3人のバイヤーが語る 2011年秋冬。
2011.10.07

ファストファッションの隆盛や不況の波を受け、停滞するファッション界において、新しいムーブメントを起こそうと奮起し続ける3 つのショップのバイヤーをクローズアップして、取材を敢行。彼らが世界を廻り、収穫してきた2011年秋冬のファッション。それぞれのショップが仕掛けて いく試みなどについて、連載で紹介していきます。Vol.2は、いよいよ本格的に始動する2011年秋冬について。それぞれのショップがどんなトレンドやブランドに着目し、打ち出していくのか? その辺に迫っていきます。
Photos_RINTARO
INDEX
1. ブリティッシュな流れが、来る!
2. このブランド達が、アツい。
3. どうなる? 今後のメンズファッション。
―さて、では今回のメイン、2011年秋冬のお話をお願いします。まずは、感じた印象や流れをお伺いできますか?
小木基史氏(以下敬称略):秋冬は、ニットのバリエーションがすごく多く感じました。
―国内の展示会を見ても、ニットは目につきましたね。ショールカラーのローゲージカーディガンなど。
関根陽介氏(以下敬称略):ローゲージは多かったですね、とくにウェイト感のあるニットアウターみたいな。
中箸充男氏(以下敬称略):ケーブル編みとかですよね。ニットブランドのデザイナーに聞くと「糸の値段が上がってしまっているので、今までのようなハイゲージのニットは価格的にも難しい」と。それでローゲージのニットアウターを盛り上げていこうという気運が高まっているようです。
―それにブリティッシュな流れも後押しして、ノルディック柄とかケーブル編みが今回多かったかなと感じました。
ジャケットの上にニットを着るようなファーマーズ スタイルっぽい提案をしているブランドも見かけましたしね。
あとは、100周年を迎える〈ハリスツィード〉。
中箸:あぁ、確かに。
―ビームスの秋冬は、どんな雰囲気ですか?
関根:メンズらしさが際立つ、ウェアラブルかつオーセンティックな流れを汲んでいます。具体的に言うと、いま話に出たツィードだったり、ニットアウターやムートン、ファー物、または〈バブアー〉をはじめとするオイルドクロスのアウターなど英国町のカットソースタイルに代表される質実剛健なプロダクトとイタリア・アメリカ・イギリスの洗練された"エッセンス"、"エレガント"さをミックスしたスタイルです。
―バーニーズ ニューヨーク的には?
中箸:ウチは「+1(プラスワン)クラシック」といって、ブリティッシュ テイストを取り入れたクラシックと、モダンスタイルですね。ただブリティッシュといっても、チェンジポケットとかじゃなくて、グレンチェックなどブリティッシュな生地をイタリアの工場で作ったり、ブリティッシュな生地で、2つボタンでイタリア的な軽さを感じさせるジャケットを作ってみたり、そういうのを混ぜていくスタイルを推していきます。
バーニーズ ニューヨークが提案する「+1(プラスワン)クラシック」。ブリティッシュ テイストを取り入れたクラシックと、モダンスタイルのイメージ。[撮影:中箸氏]
―カジュアルでリアルなスタイルに、キレイめなアイテムを混ぜてエレガントに仕上げるような提案もしていきたいです。
小木:上手いですね、まとめるのが。
一同笑い
―それでは、ユナイテッドアローズは?
小木:久しぶりにオリジナルで、ブリティッシュモデルのスーツをリリースします。ただ、やはり堅いブリティッシュというよりは、ディテールはしっかり取り入れつつも、キャメルカラーで仕上げたり。〈ケイスリーヘイフォード〉に、いつもよりクラシカルでブリティッシュテイストを強調したスーツを別注していたりしますね。
あとは、この秋冬、赤やグリーンが多い印象ですね。それは〈ガム・ブルー〉のショーを観たときに感じたのですが、乗馬とかハンティングのようなクラシックスポーツから取り入れた赤とかグリーンっていうのが、トレンドカラーになっているんだなと。
ショーの演出はもちろん、乗馬やハンティングなどのクラシックスポーツからインスピレーションを受けて表現された、印象的な「赤」や「グリーン」。[撮影:小木氏]
中箸:あの色使いは上手でしたね。
―それで、乗馬とかアツいなと思って、パリにあるその手の博物館に独りで行ったんですけど、全然想像と違いました...。
一同笑い
―ファクトリーにも行ったりするんですか?
中箸:今回、かつて某ブランドのダウン製品を請け負っていたファクトリーを紹介してもらって、そこのブランドをエクスクルーシブで展開するのですが、その工場に行ったりとか。
世界で最も人気がある、あのブランドのダウン製品を請け負っていたファクトリーで制作する〈ホット プルム(HOT PLUME)〉のダウンジャケット。クオリティの高さは折り紙付き。[撮影:中箸氏]