告から書籍まで幅広く企画立案等を手がける次世代型編集者として活躍中。
www.tokyopistol.com/

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いまの文学

2013.03.22

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僕の会社・東京ピストルが昨年9月にスタートさせたブックカフェならぬ文学カフェ「BUNDAN」が好調です。
各種メディアに取り上げられたこともあり、特に花見のシーズンも後押しして、時にはウェイティングになるくらい多くの人が連日訪れて
くれています。


IMG_7495.JPG

僕にとって面白いのはBUNDANを評価し、取り上げてくれるマスコミが雑誌やテレビばかりで、本に関係した雑誌、文芸誌が一冊もないことです。
そもそも彼らは文学に対する関心が紙にしかない、文化としての文学に一切興味がないようにすら僕には感じています。
BUNDANのWEBサイトも飲食のサイトには思えないほど非常にエッジの効いたポータルサイトにした(と僕が勝手に思っている)にも関わらず、出版・文学関係者の評価をあまり聞きません。
残念ながら現代ではそれだけ文学が終わっているのかもしれませんね。


もともとblinc vaseさんとの江戸川乱歩の眼鏡の復活プロジェクト乱歩メガネなどを始めとして、以前から僕は古い作家を現在に接続しようと考えていました。

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というのは文学の世界は古いものを守るばかりで、ちっとも面白くない。
いま大切なのは古い、しかしながら素晴らしい資産をどう活用するかであり、現在に接続しなければ意味がない、そう考えていたからこその、僕なりの小さなアプローチでした。
そもそも大きな文学館や老舗出版社がそうしたチャレンジをやらずに、小さな会社である東京ピストルが僕の熱意だけでコツコツと作家のプロダクトなどを発売し、文学の面白さを伝えたいと長年頑張るのがおかしな話なわけです。以前神保町にある老舗出版社にこちらから働きかけ、プレゼンに行ったときも、さんざんラフを作るだけ作らせて、「そんなもの売れるわけがない」の一言でご破算になったことがありました。
正直彼らが本当に文学を愛しているのか、文学の未来を考えているのか、僕からすると大いに疑問です。
もはや文学を取り巻く時代は70年代以降大きく変わってしまいました。
文学や詩はもはやオワコン。文学部が軒並み国際コミュニケーション学部などに改名され、読書離れが叫ばれる今、このままでは文学がどんどん離れていってしまうだけです。
いま大切なのは文学の素晴らしさを現代に伝え、カルチャーとしての文学を確立させること。
出版だけでなく、幅広い視野で文学を捉え直し、再編集すること。
それをできるのは既存の出版社にはもはや無理だろう、そう僕はいま肌身で感じています。

こうした僕の考えを応援してくれるように、連日お客様が訪れてくれることは大きな励みになります。
多様化する時代に文学を普及させ、魅力を伝えていく伝道師になること。
ゆっくりと時間をかけてBUNDANをそんなお店にしていきたい、そんな風に考えています。

さて、年明けに京都に出向いて、一澤信三郎頒布さんとコラボでBUNDAN用のバッグを作ってきました。

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作家・エッセイストである山口瞳(1926-95)が出かける際に愛用していた京都・一澤帆布(現・一澤信三郎帆布)のトートバッグの復刻です。
山口は一澤帆布をこよなく愛し、ボロボロになるまで使い込んでいました。
今回はそんなバッグを復刻し、いまの人に山口瞳を知ってもらおうと考えています。

桜の季節の間にBUNDANに、日本近代文学館に是非とも遊びに来て下さい。


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