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SILENT POETSが紡ぐ音像と景色。

New Album「dawn」release

SILENT POETSが紡ぐ音像と景色。

デビューから25周年を迎えた「サイレント・ポエツ(SILENT POETS)」が、12年ぶりとなるオリジナルアルバム『dawn』をリリースしました。BUDDHA BRANDのNIPPS、一昨年発表された楽曲で共演を果たした5lack、そしていまを瞬くD.A.N.の櫻木大悟などの豪華な客演陣を迎え、サウンドスケープはより深みを増し、色とりどりの景色が見えてくる今作。もちろん、御家芸であるダブを軸とした楽曲も健在です。徐々に活動のペースを上げる「サイレント・ポエツ」こと下田法晴さんのいま。

  • Photo_Kenta Sawada
  • Edit_Yuichiro Tsuji
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自分が納得いかないものはやっぱり作れない。

ーデビュー25周年おめでとうございます。活動を振り返ってみて、いかがですか?

下田:1992年にデビューをして、その後はコンスタントに作品をリリースしていたんですけど、メンバーが自分ひとりになってからはペースが落ちてしまって。まぁそこにはいろんな理由があるんですが、まぁ今回ようやくオリジナルアルバムを出せて、25周年にふさわしいものができあがった手応えを感じています。

ー25年という活動のなかで変化したことはありますか?

下田:うーん…、なんだろ? 自分を取り巻く環境は大きく変わったかもしれません。メンバーも自分ひとりになりましたし。それ以外は…、あまり思い浮かばないですね。

ーむしろ、変わらなかったことの方が多いですか?

下田:うん、そうですね。自分の好きなものは変わらないです。音楽に関しても、自分が納得いかないものはやっぱり作れないので。いまこれが流行っているからとか、そういった理由で制作はしませんから。

ー25年もの長い間、活動を続ける秘訣はどこにあるんでしょうか?

下田:自分はグラフィックデザインの仕事もしているので、ペースを考えながら活動ができたというのはあるのかもしれません。音楽だけやっていると、やっぱりコンスタントにリリースしないといけませんから。そうすると、無理が出てきたりとか、やりたくないことまでやらないといけなくなってしまうと思うんです。

ーデザインと音楽でアウトプットのバランスが取れていたわけですね。

下田:どちらも別物ですけど、無理に作らなくていい環境があったというのは自分にとって大きいですね。やめようと思ったこともなくはないし、活動のなかで空白のある期間もあるんですけど、いいタイミングでいろんな人にサポートしていただいて、いまの自分があります。

ー一昨年には『東京 feat.5lack』を発表されました。その頃から活動のペースが徐々に上がっていったのでしょうか?

下田:あれはCMのために制作をしたんですが、その前からずっと曲を作りたい気持ちはあったんです。そんなときにタイミングよくオファーをいただいて。発表したら、かなり評判がよくて、「この流れに乗ればまたできそうだな」という感触が得られました。ちょうど25周年という節目も近づいていましたし。

ー去年はフジロック・フェスティバルにも出演されていましたよね。

下田:まさかのオファーでしたね(笑)。実はフジロックに行ったことがなくて、初めてだったんです。ピラミッド・ガーデンというステージでの出演だったんですが、すごくまったりした場所で、あそこでやれたのはすごくよかったですね。気持ちよかったです。

頭のなかに残っているシーンが作業しているときに作用することもありました。

ー先日リリースされた『dawn』は25周年に向けて制作されたものなんですか?

下田:そうです。ちょうど1年前くらいに制作をスタートしました。

ーアルバム制作のすべての作業が終わったいまの心境を教えてください。

下田:とにかくリリースできたことがうれしです。内容も満足していますし、やり切ることができました。いまはホッとしているというのが素直な気持ちです。





ー今作は、これまでの作品に増して、より情景的になった感じがしました。それは意識してのことなんですか?

下田:そうですか? 意識してそうしたわけではないですね。自然にできあがったものなので。ただ、これまではトータルでアルバムというものを考えていたんですが、今回はフィーチャリングのアーティストがたくさんいたので、一曲の完成度をより上げることに集中しました。そこがいままでと違うところです。

ーアルバム全体を眺めるのではなく、ということですか?

下田:そうです。トータルで考えて、「こういう曲があるから、他の要素も入れよう」というのではなくて、客演のミュージシャンに対してどういうものをつくろうかな? ということに集中したんです。

ーなるほど。

下田:なので、曲が全部できたときに、曲順をどうしようか悩みましたね。そこがいちばん苦労したところかもしれません(笑)。楽曲がバラバラなので、それを上手にまとめるにはどうしたらいいだろう? と。でも、最後の最後まで入れ替えながら考えたんですが、最終的にはうまくまとまったと思っています。

ー製作中に影響を受けたものはありますか? 例えば音楽とか。

下田:映画が好きで、むかしから年間100本くらいは観ているんです。音楽を聴くよりもそっちのほうに時間を割いていて、そこから受けた影響は大きいです。今回も製作中に頭のなかが煮詰まったりすると、息抜きに映画を観たりしたんですが、それがいい作用を与えてくれました。

ーそれは新旧問わずですか?

下田:新しいもの中心ですね。映画館で観て、帰ってきてから曲の雰囲気がガラッと変わっちゃったり、アレンジが変わったりとか、そういうのは結構ありました。

ー心に残っている作品はありますか?

下田:『ブレードランナー2049』、『ムーンライト』、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』、あとはジャームッシュの新作『パターソン』もですね。これらの作品にはかなり影響を受けました。

ー作品を見ている最中にアイデアが浮かぶんですか?

下田:それもありましたし、頭のなかに残っているシーンが作業しているときに作用することもありました。鑑賞中に、「あ、あの曲、このシーンにハマるかもな」と思って、それを思い出しながら帰って作業もしましたね。

ー下田さんの音楽を聴いていると、情景に加えて物語性のようなものも感じます。

下田:ありがとうございます。それは映画の影響が大きいかもしれないです。サントラとかに影響を受けたりもするので。

あのギターのループは永遠に聴いていられる。

ー今作には、先ほど話にあった『東京 feat.5lack』も入っていますね。

下田:あの曲はクライアントからテーマをもらって作った曲なんです。オリンピックに向けて、アスリートの気持ちを鼓舞する曲にしてほしいと、ある程度方向性を与えてくれて。




ー5lackさんとの共演も決まっていたんですか?

下田:そうですね。どうですか? と言われて、もともと好きだったので、「いいですね」とお答えしました。

ー会ってレコーディングを一緒にされたんですか?

下田:彼は福岡を拠点にしているので、レコーディングのときだけ東京に来てくれて。すごくいい感じでした。いい意味で素朴な人というか。当時から人気はあったんですけど、そんな素ぶりをみせずに、ナチュラルでした。

ー配信と7インチをリリースして、今作では『東京 feat.5lack[Extended DUB]』というバージョンになっています。

下田:一昨年レコーディングしたものをベースに再編集しました。ちょっと長くしましたね。なかなかラップがはじまらないっていう(笑)。

ーストリングスがより際立っているような気がしました。

下田:沖仁さんというギタリストに弾いてもらったんですが、本当に素晴らしいですよね。あのギターのループは永遠に聴いていられる。本当に我ながら気に入っています。

ーフレーズ自体は下田さんが考えられたんですか?

下田:そうです。打ち込みでデモをつくって、それに合わせていろんなミュージシャンに演奏してもらって生音を差し込んでいます。

ー5lackさん以外にもたくさん客演された方がいらっしゃいますが、人選はどうやって決めているんですか?

下田:基本的には、単純に自分が好きで、一緒にやりたいと思う人に今回お願いをしました。あとはスタッフに意見を聞いたり、自分で抱いているイメージに合う人を探したりもしましたね。

ー反響の多かった客演の方はいますか?

下田:D.A.N.の櫻木くんと一緒にやった曲は想像以上にみなさんがいいねって言ってくました。本当にありがたいことです。

ー『Simple』という曲ですね。

下田:ラップ以外に日本語のボーカルを入れたことがなくて、自分でも初挑戦のことだったんです。当然、櫻木くんの歌は素晴らしかったんですけど、思いのほか反響が大きくて自分でもビックリしています。

ーサイレント・ポエツとD.A.N.はどこか共通性があるような気がするんですが、ご自身でそういったものは感じますか?

下田:一緒にやる前からD.A.N.の曲は聴いていて、若い世代のなかですごくセンスを感じるアーティストだったんです。インタビューも読んで、アプローチの方法とか目指す方向について、考えていることに共感する部分がありましたし。

ー他によく聴いている音楽はありますか?

下田:製作中はほとんど音楽は聴いていませんでした。影響されちゃって、似たような曲になってしまうこともあるので。ちょいちょいつまむように、映画のなかで気になった音楽を聴くことはありましたけど、がっつり腰を据えて聴き込むというようなことはなかったですね。

ーライブへ行ったりとか、そういったこともしなかったんですか?

下田:もともとそんなにライブは行かないほうなんです。フジロックに出た翌日に、ビョークやボノボ、メジャー・レイザーを見たりはしました。あれは本当に素晴らしい演奏でした。

ー下田さんが楽曲を制作をする上で大事にしていることはどんなことですか?

下田:「この曲なんだ?」って、心のなかに引っかかりをつくるような曲を作りたいなぁと思っています。自然と引き込まれたりとか、歩きながら聴いていたら、景色が変わるような曲というか。やっぱり、自分自身がそういう曲が好きなので。

バンドセットでライブができたら。

ー今後のことについて最後に教えてください。

下田:アルバムからの2ndシングルを、10インチのアナログで4月にリリースする予定です。あと、もしかしたらですが、『dawn』のアナログも出すかもしれません。これはまだ決まったことではないので、なんとも言えないんですが。

ーアナログにこだわるのは理由があるんですか?

下田:自分がその世代なんです。自分のなかではアナログが当たり前なので。本当はすべての作品をアナログで出したいくらい(笑)。

ーライブの予定などは?

下田:まだ企画段階なので詳しいことは何も決まっていないんですが、やる予定です。バンドセットでできたらいいなぁと思っています。でも、本当にまだ企画している途中なので、どうなるかはわかりませんが、年内に必ず、どんな形であってもライブはやりたいと思っています。

SILENT POETS

silentpoets.net

『dawn』
01_Asylums for the feeling feat. Leila Adu
02_Distant Memory
03_Shine feat. Hollie Cook
04_東京 feat. 5lack [Extended DUB]
05_Eternal Life feat. NIPPS
06_Non Stoppa feat. Miss Red
07_Division of the world feat. Addis Pablo
08_Rain feat. こだま和文
09_Simple Dub
10_Simple feat. 櫻木大悟 (D.A.N.)
11_Non Stoppa Dub
PRICE:¥2,700+TAX
LABEL:ANOTHER TRIP
CATALOG NO:DQC-1599 (ANTP-005)
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