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Interview with Grimes グライムス 〜幼さの中に秘めたプロデューサーとしての強さ〜

2012.10.15

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自らのPCにデフォルトで入っていた音楽ソフト「GarageBand」を用いて制作したアルバム『Visions』が噂となり、瞬く間にインディ・ミュージック界の新たな歌姫として脚光を浴びることとなったGrimes。アーティスティックでカリスマ的な存在として崇められることも多い彼女だが、幼さの残る笑顔の奥にはプロデューサーとしての芯の強さが垣間見えた。

Photo_Ryosuke Kikuchi
Interview&Text_Mariko Mizukami
Edit_Yohei Kawada

Grimes グライムス
本名クレア・バウチャー。カナダ・バンクーバーを拠点に、独学で作曲を学び、宅録で作品を作り始める。これまでに自主レーベルからスプリット作を含む計3枚のアルバムをリリース。4枚目となるアルバム『Visions』からは英の名門「4AD」に移籍し、NME誌で「最もエキサイティングな新人2012」の1位に選出。サマーソニック2012では待望の初来日も果たした。

「ヤバい」なんて思ってストレス溜まるのは超ナンセンスよ。

-自身の音楽的なバックグラウンドを教えてください。

グライムス: 音楽を作り始めたのは、2年前ね。ここまであっという間だったわ。初めて音楽に触れたのは14年前で、小さい頃にバイオリンのレッスンを受けたことがあったんだけど。教えてくれていた先生が私の母親に「ヘタクソだ」と言っていたのを耳にして、音楽をやめようと本気で思ったわ。バイオリンは本当に向いてなかったの。

-では、どういった経緯で、今のスタイルで音楽を作ることになったのでしょうか。

グライムス: バイオリンのレッスンを受けた頃から10数年経っていたし、音楽を作るとしたら、間違いなくエレクトロミュージックだとずっと思っていたわ。楽器を演奏するのは得意じゃないしね。何より、音をいじって遊んで録音するのが好きだったの。それ以来、楽器なんていらない、パソコンのソフトやサンプラー、キーボード、そういうのがあれば十分だと思ったのよ。

-いわゆる"宅録ミュージシャン"としての利点をどう捉えていますか?

グライムス: 単純に、制作環境としてタダでしょ。スタジオに入って6時間もいれば400ドル近くかかるわ。それで、「ヤバい」なんて思ってストレスを溜めるのは超ナンセンス。スタジオに無理を言う訳でもなく、自分のペースで仕事ができるのが利点よ。お金もかからず、自由に仕事ができること。思う存分、時間を割ける。それが私にとっては本当に重要なの。

-具体的には制作はどのようなプロセスで行っているのでしょうか? また、自身の音楽のインスピレーションソースとなるようなものがあれば教えてください。

グライムス: いつもドラムから作り始めるわ。まず、「あ、この音だ!」って思える良いビートを見つけることから。そういうのは感覚的に分かるものね。時と場合によるけれど、デモだけだと8時間くらいかかるし、編集をするまでには1ヶ月くらいかかることもあるわ。何か影響を受けるようなものはいろいろあるけど、じつは日本のアーティストの音楽もよく聴いていて。エクスペリメンタルなジャンルと言えばいいのかしら、例えば、菅野よう子さんとか、浦井健治さんとか。

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-それはすごく意外ですね。あなたが小さい頃から影響を受けてきたアーティストが気になりますね。また、今あなたがよく聴いているアーティストについても教えてください。

グライムス: 本当に好きなのはヒップホップ。ほかには、Burialみたいなダークなダブステップ。歌モノだとやっぱり、EnyaとかTLC、Mariah Careyあたりは好んで聴いてきたわ。今のブームは、メタルとハードコア、あとはインダストリアル。そういうアグレッシブな音楽にハマってるの。何でかって聞かれても、それはよく分からないわ。

-あなたの音楽から想像できそうな部分もあれば、そうでない部分もありますね...

グライムス: 自分の音楽には、ポップ・ミュージックのエッセンスを沢山取り入れているの。TLCは大好きだけれど、彼女達の音楽とアンダーグラウンドな音楽をミックスさせるのがカッコイイと思うわ。例えば、TLCとAphex Twinがコラボしたら、きっとすごいでしょ。BurialとValley Gordonがコラボしたらそれも、やはりすごいと思う。そういう完璧なコラボレーションを頭の中でイメージしながら自分の音楽を作るの。まったく異なる音楽の掛け合わせがいいわ。そういうのは今まで誰もやったことがないから。

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