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草彅洋平(東京ピストル)株式会社東京ピストル代表取締役1976年東京生まれ。あらゆるネタに対応、きわめて高い打率で人の会話に出塁することからついたあだ名は「トークのイチロー」。インテリア会社である株式会社イデー退社後、2006年株式会社東京ピストルを設立。ブランディングからプロモーション、紙からWEB媒体まで幅広く手がけるクリエイティブカンパニーの代表として、広告から書籍まで幅広く企画立案等を手がける次世代型編集者として活躍中。www.tokyopistol.com/

トークのイチロー就活日誌

草彅洋平(東京ピストル)
株式会社東京ピストル代表取締役
1976年東京生まれ。あらゆるネタに対応、きわめて高い打率で人の会話に出塁することからついたあだ名は「トークのイチロー」。インテリア会社である株式会社イデー退社後、2006年株式会社東京ピストルを設立。ブランディングからプロモーション、紙からWEB媒体まで幅広く手がけるクリエイティブカンパニーの代表として、広告から書籍まで幅広く企画立案等を手がける次世代型編集者として活躍中。
www.tokyopistol.com/

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クサナギ式付箋編集法

2013.08.18

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いま発売されている「BRUTUS」の今月号「あたらしいふるさとを、見つける旅 美しき村へ。」のブックインブック「おらが村新聞」の編集をマガジンハウス阿部太一さんから僕がご依頼受け、東京ピストルTOmagazineでコラボし、編集させてもらいました。

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これ、自分でいうのも何ですが、とてもよくできました。
本誌特集では紹介できなかった、小さな村のコネタをたくさん集めてさまざまな角度から見せることに成功しています。
是非コンビニ、書店で手に取ってご覧になって頂けると嬉しいですね。

さて、こちらの実際の作業に関しては、すさまじくタイトな編集スケジュールでした。
(おそらく普通の神経なら逃げ出してしまうレベル!?)
僕はこうした危機的状況に馴れているのでまったく動じないのですが、阿部さんのオーダーは大変レベルが高いので、それに応えていくにはたくさんの変更に対応できなければなりません。
納期的にも、いちいち細かくラフを制作していく余裕はゼロ。
そこで今回発明したのがクサナギ式付箋編集法なのでした。

まずこちらが川田くんが最初に書いてくれた通常のラフ。
IMG_9851.JPG

普通はこのように紙に鉛筆で筆記し、編集する台割イメージを構築していきます。
これを制作することは編集者が誌面をイメージする上でも大切な作業。
デザイナーに対する「指示書」の役割にもなり、丁寧な編集者ほど細かい仕様書を制作します。

しかしながら今回のようにどんどんと中身が変わっていったり、アイデアが出尽くしていない場合は、手書きの台割イメージを何度も書き直すことになってしまいます。
その作業が面倒な...いや大変なため、どうやったら手を抜けるだろうか...いや円滑に編集できるだろうか考える必要にせまられました。
そこで僕が考えた方法がこちら。

IMG_9850.JPG


まず必要なページ数分をホッチキスやクリップでとめて、土台をつくります。
紙は白紙ならどんなサイズでもオッケーです。

こちらは表紙です。
表題はタイトル固定なのでこちらは筆記。
大きな付箋は「企画」。
小さな付箋は「登場する人物・モノ」です。
今回は「村長サミット」という企画にこうした人物はどうだろうと貼ってみました。
全体にかかる注意は赤文字で書いておきます。

IMG_9845.JPG

黄色い付箋は「タイトル」。
赤い付箋は「コンテンツ」。
緑の付箋は「広告」です。
今回新聞のように誌面をみせる、というアイデアのため、広告風に記事を仕上げてみたりしています。

こんな風にしてどんどん中身のアイデアを貼っていきます。
付箋で編集すると驚くほど誌面が可視化され、内容を把握しやすくなります。
実際に誌面がどうなっているのか比較して見てみると面白いでしょう。

付箋編集の便利なところは変更があっても貼り直せば良いので入れ替わりが容易なところです。
また大量の情報を今回のように短時間でさばくのに向いています。

そもそも2年ほど前ロフトワーク林千晶代表取締役社長と僕で編集講座なる授業をやらせて頂いたとき、興味深かったのは林さんがやたら付箋を活用していたことです。
IT会社界隈でホワイトボードに付箋を組み合わせ、会議を円滑に行っているのはさまざまな企業に行ってお邪魔して周知していましたが、ロフトワークは特に付箋好きな印象です。
こちらのロフトワークのブログにブレインストーミングやファシリテーションの方法として付箋の活用方法が出ていましたが、付箋が自由に貼り直しができるため流動的な企画会議に活用しやすいということが一目分かります。

編集の世界はいまだに因習にとらわれやすく、「丁寧なラフをあげろ!」と編集長がどなっているのかもしれませんが、ある程度編集に馴れて来たらこちらの付箋方法でもう良いのではないか、と思いました。

今後編集者のみなさんの間で爆発的に流行する事を祈るのですが、その際は「クサナギ式付箋編集」©で、本を書きたいと思います。

ちなみに付箋好きな僕は最近実用新案登録をとりました。
いつも送られてくる契約書や不動産の書類に手書きで付箋に「ご捺印下さい」と書いてある。
あれって経理の人が大変なのではと思っていました。
そこではじめから印刷されている付箋を考案してみました。
これでみんなハッピーになること間違いなし!

こちらどこかの文房具関係者の方、一緒に作って販売してくれませんか?
出願番号は登録第3183609号です。
ご連絡をお待ちしています。

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