沖縄に行った。もう40日も前のことだけど。
2012.03.29
沖縄に行った。もう40日も前のことだけど。
ANAを飛ばし、屋根全開でボルボの古いオープンを駆り、オリオンビールをプシュッとやり、ソナチネの魚を喰らい、氷の入ったグラスに古酒を注いでかき混ぜ、島の娘たちと談笑し、またかき混ぜ、早朝から植物に寄生されたバス停とコバルトブルーの運河を眺め、雨の中を屋根全開でボルボの古いオープンを駆り、市民球場をうろつき、監督と語り、サーロイン300グラムを喰らい、市場をさまよい、ラー油と豚肉とグラスを買い、写真家推奨の「おばあちゃんがひとりで造ってる」泡盛を840円で買い、海を見に行き、飛行機の時間が危うくなり、見に行くのを取りやめ、古いボルボのオープンを爆走させ、後部座席で風雨に晒され、離陸7分前の便にチェックインし、京急でVISVIMのリュックからコートを取り出し、JRのホームで着た。
まったくもって不思議だ。
島の娘とはとても深く語り合ったし、卒業旅行の地味な女子大生たちも観察した。スポーツ紙の記者同士の、業界ならではのトークも耳にし、普段とは違うさまざまな知らない人たちの話を聞いた。つまるところ、「見知らぬあなた」だらけだったのだが。
なーんも覚えていない。
ああ、沖縄。
『沖縄じゃらん』のフェイスブックを「いいね」して、沖縄で買ったのと同じ銘柄の泡盛を近所のビックカメラで買って飲み、市場の"おばぁ"を思い出す。
折りたたみテーブルの上によくわからん野菜を3〜4袋載せてたおばあ。あるいは天ぷらっぽいものをビニール袋に入れて売ってた"おばあ"。沖縄にはそんな"おばあ"がザックザクいた。とにかく沖縄に移り住んだら、なんとか死なずに暮らしていくことができるのではないかと、うすーく考えてみたりもした。
あ、放射能とかそういう問題とは関係ないですよ。ひたすら快楽のため。
でも暮らし始めると、それが普通になるのだろうな。
うっとうしかったりめんどくさかったりする都市での日々があるから、楽園に逃げたくなるのであって、楽園が日常になったら飽きるのではないか。
ん? いや、ちょっと違うな。根本的に言ってることがめちゃくちゃではないのか。おれは、どうしたいのだ?
市場でわからんもんを売って、気ィよく生きてるおばあみたいになりたいのか。
あるいは、毎日ウマイ沖縄料理の店に行き、島の娘たちと談笑したりかきまぜたりしたいのか。
ううむ。
そうかそうか。
おそろしいことにどうやらおれの脳内では、前者と後者が都合よくハイブリッドされていたようだ。
つまり、市場でぼんやり1日過ごしながら、夜になるとウマイ料理と島の娘を求めるという......。
「なんとか死なずに暮らす」と「酒池肉林」の両立。
あり得ない。
東京でいろいろ澱がたまったり枷がはめられたりすると同時にマニーも頂戴しているわけで、それらを携えてイイのだ。「うっとうしい」とか「めんどくさい」とかいう重荷みたいなヤツがあって初めて、そいつらが払拭されたときにスッキリするのではないのか。もともとなーんもなければ、少なくとも払拭される快感を得ることもできないのである。まあ「もともとなんもない」を求めて、そういう生活を目指すのが、いわゆる「スロー」な考え方なのかもしれないけど。
"ふと立ち止まって幸せだなあと思う"みたいなオトナっぽい生き方は、おれにはまだ無理だな。
グダグダ書いたわりに、ごく当たり前の結論でなんなんですが、適当にいろいろたまったら行く、っていうのがもっとも適当ですね、沖縄。調べてみると「沖縄1泊4日」とかいうツアーもあるし。航空券に1日だけホテルが付いてて、あとは木賃宿とかに好きなように泊まれというような。
あ。
しまった。今回は「ビズビム VS おれ」という話を書く予定だったのに......。しかも、「すぐ書く」とか宣言していたのに。
おまけに、次回も「ビズビム VS おれ」ではないのである。
次回「オッサンの門」。近日アップ予定!(ホントだよ)
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