「好きなものを着るのは大事なんだなって思うようになった」
- ー今回モデルとして出演していただきましたが、普段はどんな格好をすることが多いですか?
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tofubeats:基本的にはシンプルな格好が多いですね。だから選ぶのは無地の服が多いです。色味があるのはスニーカーくらいです。パンツはいつもスキニーで。時計や指輪などアクセサリーは大きいのをたまにつけることがあるくらいです。
- ーデザイン性以外に服を選ぶときの基準はありますか?
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tofubeats:実用性があって長持ちして、時代に左右されない普遍性があるものが良いなっていうのはありますね。あと自分で着るものはコレとコレって決めつけがちな部分があります。それも毎年、気分に合わせて変化していくので、自分の中でのスタンダードをずっと探し続けているみたいな感じです。
「このコートはミリタリー調のデザインですが、ミドル丈で着やすいんです。ディテールのデザインが全体をソリッドにまとめていて格好いい。インナーのシャツはカモ柄ですが、アクティブ過ぎず、シックな色味の落ち着いた印象で着られるのが良いですね」。〈A|Xアルマーニ エクスチェンジ〉コート ¥36,000、カーディガン ¥20,000、シャツ ¥12,000、パンツ ¥14,000、グローブ ¥11,000、スニーカー ¥19,000(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)
- ー今、tofubeatsさんのスタンダードは何ですか?
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tofubeats:ここ最近で一番長く続いてるのは、やはりスキニーパンツですかね。今日も穿いてきたんですけど、同じモデルの微妙な色違いを4、5本持っているんですよ。デザインも好きだしフィット感も程よい。ライブでも動きやすくて、スタイルが限定されないので調子いいですね。
- ー今日〈A|Xアルマーニ エクスチェンジ〉を着てみて、どうでしたか?
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tofubeats:正直言うと〈A|Xアルマーニ エクスチェンジ〉に対して、もっと派手な印象を抱いていたんですよね。ミラノのコレクションブランド然とした過度な装飾の服を想像していたんですけど、全然違いました。きっとコーディネートを僕の印象に合わせてもらったのもあると思うんですが、シックな印象で大人っぽく、ディテールやカラーリングも、ちょうどよかった。
- ーちなみに〈A|Xアルマーニ エクスチェンジ〉は以前からご存知でしたか?
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tofubeats:ブランド自体はもちろん知っていましたよ。普段から服を探しに行ったりするので見ていました。それに父親の影響で、幼い頃からファッションブランドに触れる機会も多かったんです。それもあって〈ジョルジオ アルマーニ〉のカジュアルライン、というくらいのレベルですが、理解していました。
- ーそうだったんですね。tofubeatsさんのファッションへの考えかたはご両親からの影響も少なからずあるのでは?
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tofubeats:そうかもしれませんね。小さいときからいいものはいいんだな、と思っていましたし、長持ちするものが良いって発想も、そこからきているのかもしれません。
「個人的にもっとも〈A|Xアルマーニ エクスチェンジ〉っぽいな、と感じたのが、このエコレザーのジャケットです。ワッペンを使った、どこかかわいらしさを漂わせるデザインが気に入っています。とっぽく渋いコーディネートに合わせてもマッチするんでしょうけど、あえてポップに着たいですね」。〈A|Xアルマーニ エクスチェンジ〉ブルゾン ¥35,000、パーカ ¥18,000、ニット ¥14,000、パンツ ¥17,000(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)、その他 スタイリスト私物
- ー音楽を制作するにあたって、ファッションが影響を与えることはありますか?
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tofubeats:自分がファッションに興味がなかった頃は「ファッションがちゃんとしていない人間が作る音楽はよくない」みたいな、そういう固定概念的なものが嫌だったんです。でも、こうしてモデルをやったりして感じるのは、やはり気分がガラッと変わるっていうことなんですよね。家で音楽を作っているときでも、ジャージーのままでやるのと、しっかり着替えて挑むのとでは、制作の進みかたが全然違うんです。そういった意味で服装が音楽制作に影響することはありますね。結局、ファッションは自分のためにあるものだし、ちゃんと、自分が好きなものを身につけることが大事なんだと、ここ数年でやっと考えられるようになってきました。
「ようやくパッケージされたライブを見せたいという欲が芽生えた」
- ー最近の音楽活動についても教えてください。メジャー3枚目のアルバム『FANTASY CLUB』を5月にリリースし、現在は各地でリリースパーティが開催されていると思うのですが。
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tofubeats:今回のツアーでは基本的に『FANTASY CLUB』の曲だけをやっているんですよ。しかも、照明などのスタッフも自分たちで手配しました。ステージ上の見栄えも含めて、総合的に自分がディレクションに携わっているのは初めてのことです。もう10年くらい音楽活動しているんですけど、ワンマンライブも初めてやって。細部まで含めて、これまでと変えていこうと意識的にストイックにやっているので、大きな変化を実感しています。
- ーこれまでやってこなかったワンマンをやろうと思った理由は?
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tofubeats:さまざまな理由があるんですけど『FANTASY CLUB』を制作したことで、ミュージシャンとしてパッケージングされたショーを見せたいという欲がようやく芽生えてきて。今までは、お客さんが音源を聴いてくれて、大勢のアーティストが出演しているパーティの中で、自分のライブを楽しんでくれれば何でもいいと思っていたんですが、今作のライブでは、限定的な見せかたをするのもいいかな、と考えかたが変わってきたんです。そう思えるアルバムができたのが大きいかもしれませんね。
「中綿が入ったジャケットなのにライダースタイプっていうのがユニーク。裏地の蛍光色がアクセントになっているのもいいですね。タートルネックのニットも気に入りましたね。中央のイエローのラインが洒落ていると思います。シンプルだけどポップで惹かれます」。〈A|Xアルマーニ エクスチェンジ〉ジャケット ¥31,000、ニット ¥19,000、パンツ ¥17,000、スニーカー ¥19,000(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)
- ー『FANTASY CLUB』については明確なコンセプトがあって制作したんですか?
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tofubeats:最初から明確なビジョンがあったんです。“オシャレ” をテーマにアルバムを作るということを念頭において、アートワークを含めたすべての制作に取り組んでいきました。“オシャレ” ってポップで少し幼稚な表現なんですけどね。例えば、アートディレクターには「ジャケットの裏面はファッションブランドのDMみたいなデザインにしてください」なんてオファーして。初めてがっちり流れを意識した作品になりました。
- ー“オシャレ” をテーマにしたのには、どんな意図があるんですか?
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tofubeats:作品の構想を一昨年の年末から考え始めたんですが、その頃、日本の音楽シーンでは、過激でストレートな表現が流行っていたように思います。いかにバズらせるかを意識しているかのような、直接的な言いかたというか。その反対の要素として、あえて曖昧な言葉である “オシャレ” という表現で、想像力に訴えた発信をしたいと考えたんです。本音を伝えたいときにオシャレな伝えかたをする、そういう意味での “オシャレ” をアルバムにしたかったんです。
- ーリスナーの思考力に委ねるような作品にしようとしたんですね。
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tofubeats:自分にとっていい音楽というのは何回も繰り返し聴けるものなんですよ。一回聴いただけでいいと判断されるものにはなりたくなくて。シンプルで聴きやすいだけの音楽って奥行きが感じられなかったりしますからね。何度も聴くことで聴こえかたも変わってくるような音楽じゃないと意味がないじゃないですか。そこは意識しましたね。
- ー10月にリリースした『BABY EP』はアルバムのカットですね。
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tofubeats:『FANTASY CLUB』の制作にあたって、一番最初にできた楽曲が『BABY』なんです。この曲が軸となってアルバムになっていきました。ありがたいことにドラマ(フジテレビ系ドラマ「アイ~私と彼女と人工知能~」)の主題歌にピックアップしてもらって、このタイミングでのリリースとなりました。もともとはアルバムの前に発表しようかと考えていたんですけど、まぁ、これもある意味、必然だったのかもしれませんね。
- ー最後に、これからの活動について教えてください。
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tofubeats:とにかくいい曲をたくさん作るのが人生の目標なので、ソロ、プロダクションワーク、どちらでもいいものを作っていきたいと思います。それを多くの人に聴いてもらえたらラッキー、みたいな。そんな感じです。