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3人のファッショニスタが語る、ドクターマーチンの過去・現在・未来。 VOL.3 栗野宏文

2012.02.16

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有名ブランドやデザイナーとのコラボモデルの発表や MADE IN ENGLANDの復活など、〈Dr.マーチン〉の勢いが再び加速している。そこで〈Dr.マーチン〉を過去から現在に渡り愛用しているファッショニスタ3 名にインタビューを敢行し、あらためてその魅力を探ってみた。彼らの思い出話から浮かび上がる当時のカルチャーやファッションシーン、そしていまも色褪せ ることない〈Dr.マーチン〉ブランドの存在感など、自然と触手がのびてしまうこと必至です!

Photos_Hiroyo Kai [ STUH ]
?Edit_Ryutaro Yanaka

VOL.1 小野田史
VOL.2 大村鉄也
VOL.3 栗野宏文

取り入れるイメージが湧いた。

―栗野さんの〈Dr.マーチン〉との最初の出逢いについて聞かせていただけますか?

栗野宏文(以下栗野/敬称略):随分前に出会ってるんですけど、持ってはいなかったんです。年代的に、ひと世代下が一番響いていますよね。自分が「イイな」と思った頃には、大分大人になっていて「若過ぎるかな」と二の足を踏んでいました。ただ、ロンドン好きですし、音楽好きなので、シューズ自体は持っていなくても〈Dr.マーチン〉が発しているカルチャーは好きでした。
このブランドが現在も変わらず評価を受けているのは、カルチャーの部分を大切にしたからだと思っていますし。

―他のインタビューでも必ず出ましたが、カルチャーの部分はかなり大きいと思います。

栗野:当時、スペシャルズとかマッドネスといったスカや2トーンの人達が履いていましたよね。あのムーブメントの後、80年代の後半くらいにロンドンのコベントガーデンにフラッグシップショップがオープンしたんですよ。一番上にカフェがあって、バーバーもありましたし、靴はもちろん、ウェアや本も充実していましたし、過去のアーカイブが飾られていたり、とても素晴らしいショップでした。あと、お土産物も扱っていて、ソールのミニチュアのキーリングやさまざまなステッカーなど、ついつい欲しくなるアイテムがたくさんありまして、シューズを軸にここまで表現できるのって「スゴいな」と思っていました。それで〈Dr.マーチン〉のカルチャー的側面がますます好きになりましたね。

―ロンドンには、そんなショップもあったんですね。行ってみたかったです。

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栗野:あと、この3年くらい、海外出張に行く度にスタイリストだったりジャーナリストが〈Dr.マーチン〉を履いている姿を見かけるようになってきていまして。「静かなブームが来ているな」と思っているうちに〈コム・デ・ギャルソン〉がコラボすることになって、驚かされましたね。

―やはり、その辺の嗅覚にはビックリします。

栗野:そんな伏線がたくさんあって、去年からディストリクトで買い付けることになり、自分でもブラックの8ホールブーツを買ってみたわけです。

―今まで買わなかったところから、買って履いてみる方向へシフトチェンジされた最大の要因は何ですか?

栗野:自分のスタイルの中に「こうやったら取り入れられる」というイメージが湧いたからですね。スーツに合わせてみようとか、極太のパンツに合わせてみようとか、着こなしが思い描けるようになったというのが大きいですね。 それと、原宿の〈スワッガー〉のスタッフが極細のパンツに〈Dr.マーチン〉履いてる姿を見かけまして。彼らは所謂パンクスタイルではなくて、1970年代後期のバーミンガムや、ワイルドバンチのスタイルから影響を受けているんだと思うのですが、こういった日本のコアな感覚、イギリス人でも忘れているようなカルチャーに精通している姿勢ってスゴいなって。彼らを見て、自分の中でパンク、ニューウェーブと、ヒップホップとストリートカルチャーの結びつきが再度整理された気がして、視野が広がったという。

―そういったことがきっかけで履き始めることに。

栗野:そうですね。いままで海外でもカッコ良く履いてる人々を見かけて「イイな」とは思っていたのですが、自分では「どう履きこなしたものかな...」と悩んでいたのですが、日本の"こなし"が一番上手いなと。あと、イタリアのジャーナリストでアンジェロ(Angelo Flaccavento)という方がいるんですが、彼が〈コム・デ・ギャルソン〉や〈トム・ブラウン〉〈kolor〉などに〈Dr.マーチン〉を合わせている姿がスタイリッシュで「上品に履いたらイイんだ」と参考になりましたし、よい追い風になってくれましたね。

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―ボウタイもですが、彼はいつもオシャレに服を着こなしていますよね。

栗野:シューズが隠れるほど太いパンツや8分丈のパンツに履き合わせているのもオシャレで、イタリア人で彼のようなスタイルは珍しいですよ。

―栗野さんが一足目として、ブラックの8ホールを選んだ理由を教えていただけますか?

栗野:やっぱり、飽きないでしょうし。極細のパンツに履いたらスペシャルズっぽくなるだろうし、今みたいに履いたら新しい見え方になるからですかね。

―買い付けているディストリクトでの反応は、いかがですか?

栗野:よく売れていますね。この8ホールも反応は良かったのですが、出して間もなく完売してしまったのはヒョウ柄です。残っていた在庫を頼んで買い付けたのですが、すぐに店頭から姿を消してしまいました。

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―この春夏に、トリコカラーのウィングチップをセレクトした理由は?

栗野:2012年春夏のディストリクトは「トゥルバドール」といって、吟遊詩人の自由な魂を持つ人々がテーマ。オスカー・ワイルドだったり、ブライアン・ジョーンズ、ジム・モリソン、ジミー・ヘンドリックスといった人としてはまともなんですが、やることは大いに変わっているという人々のスタイルを表現しています。そういった方って大概お洒落ですよね。そんな彼らがウィングチップを履くなら、もちろんプレーンも履くだろうけど、こんなトリコカラーを選ぶんじゃないかと。

―なるほど。ちなみに、栗野さんご自身が春夏に〈Dr.マーチン〉を履くなら どんなスタイルに合わせたいですか?

栗野:今日の着こなしもですが、素直にモッズっぽかったり、素直にスペシャルズっぽかったりするスタイルですね。ジャケットを合わせるのも良いですが、今日着ているようなタイドアップに〈Scye〉のブルゾンを合わせる方が今の気分ですね。

―よくマッチしていらっしゃいます。

栗野:最近、自分の中で 80sを再認識できるようになって、今またこういった着こなしが気になってきています。あと最近カラーソックスも気分なので、トリコカラーのウィングチップを履くなら、赤いソックスを合わせて履き合わせたいですね。

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CORE 3989 BROUGUE SHOE
トリコカラーに切り替えたロングウィングチップシューズ。
¥37,800
メインカットで履いた8ホールブーツ
VINTAGE 1460Z 8 EYE BOOT
¥39,900
(ドクターマーチン・エアウエア ジャパン 03-5822-6810)
http://www.dr-martens.co.jp/
http://firstandforever.drmartens.co.uk/jp/

DM_vol3_profile.jpg Hirofumi Kurino
栗野宏文

ユナイテッドアローズ上級顧問、クリエイティブ アドバイザー。2004年にはイギリスの大学「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」より名誉研究員を授与される。フリーランスのジャーナリストとしても活躍中。1953年生まれ。

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