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渋谷慶一郎×太田莉菜×伊藤直樹×清水幹太 スペシャル座談

2012.02.15

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©Shin Suzuki
「人間と環境とか言ってて、まったくエコに走らないのがいい(笑)」

―渋谷さんと太田さんはこの技術を今日初めて知ったのですか?

太田:わたしは今さっき...(笑)。そもそも、スタジオに山があるというのを知ったのも一昨日で。

―渋谷さんも?

渋谷:なかなか教えてくれなくて(笑)。

伊藤・清水:はははは!

渋谷:やっと知れると思ったら打ち合わせも突然キャンセルになったりしてという謎な展開が何度かあったりして。

清水:そこがまさに、微妙に引き返そうとしているタイミングで。伊藤さんと2人で技術的な駆け引きをしていたタイミングですよね。

渋谷:いちばんおかしかったのは、どんなことをやるのかは教えてもらってないのに、共有してるスケジュール表には「柏工場視察」とか「光ファイバー服完成」とか書いてあるわけ(笑)。要するに、何をやるのか僕らは知らされていないままスケジュールは共有しているという。

伊藤:そこは無理を言わせてもらって。CM撮影とか、通常の進行じゃ完全にあり得ない。事務所の方も怒っちゃいますね(笑)。

太田:今頃もうズタボロですよ(笑)。

渋谷:だって莉菜ちゃんの衣装だって元々は20mある予定だったんでしょ?

太田:そうですよ。もうすでに大分ちぎられましたけど。ぼろぼろのテント着てるみたい(笑)。20mって聞いてたから、けっこう楽しみに現場来てみたら、「山!?」みたいな(笑)。

―驚きますよね。

太田:最初はでも、スタジオに来て絵コンテで「太田さんは山の中に入ってるんです」って説明されて、「山の中に入ってる?」って。

伊藤:ははは。

清水:山ですからねぇ。

太田:本当にPVに関しては、コンセプトもどういうことになっているか一切聞いてなかったので...。でも、渋谷さんはお2人のことを完全に信頼している様子だったし、私も心配はなく楽しみにして来てみたら、光ファイバーの光もすごく綺麗で。

渋谷:5年くらい前に、僕もインスタレーションで使おうと思って、東大のベンチャーの光ファイバーの会社に見に行ったことがあったんですよね。でも、結局僕はそのときは使わなかったんです。だから、今回それを使うと聞いてすごく楽しみにしてたんです。

太田:光ファイバーって、よく聞くけど何がスゴいんですか...(笑)?

伊藤:本来の用途は全然違うんです。

清水:通信なんかでよく使われているんで、インターネットとか。装飾に使われるとしても、先端だけピカピカ光るとか、よくクリスマスツリーとかにあるアレですね。流れているように使うというのはあまり聞いたことがないですよね。

伊藤:おそらくないですよね。その用途は。

太田:じゃあ、あの細い管のなかに光が入っているということなんですね。

伊藤:そう、それで先ほどモニターで見せた光の球をソウトウェアで動かしているんです。そうすると管がシャカシャカなって光が流れているように見えるんです。要は目の錯覚です。

太田:やっぱりスゴい...(笑)。

―ちなみに、楽曲を聞いてPVのコンセプトを決めていったということなんですが、そのPVの内容というのをお聞きしてもよろしいですか?

伊藤:基本は、環境と人間の身体が一体化して、ほぼ最後には果てていくというのがざっくりとしたコンセプトなんです。だから、さっき話に出た20mの衣装と環境を一体化させて、というのが最初にあったのですが、それだけだとなんだかちゃっちいなと。それは何故かというと、当初は流体感を血液で表現しようと思っていたのですけれど、それがなかなか上手くいかなかったんですよ。それならば、ランドスケープに切り替えてやっていった方がいいんじゃないかとなって、僕が正月に行ったニセコに感化されて、雪山ということになったんです(笑)。試してみたら、すごくしっくりきて。

―かなり作り込んでますよね。

伊藤:シフトレンズといって、いわゆる、ピンがぼけるレンズを使って狭いフォーカスでやると、空撮みたいな画になるんですよ。さらに、そこに突然人間が現れたらサプライズにもなるだろうし。環境と人間が一体化しているというのが一発で分かりますしね。なんか、寝ているときのシーツって遠くから見ると山に見えることってあるじゃないですか? そういう人の原風景も使えるからいいかなと。

渋谷:人間と環境とか言ってて、まったくエコに走らないのがいいですよね(笑)。

伊藤:そうそうそう、真逆だからね(笑)。あとは、もともと渋谷さんが曲づくりをしていた歌詞やテーマに、ある程度忠実に向かってるかなと。

清水:溶けていくということですね。

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