ザ・エックス・エックスが見つけた未来。－そして、共存から生まれる2ndアルバム－
2012.08.27
－歌詞についても訊きたいのですが、やはり前作同様、歌っているのは恋愛に関することが中心でしょうか？
オリヴァー： ああ、すべてラブソングだよ。実際、前作の曲を書いたときは自分がまだ15〜16歳とか、その程度の年齢だったんだけど、べつに大した恋愛経験があるわけでもないし、憧れや期待感、希望、周りの恋愛を観察したり、そういった要素から歌詞を書いていたんだ。それに比べれば、僕も22歳を過ぎて自分なりに色々と経験をしてきたということもあって、日記というとまた少し違うんだけど、やはりそれに基づいたよりパーソナルなものを歌詞にすることで気持ちを解放することができているよ。
－いいことも悪いことも、すべて？
オリヴァー： ああ。でも、悲しい経験ばかりじゃないよ（笑）。
ロミー、ジェイミー： （笑）
オリヴァー： もちろんすごく幸せな経験や良いこともたくさんあって、このアルバムにはその悪いことも含めてその両方が反映されていると思う。少なくとも、僕らはそのつもりだよ（笑）。
－ええ、もちろんそうですよね（笑）。アルバムのタイトル『Coexist』は"同じ場所にいる""共存"というような意味合いがあると思うのですが、これは今の自分たちの状況のことを示していると考えていいのでしょうか？
ロミー： そうね、最初はこの3人が一緒に作り上げていくという部分が気に入って、"Work Together"ぐらいの気持ちで名付けたんだけど、実際にはただ仲良くやっていくという意味合い以外にも、この言葉が持つ"共存"という側面がより現実的だと感じるようになったわ。恋愛にしても友人関係にしても、いつも上手くいっているわけではないし、性格の違うもの同士が共存しているという方が、より真実を捉えていると思わない？ あとは、私たちThe xxの音楽が、三者三様の音楽的嗜好が共存して成り立っているという解釈もできるしね。そういうところが気に入っているところでもあるのよ。
－とても良いタイトルですね。ところで、あなたたちは起用するリミキサーのチョイスも毎回素晴らしく、非常に注目されているわけですが、今気になっているアーティストがいれば教えてください。
ジェイミー： 名前は特に挙げていないけど、幅広い人々と仕事ができればと思っているよ。新しい人もそうだし、昔から携わってくれている人々も含めてね。ダンスミュージック周辺の人々に限らず、色々なフィールドのアーティストにお願いしたいと考えている。自分たちの尊敬する人々に、新しい解釈を加えてもらえるのがすごく楽しいんだ。
ロミー： そうね、その通りだと思う。今、私が個人的に一番気に入っているのはグライムス（Grimes）ね。彼女は本当に素晴らしいわ。あと、フォーテット（Four Tet）も昔から付き合いがあるけど、尊敬しているわね。
－最後に、今作の中で印象的な楽曲があれば教えてください。
オリヴァー： それは日々変わるね。作っているときからそうだったけど、曲によってそれぞれの思い入れもあるし。まあでも、強いて言えば、僕は3曲目の「Fiction」だね。初めて自分ひとりですべて歌った曲なんだ。とても大胆な試みだったよ。それはある程度自信がついたからできたことだと思うし、とても誇りに思っているよ。
ジェイミー： 僕は11曲目の「Our Song」だね。この曲は今まで自分たちがやってきたどの曲とも異なる、まったく新しい要素があるということと、作るのに多くの変更点があったことを考えると、非常にたいへんなプロセスを経て誕生した曲と言えるんだ。結果的にはすごく良いものになったし、ヘッドフォンで聴いても、クラブで聴いても通用するダンスミュージックになったと思うよ。
ロミー： 私は「Chained」ね。この曲も今回のアルバムで初めて試みた手法が採用されているの。今までは私とオリヴァーがそれぞれ歌詞を書いて、それをメールで交換して作っていたんだけど、今作ではあえて2人が同じ部屋で曲を書いてみたのよ。この曲はその最初の曲。ある意味、The XXのこの先の音楽に対する取り組み方、新しいやり方が見えた曲だし、実際2人で書いたものをジェイミーに渡したら、まったくビートのない状態から新しい息を吹き込んでくれて、そこから想像もつかなかった楽曲に成長したのよ。だから、このバンドの未来みたいなものね。
The xx
『Coexist』
レーベル：Young Turks／Hostess
発売日：2012年9月5日（水）
トラックリスト
1. Angels
2. Chained
3. Fiction
4. Try
5. Reunion
6. Sunset
7. Missing
8. Tides
9. Unfold
10. Swept Away
11. Our Song
12. Reconsider *
*日本盤ボーナストラック