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SILENT POETS×toe 互いの音像に惹かれ合う、 オルタナティブミュージシャンの邂逅。

2014.02.05

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陰影のある究極に美しいダブの音像を創り出す"静寂なる詩人"、SILENT POETS。長い沈黙を破り、昨年自身のレーベルを立ち上げてついに8年ぶりの再始動を果たした。ファンからの「待ってました!」の声に応えてくれるかのような、待望のライブセッションイベントが2月7日(金)に開催される。SILENT POETSの下田法晴がリスペクトするインストゥルメンタルバンド toeを迎えた「ANOTHER TRIP SESSION vol.1」に出演する、toeのギタリストでありフロントマンの山嵜廣和とともに、イベントや互いの音楽、2014年の活動について深く語りあってもらった。

Photo_Go Tanabe

Interview&Text _Seika Yajima

Edit_Ryo Komuta

SILENT POETS
1992 年デビュー以来、DUBを基調にした独自のサウンドで、通算7枚のオリジナル・アルバムをリリース。ヨーロッパを中心に40枚以上のコンピレーションに楽曲が収録されている。昨年、下田法晴自身のレーベル「ANOTHERTRIP」を設立。8年ぶりの再始動として、New DUBアルバム「ANOTHER TRIP from SUN」、また 前作「SUN」Newエディション「SUN -alternative mix edition」がリリースされたばかり。


toe
Yamazaki Hirokazu(G)、Mino Takaaki(G)、Yamane Satoshi(B)、 Kashikura Takashi(Dr)の4人で2000年に結成されたインストを中心としたバンド。エモーショナルかつアブストラクトな楽曲は日本のみならず、世界中で支持されている。世界8カ国での熱狂のライブアクトが話題となった、ヨーロッパツアーのライブ映像が収録された「8 days dvd -toe EU tour2012- toe」も好評発売中。

寡黙な佇まいから熱いものがにじみ出てくる感じがたまらない(下田)

-今回の「ANOTHER TRIP SESSION vol.1」で、お二人が一緒にライブを行うことになったきっかけについて教えてください。

下田法晴氏(以下下田/敬称略): このイベントは僕のレーベル「ANOTHER TRIP」の企画なんですが、第1回目は誰にお願いしようって考えたときに、やっぱり僕が一番かっこいいと思う、素敵なバンドにお願いしたいと思ったんです。それで、僕から山㟢くんにライブ出演をオファーしてみたんです。

山㟢廣和氏(以下山㟢/敬称略): 嬉しい限りです(笑)。

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下田: 僕よりも下の世代のバンドの中でも格別にかっこいいなと思うし、toeのライブDVDをよく観ているんですけれど、寡黙な佇まいから熱いものがにじみ出てくる感じがたまらないんです。観ていると切なくなるというか。心地よい切なさなんですけれど。すごく胸に熱いものがガーッと込み上げてくるんです。そういう音楽が僕は好きだし、自分もそんな音楽をやりたいなと常々思っています。

-toeの音楽のエモーショナルなところに、琴線が触れる感じでしょうか。

下田: そうですね。音楽的にも全く僕が想像もつかないことをやっていますし、単純にすごいなと思いますね。僕が8年間CDを出していなくて、ちょっと気持ち的に閉じているときにCDをもらったりしたんですが、どれだけかっこいい音楽をやっているのかと思うと、聴くのが怖かったりしました。正直、聴きたいけれど聴きたくないという時期がありましたね。だけど、今はよく聴いています。今日もヨーロッパツアーのDVDを観てきましたけど、やっぱりいいなと思って。僕はライブもほとんどやったことがないので、僕から見るとtoeは本当にとんでもない人たちです(笑)。だから、今回ライブを一緒にやるのは胸を借りるような心境ですね。

山㟢: そんな風に言ってもらえてすごく嬉しいですね。音楽性は違うけれども、僕が目指していることや最終地点は、SILENT POETSとどこか似ているような気がしています。SILENT POETSはダブとかレゲエのリズムを踏襲した音楽が多いと思うんですけれど、僕が好きなMOGWAIとかストリングスが入っている長回しのバンドと共通しているようなところがあると思うんです。お互いなんとなく、好きな音楽の方向性やメロディ、雰囲気が似ているのかもしれません。

下田: そうですね。でも、一緒に飲んでいるときでも、お互いの音楽についてこんなに話をしたことないですね。どんなところが好きなのかは、本人を目の前にすると言いづらいので(笑)。

-SILENT POETSとtoeの共通しているところは、音楽のなかに存在する静けさやその中にある"熱"のようなものだと思うのですが、お二人は音楽を作る上でのインスピレーションはどんな風に湧き上がってくるのでしょうか?

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下田: 僕は作ろうと思ったときにしか音楽を作らないタイプ。「あ、そろそろやんなきゃ」みたいな感じで(笑)。いざ、作ろうと動き始めたときに、自分の頭の中に知らず知らずのうちに溜まっているものを出してくるみたいなところはありますね。映画を観てよかったものとか、どこかに行って感動したこととか、もちろん音楽を聴いて良かったなって思う体験の蓄積が自然に出てくるとは思いますね。

山㟢: 頭のなかのストックを出してくるような感じですね。僕もたぶんそんな感じです。僕の場合は、最初にリフだけ考えるんですよ。ふと思いついたリフのフレーズをiPhoneに肉声で録音したり、たまにギターを弾いてていいなと思ったフレーズを10秒くらい録音しているんです。いざ、曲を作るってときに、そこから引っぱり出してきますね。作りたい曲がイメージできたときにこの前録ったこれ使えるかな、あれ使えるかな!?って試行錯誤しながら、コラージュっぽく使う感じですね。リフからの流れで曲をそのまま作らないで、あとからそのリフのフレーズをパズルのピースのような感じにして作りますね。たぶん、下田さんもそういうことを頭のなかでやっているんじゃないかなって思います。

下田: 僕も最初に全体を作ろうとするよりも、パーツを作って、組み合わせていく感じ。toeを聴いているとそういう作り方をしている感じはすごくわかりますね。例えばですが、切れ端があったらここに何をくっつけようかなって考え出していくような感じ。具体的に曲の全体をイメージしていくときもたまにあるけれど、山㟢くんと同じようにコラージュとか、デザインをするような発想に近いですね。僕は楽器もほとんど弾けないから、サンプリングで作るのもデザイン的なセンスに近いですね。

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山㟢: お互い、音楽とは別にデザインの仕事をしているから思考回路が近いのかもしれませんね。わりと「これとこれくっつけたらどうかな?」「これとこれ合うかな? 最終的に」って、いろいろ試しながら作業していく感じが。

下田: 本当にそんな感じですね。その結果、本当に1個のフレーズだけが最終的に残ったりすることもあります。その残ったものからまた生み出す作業が始まりますね。

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