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町と人とラン。「小布施見にマラソン」が特別な理由。

町と人とラン。「小布施見にマラソン」が特別な理由。

長野県小布施町で開催される「小布施見にマラソン」は、世にも奇妙なハーフマラソンの大会です。エイドにはさまざまな食べ物が溢れ、地元住民は趣向を凝らした応援を繰り広げ、参加者の大半は本気で仮装する。この説明だけだとよく見かける「ファンラン」ですが、その言葉が流行する前から続く、実に変なレースなのです。今回、走ることを起点に、町とコミュニティのあり方について考えました。どんなレースにも似ていない、特別なハーフマラソンをレポートします。

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「無理しないでくださいね。無理して走らないでください!楽しむことが一番ですから!」という開会の言葉からはじまるハーフマラソンのレース。それが、長野県、小布施町で開催される小布施見にマラソンです。

長野県の北部、栗と葛飾北斎がキーワードの町…という説明はグーグル検索に譲るとして、小布施という町は独特の引力を持っています。小布施見にマラソンは、そんな町を象徴するレースと言えるでしょう。

左から、井田正明(スタイリスト)、井守英恵(ローリーズファームPR)、長嶋太陽(フイナム編集部)久保江由貴(ジーナシスPR)

レースに参加したのはこの4人。井守さんはランニングビギナー。久保江さんはときどき走るそう。初心者の目線から小布施見にマラソンはどう映るのでしょうか。

一方で、スタイリストの井田さん、フイナム編集部の長嶋はフルマラソン経験者。楽しみながら走る、ということがどういうことなのか、なかなか想像できませんでした。

前述の通り、「無理しないでください!」という言葉とともにレーススタート。まず、のどかな田園風景にとにかく癒されます。前方集団を除いて、ほとんどの参加者はゆっくりとしたジョギングのペースで走ります。

「OFF NO MICHI」とは、小布施見にマラソンを象徴する言葉。観光用の道を走るのではなく、普段の小布施の生活の様子を路地や景観から味わってほしい、という意味が込められているそう。美しい景色を楽しみながら、「OFF」の気持ちでのんびりと楽しめます。

そして、何と言っても注目すべきは「エイド」の充実っぷり。

たくさんのお菓子。

野沢菜。

ミニトマト。

ネクタリン。

チェリーキッスジェラート。これらすべてが、オフィシャルの振る舞いだというのだから驚きです。

そして、なんといっても目玉は焼肉!この焼肉は町民の方が自発的に無償で振る舞っているそうで、さらに驚きました。

参加者の多くはしっかり立ち止まって食べて、その場でおしゃべりもしちゃう。ハーフマラソンのレース中という事実を忘れる、楽しくて不思議な光景でした。

2017年で15回目を迎えた小布施見にマラソン。仮装して走るというカルチャーはここからはじまったという説もあります。コース終盤に用意されている「アイス」のことを宣伝すべく、「アイスまであと○キロ〜」とつぶやきながら走る男性に、素直に励まされました!(それにしてもインパクトが強い)

管楽器を演奏しながら走る人も。相当重いはずなのに、軽やかな足取り。参加者それぞれが楽しむこと、楽しませることをナチュラルに行っているので、とにかく目まぐるしくいろんな出来事に遭遇します。

「普通の格好のほうが浮くよ〜」とは、ベテラン参加者の言葉。さまざまな仮装を目にしました。こちらで「ベストコスチューム賞」が発表されているので、来年の参考にどうぞ。

沿道の応援も気合いが入っています。21kmのレースを町民たちが前向きに楽しむ気持ちを持って盛り上げるということ。近年注目を集める「コミュニティ」という考え方は、こんなところに宿っているのではないでしょうか。

膝の痛みに襲われながらも、仮装、応援、エイドのおかげであっという間。

4人揃ってのゴール。自然を堪能し、人と触れ合い、たくさん食べながら走った21キロ。達成感はもちろん、普段のレースとは異なる「楽しかった」という後味が残ります。

ハーフマラソン初挑戦の二人は、「小布施だから走りきれた!」と口々に話していました。フルマラソン完走経験のある井田さんは、「こんなに楽しみながらのマラソンは初めて」と語ります。

ランニングはコミュニケーションである。という、フイナムランニングクラブ♡の思想ともつながるレースでした。

小布施見にマラソンは、町民がつくるマラソン大会。いったいどうやってこんな町ぐるみのレースを運営することができるのか?町長の市村良三さんはこう語ります。

「特別なことをしている意識はないんです。それぞれがやりたいことをやれる環境が大事ですよね。年齢や立場に関係なく、その道に詳しい人の話を聞いて、実践してみる。なぜか小布施には物好きが集まるので、いろんなことができるんですよ」

町長の家で取材を行っている際も、近隣の住民や、観光客がひっきりなしに訪れていました。玄関にはビールサーバーが置いてあって勝手に飲んでいいのだそう(!)。

「オープンガーデン」という取り組みも小布施の魅力。民家の庭を開放して、誰でも勝手に散歩していいという取り組み。え?プライバシーは?小布施では、なぜかそれが問題にならないんです。町が人を信用しているからこそできること。

ここにあるのは、「コミュニティをつくる」という意図ではなく、自然発生的に人が集まる心地よい「場」と、風通しのよいフラットな関係性なのかもしれません。じっくり体験してみないとわからない、不思議な魅力がたしかに存在します。

2018年の小布施見にマラソン開催は、7月15日(日)。レース参加の募集は、12月17日(日)のAM10:00から。毎回、すぐに規定人数に達して締め切ってしまうそうです。こちらからぜひ応募してみてください。きっと、あなたも小布施が好きになるはずです。

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