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FEATURE|Larry Clark & Leo Fitzpatrick talking about themselves. ラリー・クラークとレオ・フィッツパトリックが語る、 ユースと、ファッションと、成長のこと。

ラリー・クラークとレオ・フィッツパトリックが語る、 ユースと、ファッションと、成長のこと。

Larry Clark & Leo Fitzpatrick talking about themselves.

ラリー・クラークとレオ・フィッツパトリックが語る、 ユースと、ファッションと、成長のこと。

ユースカルチャーを描き続け、ファッションの世界にも多大な影響を与えるアーティスト、ラリー・クラーク(Larry Clark)。彼がこれまでに撮りためた膨大なスナップショットやポートレートのアーカイブを、どれでも1枚15,000円で販売するというプロジェクト「TOKYO 100」が、原宿のGALLERY TARGETにて行われた。これまでにNY、LA、ロンドンなどでの開催を経て、最後の開催地になるという今回の東京。この企画のキュレーターであり、かつてラリーの代表作である『KIDS』で主役を務め、実際に90年代のNYをひとりのスケーターとして生きてきたレオ・フィッツパトリック(Leo Fitzpatrick)、そして当事者であるラリーの二人に話を聞いた。

  • Photo_Shin Hamada
  • Text_Maruro Yamashita
  • Edit_Jun Nakada
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スケーターを対等な存在として扱ってくれた。(レオ)

ーラリーと最初に会ったときのことを覚えてる?

レオ:『KIDS』の前だから、90年代初頭のことだね。スケーターっていうのは誰のことも信用しないものなんだ。ティーンエイジャーだった頃、スケートボードをするっていうことは大人の敵になるということだった。大人たちは、スケートボードなんかしていたら負け犬になって刑務所に行くようになるぞ! っていつも言い続けていたからね。けど、ラリーはそんなスケートボーダーに興味を持ったんだ。まるでサポーターか警察みたいにいつも観に来るから、なんでこんなに興味を持つのか不思議だったよ。当時は、今みたいにスケートボーダーが決してクールな存在としては捉えられていなかったからね。ラリーが賢かったのはスケートボードのフォトグラファーとして有名だったトビン・イェランド(Tobin Yelland)と連んでたこと。それでスケートボードの世界にアクセスできる存在として認められたんだ。50歳を超えた既に確立されたアーティストが、13歳のスケートボーダーと一緒になって滑っていたんだよ、決して上手くはなかったけどね(笑)。けど、彼は僕らのことを決して子供としてじゃなく、対等な存在として扱ってくれたんだ。それはとても重要なことだった。キッズは対等な存在として扱ってもらいたかったんだ。それをラリーがやったんだよ。大人を信じるのも悪くないってね。

ーもう出会って20年以上経つけど、彼の印象は変わった?

レオ:ラリーとは家族以外では最も長い時間、一緒にいるかもしれない、このアートショウも全部僕がオーガナイズしてるし。ラリーの家に行って、床中に散らばっている写真を集めたりするところからね。ラリーは父親みたいな存在だけど、クレイジーな父親だよ、わかるだろ(笑)? 完全に理解するのは簡単じゃないんだ。ラリーと20年以上に前に出会って、映画を一緒に作って、今はこういうアートショウを一緒にやってる。それこそ本当にクレイジーだと思うし、20年も経ってる感じがしないね。面白いのが、僕には子供がいて、ラリーには孫までいる。キッズがキッズを育ててるんだよ。

コミュニケーション方法が変わっても、
キッズはいつの時代もキッズだ。(ラリー)

ーNY、LA、ロンドンでの展覧会はどうだった?

レオ:どれもまったく違ったね。僕が面白かったのは、土地ごとでお客さんが求める写真が違うってこと。だから、東京の人たちがどんな写真を求めているのか興味深いね。このアートショウの良いところは、自分自身でどの写真が良い写真かっていうのを決められることなんだ。伝統的なアートショウっていうのは、決められた作品が展示されていて、これが良い作品だ! っていう感じで決められているだろ? けど、ここには1000枚以上の写真があって、自分自身で一枚ずつ写真を手にとって、自分にとって本当に意味のある一枚を選べるんだ。あと、今は気に入らないデータがあったら簡単に削除できるだろ? けど、この箱には過去20年間における良い写真も酷い写真も全部入ってる。どちらも見せることに意味があるんだ。これってとてもノスタルジックな試みだし、セールスはそんなに気にしていない。NYでの開催時はスケーターの口コミだけで宣伝していたくらいだしね。ラリーにティーンエイジャーを撮らせたら右に出る者はいないと思うよ。13歳から19歳くらいまでは、いろんな変化がある期間なんだ。ヴァージニティーがなくなったり、酒やドラッグを体験したり、人生の他の期間とは比べものにならないくらいいろんなことが起こる。だから僕にとっては、どの都市においても、来てくれるお客さんが大切なんだ。キュレーターとかギャラリストの反応じゃなくて、お客さんの反応が一番面白い。写真自体、僕は何度も見てるけど、その写真をお客さんが見て興奮してくれる姿を見られるのは最高なことだね。

ーラリー、あなたは『TULSA』をリリースした頃から一貫してキッズを撮り続けてきました。70年代のキッズと現代のキッズに違いはある?

ラリー:キッズはいつの時代もキッズだよ。けど、世界が変わったんだ。私は1950年代に生まれて、もうすぐ73歳だ。当時とはすべてが変わってる。キッズはインターネットであらゆる情報にいつでもアクセスできるし、何か疑問があればGoogleがすぐに答えを出してくれる。私にとって面白いのは、コミュニケーションの方法が変わったことだ、インターネットによってね。数年前にフランスで映画『The Smell Of Us』を撮ったんだ。パリのスケーターの映画を。2017年には日本やアメリカでも公開される予定だけど、その映画では、キッズがインターネットによって、トラブルに巻き込まれる姿を描いてる。彼らは何でもすぐインターネット上に投稿しちゃうからね。パーティでの酒やドラッグ、セックス、喧嘩や流血。起こったことすべてをビデオやカメラで撮影して、行動のすべてをナチュラルに曝け出しちゃうんだ。彼らはテレビを見ないで、友達同士でブロードキャスティングをしている動画を見ているんだ。常にお互いを撮っていて、友達同士で常に監視し合っているような状況。同じ部屋にいても、会話をしないで、携帯でテキストを送り合っていたりね。世界が変わったんだって思ったよ。けど、キッズは変わらない。

ユースカルチャーがファッションをつくっている。(ラリー)

ー近年、ユースカルチャーがファッションのトレンドになっていることについてはどう思う?

レオ:それは良い質問だね。HypebeastなどのWEBメディアによって、〈シュプリーム(Supreme)〉はとてもポピュラーなものになったよね。もしかしたら、それを変に思う人もいるかもしれないけど。僕は〈シュプリーム〉と共に大人になってきたけど、今じゃ〈シュプリーム〉を着るのを恐れている。もういい歳だからね。「お父さん、なんでそんなの着てるの?」って言われちゃうよ。ただ、キッズがファッションの世界に飛び込むのはとても良いことだと思う。なぜなら、彼らには情熱があるから。けど、それは店の前で商品を買うために徹夜で並ぶってことじゃないんだ。キッズが自分たちでデザインして、自分たちの服を作りたいって考えることが面白いんだ。なんにせよ、キッズが情熱を持つことは良いことだと思う。あと、ファッションはとてもアクセスしやすいものになったよね。ちゃんとした勉強を受けなくても、今じゃ誰でもシルクスクリーンを使って自分の家でもスウェットシャツが作れる。凄いことだよ。小さなブランドにも可能性があるってことだからね。たとえば、僕の友達のカリ・ソーンヒル・デウィット(Cali Thornhill Dewitt)はカニエ・ウェスト(Kanye West)の服をたくさん作ってる。それらの大半を僕は良いと思わないけど、それをイケてる! って思う人もいる。でも、〈シュプリーム〉のBOXロゴのTシャツみたいな、アイデアのある商品がずっとクールなものとして、キッズにフィールしているのは良いことだと思う。だから僕みたいなおじさんたちは他の服を着るべきだね(笑)。

ラリー:ユースカルチャーがファッションのトレンドなのはずっと昔からだよ。ファッションはコマーシャルな世界で、常にアーティストから何かを盗んでいるんだ。別に今に始まった話じゃない。ファッションはアーティストたちから、そして若者たちからスタイルを盗んでいるんだ。2006年に撮った映画『Wassup Rockers』では、LAにある、白人が決して足を踏み入れないエリア、サウスセントラルの貧しいラティーノキッズに出演してもらった。13歳から15歳くらいのね。ありのままの姿で出てもらったよ。長髪で、パンクやロックを聞いて、スキニーでタイトな服を着てた。じゃあ何故彼らがタイトな服を着ているかっていうと、貧乏すぎて子供の頃から着ている服を着続けるしかないからなんだ。新しいものを買えないからね。その頃彼らに言ってたんだ、「この映画が公開されたら、ファッションデザイナーたちは君たちのスタイルをパクって、タイトな服を作り出すよ、タイトなジーンズを600ドルとか700ドルとかで売り出すんだ」ってね。実際その通りになったよ。クレイジーだよね。ファッションは常にそういう風にユースカルチャーやアートからスタイルを盗むんだ。本当のことだよ。

 

ー最後に、今お二人は何に興味がありますか?

ラリー:もっとたくさんの映画を撮ること。あとはペインティング。人々のポートレートを描きたいと思っている。

レオ:すべてのことに興味があるよ。今のNYは高級化しちゃって僕が生まれた頃とは変わってしまったけど、NY出身のやつは、とにかくリサーチするのが好きで、本を読むのが好きで、常に何か他とは違ったことがないか探しているんだ。決して満足しない人種なんだよ。そこが良いところだよね。好奇心は尽きることがなく、常に新しい何かを探している。それが僕の場合、アートだった。今はどうやって歳をとっていくかっていうことにも興味があるよ。ティーンエイジャーの頃は毎日がクレイジーだったし、友達の多くは若くして死んじゃった。それって文学的だしイージーだけど、僕はそうはならなかった。最初のパートは失っちゃったんだ。若くして死ぬこともなかったし、何も起きなかった。だから、僕は歳の重ね方を考えなくてはいけないんだ。これってとても面白いことなんだよ。老けることなく、歳を重ねるためにはどうしたらいいかってね。マインドは未だに20代だけど、実際はもう40代。大きすぎるクエスチョンだよ。けどこれが人生なんだ。

Larry Clark 「TOKYO 100」
会期:9月23日(金)〜10月3日(月)
場所:GALLERY TARGET
住所:東京都渋谷区神宮前 2-32-10
時間:12:00〜19:00
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