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World Street Classic vol.0

2012.04.13

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大人気企画「Chasing Poggy!!」の終了後、ブログに戻ってくるはずがハニカムの100DAY BLOG RELAYを継続...。いまいち音沙汰がなくなってしまったPoggyが満を持して戻ってきました。この静寂の間に新連載について練りに練り、いよいよ「ワールド ストリート クラシック(World Street Classic)」という名の企画をスタートします。内容は、まぁPoggyがいま気になっていることや、それにまつわるファッションのヒストリーやカルチャーについて伝えていくとだけザックリ決めて、進めていくことに。今後、いろいろなゲストも招いていきますが、パートナーはスタイリスト小野田史氏。彼らが見て感じている、いまのファッション、届けます!

Photo_RINTARO
Edit_Ryutaro Yanaka

ワールド ストリート クラシック始動!

―では、連載をスタートするにあたり、「ワールド ストリート クラシック(World Street Classic)」という名前に辿り着いた経緯の話から聞かせてください。

小木 "Poggy" 基史氏(敬称略/以下Poggy):2000年を振り返ると、ストリートとモード、クラシックとモードの距離がさらに近くなったと思っていて、ここ数年はストリートのブランドからトラッドなアイテムがリリースされるようになったり、クラシックなモノに対するリスペクトというか、そんな流れを感じてます。この企画が始まるにあたって、メンズのクロージングをストリートな感覚でミックスするのって、今まであまり目にしたことないよね。と2人で話していた時にお互いの意見があったのが、2005年10月1日号の『ブルータス』で白山さんがスタイリングしたページ。〈Supreme〉のヴァーシティジャケットに〈PATEK PHILIPPE〉の時計「ゴンドーロ」を合わせていたりと、とにかく衝撃を受けました。どう考え直しても自分たちはあの白山さんのページがあり、今があると思っています。その影響もあって、当時もリカー、ウーマン&ティアーズで〈Supreme〉を交えたスタイリングを提案をしてみたんですが、洋服に対する自分の知識不足と、サイズ的に相反していたため、なかなかミックスがしづらかったんです。

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―もう懐かしい話になりますが、ちょっと難しかったですよね。

Poggy:ただ、最近はストリートから始まったブランドも小さめのサイズをラインナップしていたり、トラッドベースなデザインになってきたりと、クラシックなモノともミックスしやすくなってきてます。あとは、会社でスーツを着ていた方々がクールビズの影響でジャケットやスーツを着なくてもよくなってきている現状もあり、そんな流れも加味しつつ、基本ヒネクレているところがあるので、スーツを着なくなるのなら「僕たちが着るよ」っていう発想もありますね。

―天の邪鬼な世代ですからね。

Poggy:そんな話を史ちゃん(※編集部注:スタイリスト小野田氏)としていて、ネーミングは彼が出してきたんですが「ワールド ベースボール クラシック」に掛けて、ゴロもイイね! と。2010年代はクラシックとストリートの感覚をミックスして、ストリートで育った世代が、自分らしくいられて、でも世界へ飛び立っても恥ずかしくないような提案ができたら、と思っています。

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小野田 史氏(敬称略/以下小野田):ファッションについてある程度予習復習を繰り返すと、なかなか既存のものでは満足できなくなって。クロージングに足を踏み入れてみたり、アッパーカジュアルとか、ローとかハイとか化学変化を試してみてストリートに落とし込んでみたり。例えば〈キートン〉のスーツに〈ベルルッティ〉のシューズを合わせるのはアッパークラスでは常套の考え方ですが、敢えて〈VANS〉のハーフキャブをナチュラルに合わせてみることで新しいコントラストを生むというか。東京って意外とカテゴライズされがちだから、そこを超えたチャレンジをしてみたいなって。そんな印象を、あの『ブルータス』は残してくれた気がします。

―その感じのきっかけって、何でしょうかね? カテゴライズ嫌いといか、そこにいる心地好さっていうのは確実にあると思うんですよ。定番的な服をずっと着続ける的な。

小野田:選択肢が増えて、ファッションというジャンルに関わる人も増えたから、セオリー通りから脱却したいというオリジナルティを求めるストリートマインドな気持ちが働くんでしょうね。

―基本は「人と違う格好がしたい。でもカッコ良く」がベースにあるから、新しいところを目指すんでしょうね。

Poggy:もし、これでみんながスーツを着出したら着なくなったりして(笑)。

―全然ありえますね。

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Poggy:あとは、ニック・ウースターの存在は大きいですね。ニックが日本のストリートで流行っていることに着目して、当時バーグドルフ グッドマンで買い付けたり、現在は「プロジェクト ウースター」にピックアップしたり。あれも、完全にモードというよりはクラシック軸で紹介していますよね。あとは世界の展示会を廻っていて、原宿を中心としたブランドを買い付けていたショップのバイヤーが、ザ・サルトリアリストに登場するような格好に変化している場合も多くて。〈ザ ブルックリンサーカス( The Brooklyn Circus)〉のブラックアイビーといったストリートの人達も、まずはラギッドドレスっぽい格好になって、その後クラシックに向かっていく気もします。

―GQ.COMのスナップも、そういった方々がピックアップされていますし、Poggyも頻繁に撮られていますからね。

Poggy:今までそういったミックスは自己満足的な表現だった気がしますが(笑)、徐々に響きそうな気配を感じています。

―かつてはストリートの人達が、スーツを着るような人々を「ヤッピー」呼ばわりして、バカにしていた印象もあるのですが。何がきっかけで変わってきたんでしょうね?

Poggy:確かに。

小野田:メンズが「クラシックは良い物だ」ということに気づき出したのと、リアル感? モードのランウェイより、ピッティなどお洒落な人達が集める場所の方が生きた情報が得られるってことに気づき出したからじゃないですか。あまりファンタジックなモノより、リアルへの投資が大きくなった気もしますよね。

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Poggy:あとは『Take Ivy』に再度目が向けられたこととか。

―アメリカントラッドやアイビーの復権が影響しているんですかね。となると、やはり〈THOM BROWNE〉?

Poggy:そこに辿り着く前のエディ・スリマンの〈ディオール・オム〉のスーツも大きいですし、クラシックとモードの距離をぐっと縮めたトム・フォードの存在も大きいと思います。

―アメリカに関して言うと、ジェントルなゲイが多くなっている気がするんですが。

Poggy:しかも鍛えまくってますよね。以前は、いかにもな方々が多かったように思います。

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小野田:例えばちょっと前にウィメンズの〈バルマン〉が、バンソンの骨モチーフのようないわゆるゴリゴリなアウトロー系バイカーなど、男性のハードなカルチャーを女性に提案したりだとか、ジェンダーの境目が曖昧になってきて、そこでも新たな化学反応が起こっていますよね。

Poggy:「男はスタイル、女はファッション」って言われていたのが、「男はファッション、女はスタイル」に変化してきている現状もあって、女性の方が「これしか買わない」みたいな風潮が感じられて。30代くらいの女性バイヤーで「名品」とか「定番」と、ウンチクを気にし出してる人が増えているなんて話も聞きますし。ここで「男が男たる」ところを見せる的な、とは言いつつも明日から〈ボルサリーノ〉かぶって毎日スーツ着るっていうのも違うと思うので、やはり自分たちらしくはいきたい。

―でも、本当にニューヨークはストレートなのかゲイなのか分からない、ジェントルマン的なゲイの方が増えましたよね。そこでニューヨーク絡みのネタになりますが、Poggyには先日訪れていたときのお話を聞きたいんですが。

次のページでは、Poggyが観てきたニューヨークの話を聞いて行きます。

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