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FEATURE|生ける伝説が語る、コラボレーション、いまの活動、東京で行くショップ。

生ける伝説が語る、コラボレーション、いまの活動、東京で行くショップ。

STASH×DSPTCH

生ける伝説が語る、コラボレーション、いまの活動、東京で行くショップ。

80年代、マンハッタン・イーストヴィレッジにおいてグラフィティアートシーンを最前線で支え、いまや“リビングレジェンド”と謳われる存在となったスタッシュ(STASH)。デザイナーとしての一面ももち、有名ブランドとの数々の人気コラボレーションも手がけてきました。都市生活者や旅行者に向けハイスペックなギアを届ける〈ディスパッチ(DSPTCH)〉とのコラボでは、スタッシュのアイコンであるスプレーキャップを取り入れたバッグを制作。スタッシュ自身も愛用中だというプロダクトに寄せた思い、両ブランドの出会い、そしてコラボレーションの経緯について、〈ディスパッチ〉デザイナーのリチャード・リウ(Richard Liu)も交えて、語ってくれました。

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スタッシュ

1967年、ニューヨーク・ロングアイランドに生まれる。1980年代初頭に起こったマンハッタン・イーストヴィレッジ界隈のグラフィティシーンの中心人物であり、ニューヨークを拠点に活動を続ける“グラフィティアート界のレジェンド”のひとり。アート活動と並行して、90年代後半からは〈ナイキ〉、〈ア ベイシング エイプ(R)〉など名だたるストリートブランドとのコラボレーションも実現している。昨年末にローンチされた、〈ナイキ〉との最新コラボレーション「Air Zoom Spiridon」も話題に。

あるのは「さらにいいものを作りたい」という意欲だけ。

“グラフィティアーティスト界のレジェンド”と呼ばれ、有名ブランドとの数々のコラボレーションが話題になるなど、スタッシュという名前は日本のストリートシーンでも広く認知されています。一方で、現在の活動については、ダイレクトに届いていないように感じています。グラフィティなのかデザインなのか、いま主軸にしている活動について教えてください。

スタッシュいまは、ペインティングとデザインプロジェクトの間を行ったり来たりしているような感じかな。〈ディスパッチ〉との今回のコラボレーションも、実際に動き始めたのは1年以上前なんだけど、その間にもさまざまなプロジェクトが進んでいて、プロジェクトの合間にペインティングなどの制作活動もおこなう場合もあるね。

なるほど。そのように二本柱で活動していると、やはりそれぞれの活動内容が相互に関係し合うこともあるのでしょうね。

スタッシュそうだね。両者は異なるメディアだから直接的というわけではないけれど、おそらくどこかで、でも確実に繋がっているはず。カラーリングだったり、テクスチャーだったりで。あとは、ひとつのデザインプロジェクトに携わっているうちに、そこでやっていることを別のメディアで試してみたくなることもある。そうやって、常にバランスを取りながら活動しているという実感はあるかな。

グラフィティアーティストとしては10代の頃から最前線で活躍していながら、いまだにライフワークのように続けている。その消えない原動力は一体何なのでしょう?

スタッシュ何だろう…、僕にもわからない(笑)。「起きてから寝るまで、毎日だいたい同じことを繰り返してるだけ」っていう、当たり前の感覚かな。当たり前の生活を、“幸運にも”自分の好きなことを基盤にして続けることができている…そういう感覚。

自分の活動をあまり強く意識しすぎないということが、かえって安定した活動の継続に繋がっているということでしょうか。反対に、日々の生活や活動のなかで意識していることはありますか?

スタッシュ常に“次”を意識するっていうのは、ひとつモチベーションとして挙げられるかもしれない。やり終えた仕事に満足する暇もないくらい、「さらにいいものを作りたい」という意欲がどんどん湧いてくるんだ。いまの時代、技術がものすごいスピードで進歩していくでしょう? たとえ同じようなものを作るにしても、その時々で使えるものがアップデートされて、できることも増えていく。それって、ものすごく刺激的なことだよね。

では、制作やプロジェクトをおこなう上でインスピレーションとなっているのは、どんなことですか? たとえばデザインプロジェクトに臨んでいるときには、やはり普段おこなっているペインティングからのアウトプットが多いのでしょうか?

スタッシュそれは、プロジェクトにもよるね。「何を、誰に向けて打ち出すのか」といったポイントによって、それぞれ別の方法を選択するようにしているんだ。基本的にグラフィティデザインをおこなうときは、これまでにデザインした膨大なストックのなかから、そのプロジェクトに対して適切なものを選んでいく。ときに自分の深い所と向き合い、ときに誰かとディスカッションを重ねながらね。それは、キャンバスに向かっているときでも、パソコンの画面に向かっているときでも変わらないと思うよ。

両者の特性を失わないコラボこそやりがいがある。

(左)〈ディスパッチ〉デザイナーのリチャード・リウ

なるほど。そんなデザインストックのなかから、今回のコラボレーションではあなたのシグネチャーとも言えるデザインワークであるスプレーキャップを選んだわけですね。そもそも、今回〈ディスパッチ〉と初めてのコラボレーションに至った経緯について、聞かせてください。

リチャードちょっと横から入らせてもらうんだけど(笑)、はじまりは、彼が〈ディスパッチ〉のデイパックを使っているのをインスタにポストしたことがきっかけでした。それを見て、私から連絡したんです。

スタッシュいや、ポストしたのはカメラ用のリストストラップだったね!

リチャードそうだっけ? リストストラップをぶら下げた、デイパックじゃなかった?(笑)

(笑)。

スタッシュその頃、僕はカメラ用のストラップとバッグを探していて、インターネットで彼のブランドを見つけたんだ。彼から連絡をもらってからやりとりを続けるうちに、業界のなかに共通の友人が多いことや、知らない間にお互い同じパーティーに出席していたこと、そんな風に共通点が多いことに気づいた。

リチャード初めて会ったのは、3年前のことでしたね。ベルリンで開催されたトレードショーで。それからは、お互いがお互いのスタジオに何度も足を運ぶようになって…。

リチャードさんから見て、スタッシュさんはそれまでどのような存在だったのでしょう?

リチャードもちろん彼のことは昔から知っていたし、だから彼が私のプロダクトを気に入ってくれていると知って単純に嬉しかった。彼が〈ディスパッチ〉を見つけて、我々が出会って、その間も彼は私のプロダクトを使い続けてくれて。そうしているうちに、「そろそろ一緒に何かつくるのにちょうどいい頃合かな」なんて、とても自然な流れでコラボレーションが決まったんです。そういう意味では、今回のコラボレーションは我々が一緒に過ごした時間の“結晶”みたいなものかもしれません。

そうやって、およそ一年間かけて発売に至ったというわけですね。スタッシュさんは、コラボレートするにあたって何か目標としたことはあったのでしょうか?

スタッシュ今回のコラボレーションに関しては、ある種“イントロダクション”のようなものだと思ってるんだ。〈ディスパッチ〉と一緒に何かをつくるということに、どんな可能性が含まれているのかまず確かめる段階というか。より大きなアイデアへ向けての、小さな一歩のような気持ち。だから、それぞれブランドを成長させていきながら今後どのようなモノづくりができるのかまで含めて考えながらつくったんだ。

では、デザインなども、初回のコラボレーションということを意識してチョイスしたのでしょうか。というのも、〈ディスパッチ〉のプロダクトの特徴として“アノニマスなデザイン”が挙げられると思います。今回グラフィックを比較的控えめに用いたのも、やはりそのあたりに敬意を表してということでしょうか?

リチャードデイパックもリストストラップも、彼が初めて使った〈ディスパッチ〉のプロダクトだったということもあって、彼を端的に表現するシグネチャーをデザインとして取り入れたかったんです。一方で、〈ディスパッチ〉のクリーンでミニマルな部分も損ないたくはなかった。そういう意味では、今回のコラボレーションは、彼のカラフルなアートと私のブランドの持つエッセンスをうまく馴染ませることに成功しているように思います。

スタッシュひとつのプロダクトに、相手へのリスペクトと自分の感覚両方を落とし込んでいく作業には、想像以上にやりがいを感じたよ。

その結果、どんなスタイルにも馴染みやすい、オーセンティックな雰囲気に仕上がっていますね。最後に、来日する際にいつも行っているお気に入りのショップなどがあれば、教えてください。

スタッシュそりゃもちろん、「東急ハンズ」だね! 時差ボケがひどくて早く起きてしまうから、いつも開店時間ぴったりに行くことにしてるよ(笑)。あとは、日本に住む同じ業界の友人やショップを回ったり。

リチャード“あの話”をしなよ。

スタッシュああ、そうだった! ステーショナリーコーナーに、試し書きシートがあるよね? 以前来日したときに、あれに簡単なグラフィティアートを描いて、それをインスタに載せたんだ。「#Tokyuhands5F」ってね。そしてその場を去った。ピース。どうなったと思う? 1時間後、「シュプリーム」の近くで、「スタッシュさんッッ! 見ましたよ」って声を掛けられて…。

とんでもない時代になりましたよね(笑)。

スタッシュ本当に、「WTF!!?」って感じだよ!(笑)ソーシャルメディアのおかげで、いまや世界が本当に小さくなってしまった。それからは、来日するたびに新しい人に出会えることを願って小さなアートを残すようにしているよ。もちろん、明日の朝もやる予定(笑)。

DSPTCH TOKYO

電話:03-6804-2952
dsptch-jp.com

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