ニューヨーク・ブルックリン発の新しいティーブランド BELLOCQ。
2012.04.05

足早に街を駆け抜け、せっかちな印象の強いニューヨーカー。そんな彼らにはスタンドで購入でき、持ち歩きながら楽しめるコーヒーが適し、流行っているイメージがありました。しかし、じつはお茶もかなり愛飲されているようで、ブルックリン発のティーブランド〈ベロック(BELLOCQ)〉はそんなトレンドを牽引するひとつ。厳選したオーガニックの茶葉をブレンドし、高いクオリティーで仕上げる〈ベロック〉オリジナルのお茶が日本に正式上陸し、それを記念して、3人の創設者のうち 2人が来日したので、インタビューしてきました。
Photo_Anna Williams Photography(p2)
Edit_Ryutaro Yanaka
―〈ベロック〉は、いつスタートしたのですか?
ハイディ・ヨハンセン・スチュワート(敬称略/以下ハイディ):2年前の2010年です。
―ちなみにブランドを設立する前は、何をなさっていたのですか?
ハイディ:フードスタイリストや食関連のエディターをしていました。
マイケル・シャノン(敬称略/以下マイケル):私はプロダクトデザインをしていて、ガラスやテーブルウェアなどを手掛けていました。今回、来れなかったスコットは建築家で、内装やインテリアや手掛けたり家具の設計をしていました。
―そんな異ジャンルの3名が集まって、お茶の会社を設立するに至った経緯を教えていただけますか?
マイケル:じつはハイディと私は会社の同僚で、世界を各国を旅すると、お互いに現地でお茶を買ってきてプレゼントし合ったりしていました。ともにお茶が好きで「いつか一緒にそんな会社を立ち上げたいね」なんて話をしていたんです。
ハイディ:ただ、いろいろ買って試してみたりしたのですが、なかなか自分達が欲しいと思うような、楽しめるお茶に出逢えなくて。それで立ち上げることを決意しました。
―オフィスは、ニューヨークのブルックリンと伺いましたが?
マイケル:グリーンポイントと言って、ウィリアムズバーグの北に位置します。ショールームと週に数日開けているショップと、テイスティングやデザインを手掛けるアトリエがあります。
―マンハッタンを選ばなかった理由は?
マイケル:私たちにはスペースが必要でしたし、静かな空間が良かったので。ブルックリンにはフード関連やクラフト関連などアーティスティックな人々も多く、自分達には適してると思いました。
ハイディ:お茶を楽しむのはリラックする行為なので、静かな方が向いているんです。
―ニューヨークというと、どうしてもコーヒーの印象が強いですが...?
マイケル:じつは、世界ではお茶は水の次に消費されていますし、ニューヨーカーも仕事時はコーヒー、家などでリラックスするときはお茶を楽しんでいるという人が多いんです。両方楽しむという、趣向が多岐に渡っていると思います。
―〈ベロック〉のお茶は、ニューヨーク以外では、どこで展開していますか?
マイケル:アメリカの各州と、イギリス、香港、それからパナマ、メキシコ。オンラインでも展開しているので、いろいろな国からオーダーが入りますね。
―何種類くらいのお茶が展開されているのですか?
ハイディ:通年で20種類くらい、あとはシーズナルアイテムも展開しています。もう少し増やしても良いのですが、あまり多過ぎて管理できないのも問題ですし、まだ若い会社なので。
マイケル:私たちは、ひとつの農場から収穫されたシングルエステイトの茶葉を使い、厳選されたオーガニックの素材を使ってブレンドしているので、今はこれくらいが適量です。
―ちなみに、〈ベロック〉という名前の由来は?
ブライアン:1900年代に活躍したニューオリンズのフォトグラファーの名前から付けました。彼は、娼婦や少し いかがわしい空間など当時では目を向けられなかった部分を美しい写真におさめていて、彼の「他の人が気づかないところに光を当てる」姿勢や、予期せぬ場所にある美などが自分達の考え方にマッチしていると思い名付けました。
ハイディ:他に幾つも候補はあったのですが、音も字面も良かったので〈ベロック〉に決めました。
―パッケージに印象的な"黄色"を採用した理由は?
マイケル:〈ベロック〉はロンドンでスタートしました。それは今日いないスコットが別の仕事でロンドンを訪れている際に、気になる空間を見つけたようで、突然「そこで3ヶ月限定のポップアップストアをオープンしよう」と提案されました。僕らは、準備も完全ではないし、時期尚早だと思ったのですが、スコットは僕らの数歩先を見通していて。
それで、その空間で内装を始め、漆喰の壁をナス色に塗っていったら、それがだんだん深く濃くなっていって、そんな空間には対照的な色の黄色が合うんじゃないかと、このパッケージに決定しました。
―お茶のクオリティだけにとどまらず、空間作りやヴィジュアルなどにこだわっている姿勢が色濃く反映されたエピソードですね。
マイケル:このパッケージのアイデアも、たくさん上がったのですが、削ぎ落としてこのカタチにまとまりました。このデザインもインカンパニー、自分達で作っています。
―イメージが統一されていて素敵だと思います。お茶も美味しいですし、今後の展開を楽しみにしています。今日はありがとうございました。
お茶の味わい、パッケージ、空間演出に至るまで、とても素晴らしく、クラシックでありながらモダンなテイストが融合した〈ベロック〉は、今後注目です。次のページでは、〈ベロック〉のオススメティーを紹介していきます。