HOME  >  FASHION  >  FEATURE

FASHION_FEATURE

  • OLD
  • NEW

バイヤーも驚嘆する、日本人デザイナーが手掛けるイタリアメイドの小物ブランド。

2011.12.16

このエントリーをはてなブックマークに追加
mg_main.jpg

多くの日本人が弱い"イタリア製"という言葉。その背景には、上質で優れたデザインのものが存在したためかと。しかし近年、名ばかりのものが目立つように......。そんな中、多くのセレクトショップや百貨店から支持を集めるブランドがあります。それが革小物ブランド〈ラルコバレーノ〉やベルトブランド〈ディノ マティア〉、ストールブランド〈ジー・ジェナレッリ〉。じつはすべて日本人デザイナーがイタリアのファクトリーとコラボして商品を展開することで、日本人の琴線に触れるディテールやこだわりを持った、アイテムを生み出しています。今回はその魅力を、3人のバイヤーに伺ってきました。

Photo_Yuichi Akagi
Text_Shun Inoue

INDEX

No.1 ビームスの設楽基夫氏
No.2 シップスの秋山知春氏
No.3 ISETANの岡本和彦氏

"舶来品"として高い完成度を誇るイタリアブランド

_MG_4478.jpg

―ビームスでは、早くから〈ラルコバレーノ〉を取り扱っていましたが、いつからバイイングを?

ビームスバイヤー設楽基夫氏(以下設楽/敬称略):じつはデザイナーとは今の事業をやる前からの知り合いで。「職人にこだわったイタリアのファクトリーブランドを立ち上げる」ということを教えてもらい、興味を持ったのがきっかけ。10年以上続くイタリアブームの中で、イタリアらしいブランドって、一部のメゾン系を除いて減ってきたんです。でもサンプルを見せてもらったところ、色・艶はもちろん、縫製や素材もすごくしっかりしていて、"これぞイタリア"と思える出来映えだったので買い付けました。3年前のブランドの発足時からです。

―「出来が良い」と感じた部分を、もう少し具体的に教えてください。

設楽:まずオールレザーというのがとても珍しい。多くの財布が、見えない部分は違う素材を使っていますから。昔のメゾン系ブランドで(オールレザーを)やっているところもあったのですが、今はコスト削減などでかなり少ないと思います。しかもレザーがすごく薄く鞣されているので、全部革なのに軽い。それと先ほどもお伝えしたステッチワーク。ここまで細かい縫製は、若い人では決してできない。熟練した職人による手仕事なのがよく分かります。

_MG_4414.jpg

―技術的な面以外に優れているポイントはありますか?

設楽:やっぱりこのポップなカラーリングですね。技術的な部分だけで言えば、日本のブランドも負けてはいないのですが、こういう色合いはイタリアならではのセンスですよね。ウンチクなどに興味がない人も、つい惹かれてしまうデザイン性を兼ね備えていると思います。それと価格に関しても素晴らしい。イタリアのファクトリーと直接やり取りをしているからなのでしょうけど、普通に作ったら絶対にもっと高額になるはずです。

_MG_4391.jpg

―ビームスでは他にも、〈ディノ マティア〉や〈ジー・ジェナレッリ〉も取り扱っていますが、こちらの魅力も聞かせてください。

設楽:〈ディノ マティア〉もまず目を見張るのは、このステッチワーク。ハンドメイドメイドならではの丁寧さがあります。素材選びも上質な革を使っていますし、何よりセンスがいい。バックルのデザインなどを含めて、全体のまとまりの良さはさすがだと思います。

〈ジー・ジェナレッリ〉は、イタリアのコモ地方にあるメゾン系ブランドも取り扱っている、デジタルプリントを得意とするファクトリーブランド。プリントの発色の良さと、色々な柄が入っているのにまとまっている感じ。そしてユニセックスとしても使える上品さなど、「イタリアってやっぱり良いよね」という頃の香りを、きちんと醸し出せているブランドではないでしょうか。

―今回持参して頂いたストールを見ての感想ですが、純イタリアな雰囲気はあまりしませんね。

設楽:その辺はきちんとオーガナイズされているんだと思います。日本人に合う色合いをきちんと計算しているというか。日本人の感性とイタリアの良さがうまく融合しているのが、商品からも分かりますよね。実際着けてみましょうか?

_MG_4431.jpg

―想像以上にバランスが良いですね。

設楽:個性の強い見た目ですが、巻いてみると意外とまとまるんですよ。今日みたいなインパクトのある洋服にも合う。スゴく良く計算されていますね。

―先ほど「良かった頃のイタリアな感じをうまく表現できている」と仰っていましたが、詳しく教えて頂けますか?

設楽:近年はイタリアブランドがもてはやされて、プロダクトがイタリアブランドだけど伊製じゃないものが多くなってきた。それを否定はしないのですが、物を見てみるとやっぱりあまりピンと来ない。ブランドのネームバリュー頼りになっているんですよね。元々、イタリアがもてはやされていたのって、クラフトワークが良かったからだと思うんですよ。でも〈ラルコバレーノ〉にしろ〈ディノ マティア〉にしろ、技術力をもった良き時代の職人たちとやっている。そこに今の時代の感性をプラスすることで、ブランドネームに頼らない確かな品質のものを生み出している気がします。アイテムは嘘をつかないですからね。きちんと"舶来品"になっている。だからこそ、多くのお客さんたちに支持されているのではないのでしょうか。

_MG_4529.jpg

左から)〈ラルコバレーノ〉二つ折財布¥27,800、三つ折ミニウォレット¥22,050、〈ディノ マティア〉メッシュベルト¥13,650

_MG_4509.jpg

左から)〈ジー・ジェナレッリ〉マルチドットストール各¥25,200、小紋柄ストール各¥25,200

_MG_4493.jpg 設楽基夫
Motoo Shitara

インターナショナルギャラリー ビームスのバイヤーを務める。オリジナルの企画から、国内外のさまざまなブランドのバイイングまで幅広く担当。

インターナショナルギャラリー ビームス
住所:東京都渋谷区神宮前3-25-15
電話:03−3470-3948
www.beams.co.jp

1  2  3

FASHION FEATURE TOP

  • OLD
  • NEW