おっぱいの話(前編)
2012.01.27
ああ、気がつけば1月も25日を過ぎてしまった。もはやむしろ2月ではないか。でもしょうがない、今年初めてなのだから。勇気を出して言おう。
高らかに冬の空に告げよう。ソレ!
あけましておめでとうございます。
どうもすみません。そしてさらにおそろしいことに、いまからおれは年末の話を書こうとしている。というか、書く。
大晦日から3日ほど、修善寺温泉に行った。
実家のオカンのおごりで、大阪の南部に住む弟一家と総勢10名で。オカンは年金生活だが、おれと弟をときおり旅行に招待してくれる。オカンよありがとう。そしてすまぬ、息子がいい年して不甲斐なくて。おれから返すのはせいぜい母の日プレゼントと誕生日とお中元・お歳暮。鉢植えとおしゃれ小物とビール。
オカンに植物を育てる才能があるのか、おれの実家のある京都府宇治市が植物の生育に適した気候なのか、鉢植えどもはベランダで半ばジャングルのようになっている。たまに帰省してジャングルを見るたび、鉢植えに疑問を抱く。だがまた結局鉢植えを贈るのだ。なかなかルーティーンを壊すことは難しい。
ともあれ。
ビュッフェスタイルの晩ごはんを終え、子どもたちは「卓球してくるー」とどこかへ走り去り、おれたち大人たちはゆるゆる酒を飲んで、デザートのおかわりを何度も繰り返しながら、なんてことはない話をしていた。どんな話題かを書いた方が「なんてことはない感」は一層伝わると思うのだが、全然覚えてないのだ。そのくらいなんてことない話だった次第。
でもまあそれでいいじゃないか、大晦日なんだもの。あと3時間ぐらいで新しい年がやってくる。
話をしながら、おれの脳内に流れていたのは、これとかこれとかこれとか。つまりはチルアウト感にどっぷり浸かっていたのだ。2011年というまあまあ大きなイベントの終わりの時間ですわな。
と、そこに隣のテーブルからポーンと、おっぱいの話が飛び込んできた。
「ワタシ、完全母乳目指してたんだ〜」と。
アニエスベーっぽい黒白ボーダーの女子。女子というかママだろう。女子とママの両立だ。そんなカワイコちゃんが「昔、アパレルのプレス目指してたんだ〜」とか言うようなテンションで「母乳」を語る。
向かいに座った妊婦(たぶんいとこか何かだろう)に「完全母乳の大変さ」とか「完全母乳のすばらしさ」とか「完全母乳で私はこう変わった」とかをレクチャーしている。
ええい、うるさーい。
おれだって2児の父だ。
乳飲み子を持つお母さんの大変さはよく知ってる。アニエスが「完全母乳を目指すこと」に関しては何も言わない......まあ言われても困るだろうけど。
でも、猛々しく主張するのはやめてほしいのだ。普段ならべつにいいですけど、大晦日の修善寺のホテルのダイニングで午後10時過ぎに主張されるのはどうでしょう。
あとは静かに新年を迎えるだけ、なのになぜおっぱいについて啓蒙されねばならないのだろうか。今、このタイミングでそういう刺激的な新しい情報は要らんのだ。さっきも書いたけれどチルアウトなのだよ。何を突然アッパーなキラーチューンをぶち込んでくるのだ。
お米がおっぱいの出にいいとか、なんかそういう......。
そんなふうに2011年はおっぱいで暮れた。
......と、ここまでは、1月5日ごろの時点ですでに書けていた(ホントだよ!)。
要は、「せっかくのチルアウト中に啓蒙するな」っていうテーマ。
「大晦日の完全母乳」に関してはそれでよかったのだが、この件をきっかけに、前々からあった、ある非常に素朴な疑問がおれのなかに甦ってきた。
つまり、「おっぱいとかのことって、フツーに語っていいの?」みたいなこと。
(つづく)
※コメントは承認されるまで公開されません。