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メッセージの前にまずはイメージありき。
- ー芳賀さんといえば処女作『Tropical』での鮮烈なデビューが印象として強いのですが、あの作品を撮ろうと思ったきっかけは、なんでしたか?
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芳賀:大学を卒業してからは特に就職などせずにフラフラしながら好きなことをしていて、フリーランスとして映像を撮ったりしていました。当時青山の「OATH」などのクラブによく遊びに行ってて、その頃知り合って仲良くしてもらっていたMONKEY TIMERSというアーティストのミュージックビデオを作ることになったんです。そのときに出演していたのが村上淳さんで、僕にとって初めて一緒に仕事するプロの俳優でした。村上淳さんの生の演技を目の当たりにして「役者ってすごい、仕事を一緒にしたい」って思ったんです。
- ーそこから映画を作ってしまうというのは、すごい行動力ですね。映画を作るときに心がけていることなどありますか?
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芳賀:学生時代から劇映画は作りたいって思ってましたね。僕は脚本作りに時間がかかるタイプなんですが、それもビジュアルが先に思い浮かぶからなんです。例えば、夜の海に向かって一人の男が立っている姿を想像します。周りは真っ暗。海を挟んで対岸は光で溢れています。男のいる岸は真っ暗、そこから見える対岸は輝いている…じゃあ男は何を欲しているのか。そうした思い浮かぶ画を並べていくと、自然と物語になるものが見つかるんです。だから僕はメッセージ性ありきで映画を作る、というタイプではないんですよね。
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- ーミュージックビデオなどの作品も数多く手がけられていますが、映画一本で食べていこうという野望みたいなものはありますか?
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芳賀:そもそも僕は映画で食べていきたいっていうモチベーションが全くなくて、映画はただ撮りたいから撮るというもの。誰々よりも、というような競争意識が入り込んでしまうと、そもそも自分の撮りたかったものが撮れないと思うんです。かといって自己表現とも違っていて、観客の前にちゃんと確かな存在感を持ったものにしたいんです。
- ー映画に対する真摯な姿勢を感じますね。今後も映画だけに絞らず、ミュージックビデオなどのさまざまなものを手がけられるのでしょうか?
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芳賀:映画やミュージックビデオなど、「これだけしかやらない!」みたいに決めてしまうとどうしても視野が狭くなってしまいそうで。昔企業の映像にまつわるお仕事をしていた時期があって、マニュアルビデオを作るために電報を打つおばちゃんたちに取材したんです。それが面白くて。そういった普段出会うことのない人から得るインスピレーションは面白いし、新しい発見があるんですよね。そういう意味でも、いろいろなところでやっていく方が、それぞれの相乗効果もあるだろうし、面白いなって思えるんですよね。来年、次回作の映画を撮ろうと思って準備をしているので、楽しみにしていてください。