LUNARGRAND COMPILE 〜ルナグランドにまつわる4つのこと〜
2014.08.01
2012年、〈コールハーン(COLE HAAN)〉が満を持して世に送り出した名作「ルナグランド(LUNARGRAND)」。革靴にスニーカーのソールを組み合わせるという、発想の転換から生まれた近未来的なルックスで瞬く間に人気は急上昇。そして広く知られることとなった今、「ルナグランド」のポテンシャルを再認識するべく、トレンド・スニーカー・デザイン・バイイングの目線から検証していきます。
Photo_Shimpo Kimura
Edit_Jun Nakada
証言者_谷尻誠/建築家、サポーズ デザインオフィス代表
広島と東京を拠点に世界中を飛び回る建築家。近々東京事務所を代官山に移転予定で内装を思案中。毎月トークイベント「THINK」を広島事務所で開催している。次回は7月25日(金)、ゲストは詩人の菅原敏さん。
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-初めてルナグランドを知ったのはいつ頃ですか?
日本で発表されたタイミングだったので2,3年前かな。現在4足持っているんですけど、今思えば全部海外の〈コールハーン〉で買ってますね。最近もニューヨークでスタッフ用に何足か買って帰りましたよ。
-選んだ理由は何だったのでしょうか?
やっぱり"楽"だし、革靴なのに走りやすいっていうのが最高ですね、いつもギリギリに出掛けて急いで現地に向かうので(笑)。あと、昔からスニーカーっぽい革靴が好きで、それこそ20歳代の頃は〈シルバノ マッツァ(Silvano Mazza)〉にハマってずっと履いてました。なのでルナグランドは個人的にツボでしたね。
-デザイン面から見ていかがですか?
革靴っていう枠組みから逸脱してないのがいいですよね。革靴でありながら革靴を超えているというか、カジュアルとトラッドを横断できるルックスがいいなって。普通デザインを追求していくと革靴じゃなくなってしまう可能性が高くなりそうじゃないですか。それを絶妙なバランスで保っていると思います。
-建築家 谷尻誠として共通する部分はありますか?
建築デザインのなかで、仮にクラシックやモダンっていう定義があるとしたら、僕はその2つの要素を足して割った中間のものが理想型なんです。それが住宅だったら外と中の間とか。室内にいるけど外にいるような開放感を味わえる空間。作るものが何であれ、どうすればその"中間"を作り出すことが出来るかを、デザインする上でよく考えています。そういう意味では、ルナグランドは上手くトラッドとカジュアルの"中間"をとっているなと思います。
-デザインするときのインスピレーションはどこから?
人とのコミュニケーションから生まれることもあるし、歴史を遡ることもありますね。例えば駅を作る場合、国内外の色んな駅を調べてみるのもいいですが、すでに駅はこういうものっていうイメージが頭の中にありますよね。つまりそれをベースに作ったら、見た目こそ違いますけど単なる駅でしかないんですよ。だから、最初に駅が生まれたときはどうだったのかを遡っていくんです。なぜ"駅"と呼ばれるようになったのか、そもそもの駅の始まりが何だったのか、これまでとは少し違う駅像が見えて来るわけです。昔は商人が物を持ち寄って休憩して情報交換する場所が駅だったのに対して、今の駅は切符を買って改札を通って列車に乗るための場所になっている。そう考えると、駅をデザインする上で一番大事なのは、もっと人が集えて情報交換が出来る場所なんじゃないかなって考えてみたり。現代にいるからこそ駅の始まりに立ち返って、その要素を"今"に持ち込んでみる。そうしているうちに自分の中で新しいデザインが生まれるんです。
-なんかファッションのモノづくりと似てますね。
根本的な考え方は同じだと思いますよ。たまたま僕は建築を専門にしてますけど、それが靴に変わったとしてもベースは変わらない気がします。あくまで憶測ですけど、ルナグランドが誕生したのも、〈コールハーン〉の歴史とこのソールに対するアッパーのデザインを多角的に考えた結果だと思うし、それがトラッドとカジュアルの"間"だったのかなって。完成度の高いコンセプチュアルなシューズだと思いますよ。
-普段はどういう合わせ方を?
仕事柄カジュアルなスタイルに合わせることが多いですね。でも発売当初に多かったカラーソールに比べて、最近はアッパーに同色のソールを使ったモデルもあるので、ビジネスやお祝いの場などスーツを着るシチュエーションでもフィットしそうですね。色々見てたら、また欲しくなっちゃいました(笑)
チノパンにTシャツという潔い王道コーディネートの谷尻さん。全体を夏らしい清潔感のあるカラーリングにまとめつつ、パンツはロールアップで素足を見せて軽やかに、エナメルの「ルナグランド プレーントゥ」を合わせて上品さもプラス。さり気なくウォレットチェーンや腕時計で味付けするあたりに大人の余裕を感じますね。
シューズ:LUNARGRAND PLANETOE ¥38,000+TAX
その他本人私物