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FEATURE|HiHiHi 鹿児島発の日常着。ものづくりの現場とインスピレーション。

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HiHiHi

鹿児島発の日常着。ものづくりの現場とインスピレーション。

鹿児島市内から車で約40分。鹿児島県・姶良市蒲生町という、日本一の大楠の樹と自然に囲まれた田園風景の広がる静かな町がある。この町から発信される〈ひひひ(HiHiHi)〉は、5年前、東京から鹿児島へと拠点を移したデザイナー、末田昌士さんによるブランド。ちょっと変わったブランド名の由来は“ひびの暮らしのなかで、ひとびとが、ひかり輝く衣服を作りたい”の頭文字をとったもので、その名の通り日常になじみ、袖を通すと豊かな気持ちになれる。シンプルな中にちょっとスパイスの効いた服はすべてジャパンメイドで、天然素材の持つ心地良い風合いや温もりは、東京ではなく鹿児島で作られているからこその自然体を感じさせる。そんな〈ひひひ〉と鹿児島の魅力を探るべく、末田さんと地元の自然を感じながら歩き、ものづくりの生まれるアトリエで話を聞いた。鹿児島でのものづくりのこと、東京とのつながりのこと。

  • Photo_Naoya Matsumoto
  • Text_Mami Okamoto
  • Coodinate_Ryota Yamada
  • Edit_Ryo Komuta
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“鹿児島でものづくりをする”ことの良さを探るべく訪れた末田さんのアトリエは、自然の中に佇む、味わいがある古い一軒家。時間ごとに色の異なる光が射し、なんとも居心地がよい。友人による手作りの家具や、鹿児島の陶器など、彼のインスピレーションやセンスがそのまま感じられる空間は、家自体やそこにあるものすべての息遣いが聞こえるような感覚に引き込まれる。だから自然と耳を澄ます。末田さんの人柄も、その空間に呼応するように強い存在感がありながら穏やかで温かい。アトリエにいるだけでも、その魅力が充分に理解できるようだ。そんななかで改めて、“鹿児島でものづくりをする”良さを聞いた。

「まず、より自分と向き合うようになりました。環境がそうさせてくれます。窓の外は田園風景ですから。季節の移ろいとともに生活し仕事をすることで、リズムが生まれる気がします。自然の色や力強さから、想像をふくらませて、考えて、ものづくりに集中できるようになりましたね。鳥や虫の声を聞き空を見上げ、大切な時間を過ごしていると実感しています」

服作りをしている人こそ少ないけれど、鹿児島には陶器や木工など素晴らしい作り手が多くいる。〈ひひひ〉のアイテムにも、小物やボタンなどに地元の木工作家や陶芸作家とのコラボレーションが用いられている。小さなコミュニティだからこそ、作り手たちがより近い距離で共鳴しあい、地域色の強いコラボレーションが生まれやすくなるのかもしれない。

「作り手や友人から刺激を受けることはたくさんあります。また、人が集まり情報が集中する東京ではないからこそ、全国各地のギャラリーに自ら出向き、出展する機会が増えました。各地での出会いが、また次のクリエーションにつながります。それに、さまざまな層のお客さんと直接話しをする機会が増えたことで、視野が広がりましたね。自分が外に出て行くことで、県外からもお客さんが来てくれるようにもなりましたし、鹿児島に戻って来てから良い出会いに恵まれ、感謝しています」

〈ひひひ〉を象徴する藍染めやインディゴ染めは、着ていくうちに変化する天然素材ならではの風合いが魅力。また、ストール、Tシャツなどに用いられる草木染めは、四季のはっきりした日本だからこそ発達した天然染色で、色合いが味わいとなる。これらの染物はすべて、鹿児島県奄美大島の工房「金井工芸」によるもの。

「工房をやっている金井志人さんは同い年で、文化服装学院の学生の頃、東京で知り合いました。当時、お互いバンドをやっていて、よく高円寺で会っていたんです。ブランドを始めた頃に、彼が故郷の奄美に戻って、実家の泥染め工房を継いで職人をしていると知り、すぐに染めをお願いするようになりました」

こうした出会いや再会も、横のつながりの賜物だ。

また、2016年春夏シーズンは、江戸時代から続く奄美大島の伝統的な織物、手間暇かけ意匠を凝らした緻密な柄模様が特徴の大島紬の羽織りを製作。最盛期には数百件あった大島紬の機屋は、着物のニーズが激減した今では数十件とかなり減少してしまった。

「大島紬には以前から興味があったのですが、鹿児島市内の機屋さんから『何か作ってほしい、大島紬をなんとかしてほしい』と連絡があったのがきっかけで、すぐに会いにいきました。こんな時代の中でも伝統を継承し未来へ繋ぎたいという職人さんの姿勢に、自分もふつふつと感じるものがありました。新しい大島紬の可能性を考え、お互いを高めあえる関係を築きたいなと思っています」

鹿児島の特産品を、新しいかたちにして発信していくことで、伝統を守ることにも貢献している。それは、地元に根付いてものづくりをしているからこそできること。

鹿児島と〈ひひひ〉の魅力は、遠く東京にも伝染。きっかけとなったのは、末田さんと文化服装学院の同級生であったスタイリストの山田陵太さん。

「山田くんとの再会は大きな転機になりました。社会人になってしばらく会ってなかったのですが、確か中野のうどん屋で偶然会ったことがきっかけで、話が弾み、鹿児島に遊びに来てくれたんです。そして、カタログを作ろうとなり、それ以来、毎シーズンみんなでアトリエに合宿しながら撮影(と飲み会)をしています。こうして繋がった縁で、ブランドの雰囲気をより感じてもらえる作品集を作れるようになりました。鹿児島ー東京ってこんなに近いんだなって、いろんな意味で距離が縮まった気がします」

まずは、鹿児島でのものづくりのインスピレーションが感じられるカタログとホームページから、鹿児島と〈ひひひ〉の魅力を感じてみてほしい。

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シーズンごとに作られるカタログ。2014AWシーズンより、鹿児島に魅せられた東京のスタッフが現地で撮影。地元の友人や家族がモデルとなり、鹿児島を旅しながらつくっている。〈ひひひ〉の世界観はもちろん、鹿児島の日常と幸せがたくさん詰まった小さな作品集。

末田昌士/hihihiデザイナー

1979年生まれ。鹿児島に生まれ育ち、18歳で上京。文化服装学院デザイン専攻科卒業後、デニムメーカーに6年間に勤める。2008年、東京・奥多摩でキャンプ生活を送っていたときに〈ひひひ〉を設立。その後、神奈川・葉山に拠点を移し、2011年、鹿児島に戻り地元での服づくりをスタート。現在は、年に2回の東京での展示会に加え、全国各地での展示も多数開催。2016年2月にはオランダ・アムステルダムで開催された「MONO JAPAN」にも出展。
http://hihihi.co

※10月11日~15日、中目黒「みどり荘」にて2017SSの展示会を開催。
みどり荘 東京都目黒区青葉台3-3-11
http://midori.so/

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