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インスタグラム界のバンクシー!? imiarigeに加賀美健が接触!

Talking About SNS

インスタグラム界のバンクシー!? imiarigeに加賀美健が接触!

フェイスブックやツイッターなど、インターネットの普及によりさまざまなSNSサービスが充実する現代社会。とくにインスタグラムの人気は衰えることを知らないほどの過熱っぷりだ。現代美術アーティストの加賀美健もこのサービスを愛用する人物のひとり。そんな彼が“インスタグラム界のバンクシー”と勝手に命名する謎のアカウント「imiarige(イミアリゲ)」との接触に成功! フォトグラファーの題府基之と共にimiarige氏の存在に迫りつつ、「SNS」というテーマで縦横無尽にトークを繰り広げます。

  • Photo_Moyoyuki Daifu
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Hiroshi Yamamoto
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固定概念を壊して、画像に映っているものをまったく別物に変えてしまう。

ー今回は「SNS」をテーマにした内容になるんですが、加賀美さんと題府さんはimiarige(イミアリゲ)さんと初対面なんですよね?

加賀美:そう、会うのは今日がはじめて。去年の夏くらいにインスタグラムを見ていたら、ふとimiarigeさんを発見して。それで「この人ユーモアがあるなぁ」と思ってフォローして、「おもしろい!」ってコメントしたのが出会いというか、ファーストコンタクト。それでimiarigeさんも「ありがとうございます」ってコメントしてくれて、なんか文通みたいな感じでやりとりがスタートしたんだよね(笑)。

彼のインスタグラム最高 @imiarige

Kenkagamiさん(@kenkagami)が投稿した写真 -


imiarige:もともと加賀美さんのアカウントをフォローしていて。ある日突然、加賀美さんがぼくのことをインスタグラムで紹介してくれたんですよ。その後10分くらい「いいね」が鳴り止まなかったですね(笑)。

ー加賀美さんに発見される前はフォロワー数どれくらいだったんですか?

imiarige:80人くらいですね。

加賀美:それがいまじゃ1000越えているんでしょ? それはやっぱりおもしろいからだよ。それで題府くんともimiarigeさんの話題で盛り上がって、フイナムの対談で呼ぼうっていう話をツイッター上でしてたんだよね。それでimiarigeさんにメッセージを送ったら、ぼくたちのやり取りを見ていたらしく(笑)、すぐにOKしてくれた。

imiarige:そのツイッターの会話の影響かわからないですけど、そのときもちょっとフォロワーが増えましたよ(笑)

ー去年の夏にファーストコンタクトがあり、約1年間やりとりを交わしてようやく今回晴れて邂逅を果たしたわけですが、実際に会ってみていかがですか?

加賀美:宮崎駿みたいなヒゲを生やした40歳くらいの人を想像していたんだけど、見た目は思ったよりも若くて清潔感もある人だよね。

題府:健さんとツイッターで「imiarigeさんってどんな人なんだろう?」っていう話をしていて、お互い想像が膨らみすぎてどんどんハードルが上げちゃったんですよね。

ーおふたりはimiarigeさんのどんなところに興味を持ったんですか?

加賀美:日常のワンシーンを写真で切り取って、そこにコメントを付けてアップするのがインスタグラムの一般的な使い方でしょ? でもimiarigeさんの場合は違うんだよ。日常的な写真とかアート作品とか芸能関係の写真に、大喜利のように一言付け加えてアップしている。それがおもしろいんだよね。

ジョン・ケージ - 4分33秒

◎さん(@imiarige)が投稿した写真 -




RADIOHEAD

◎さん(@imiarige)が投稿した写真 -



ブラジルの人 聞こえますかー!

◎さん(@imiarige)が投稿した写真 -



TAICOCLUB テント 場所取り

◎さん(@imiarige)が投稿した写真 -


ー加賀美さんもご自身のアカウントで似たようなことをされていますよね?

加賀美:ぼくのポストには知性がない。でも、imiarigeさんの投稿にはインテリジェンスを感じるんだよね。芸大出身の香りというか(笑)

題府:そうそう、なんか抜けた感じがありますよね。王道とは違う角度の切り込み方をしていて、その視点にすごく驚かされる。なんというか、すごくアート的なんです。

加賀美:そう、まさにアートだよね。固定概念を壊して、画像に映っているものをまったく別物に変えてしまう。アパホテルの社長のシリーズとか、最高だよね(笑 )

テレビ東京 ロゴ

◎さん(@imiarige)が投稿した写真 -



OMOIDE IN MY HEAD

◎さん(@imiarige)が投稿した写真 -


題府:ネタが高度すぎて、たまに意味がわからないときもありますしね。

加賀美:意味わからなくても「いいね」押すけどね。わからないから押してないってバレるのが悔しいから(笑)。

普段は働きながらバンド活動も。imiarigeの私生活の実態。

題府:ネタはいつもどこがスタートになって投稿しているんですか? 画像? それともコメント?

imiarige:両方ですね。画像のときもあれば、コメントのときもある。頭のなかに「こうゆうことアップしたいなぁ」というイメージがあって、それに対して画像なりコメントなりが浮かび上がってくるって感じですね。あとはスマホのなかに画像のストックがいっぱいあるんですよ。絵力のある画像は保存しておくようにしているんです。それにコメントをつけて処理していく場合もあります。

加賀美:なるほどね! だからあんなに頻繁にアップされるんだ。

imiarige:でも、あんまり一生懸命にならないようにはしていますね。

加賀美:わかるわかる、ひねりすぎちゃっても良くないからね。そのさじ加減が絶妙なんだよ、imiarigeさんは。

ーそもそもimiarigeさんがインスタグラムをはじめたきっかけはなんだったんですか?

imiarige:単純にフェイスブックに飽きていたので、はじめは新しい友達との交流方法としてスタートしたのがきっかけですね。で、むかしから人を食べ物に例えるっていう遊びを友達としていたんです。インスタグラムはそれの延長線上にあるかもしれない。

加賀美:なるほど! そういうベースがあるから、いまもこうしておもしろい投稿ができるわけだ。こういうのって筋トレみたいなもので継続が力になるからね。しっかりとimiarigeさんのスタイルが確立されている。

imiarige:続けようという意識はとくになったし、目標もべつにないんですけど、とりあえずいまは思いついたらポストするようにしていますね。

加賀美:ところで普段はなにしてるんですか?

imiarige:普通に仕事をしています。あとはパンクやハードコアのバンドをやっていたり。好きな音楽は渋谷系なんですけどね、シトラスとか、ホフディランとか、カジヒデキとか。

加賀美:全然パンクじゃないじゃん(笑)。大学ではどんなことを勉強してたの?

imiarige:一応芸術系の大学で、映像をつくる学科にいました。音楽が好きなのでPVとかをつくりたいなぁ、と思ってたんです。でも、いまの仕事はそれとはまったく関係ない仕事ですね。

題府:恋人はいるんですか?

imiarige:もう10年近くいないですね…。

一同:(笑)

ユーザーの種々様々な個性が見えるところがSNSの魅力。

ーimiarigeさんは他のSNSはやっているんですか?

imiarige:インスタと、あとはフェイスブックだけですね。もともとツイッターやミクシィも登録していたんですが、いまはもうやっていないです。

加賀美:SNSのいいところは、こうやって知らない人とコミュニケーションが取れることだよね。それでお互い意気投合すれば今日みたいに実際に会えるわけだし。もともとぼくはSNS否定派だったんだけど、2年前に携帯をガラケーからスマホにしてからはまんまとハマってしまっている(笑)

ーどうしてそんなにハマってしまったんですか?

加賀美:だって、おもしろいんだもん。

題府:インスタをはじめたばかりの頃は一日中ずっと写真あげてましたもんね。

加賀美:くだらないネタ連投してるからフォロワーが減るんだよね(笑)。ウンコネタはとくに必殺。一気に減るから。しかもうちの奥さんにも怒られる。「あのね、食事している人もいるんだからね」って、小学生みたいな怒られ方するんだよ(笑)。でもおもしろいのが、連投で40人くらい一気にフォロワーが減るんだけど、なぜか新しいフォロワーも40人くらい増えているんだよね。

SHIT HOUSE 2016 mixed media

Kenkagamiさん(@kenkagami)が投稿した写真 -





Kenkagamiさん(@kenkagami)が投稿した写真 -



あなたのカバンの中身見せて下さい

Kenkagamiさん(@kenkagami)が投稿した写真 -




ー以前に公開したコチラの記事で加賀美さんが「自分がいいなと思うポストには、いいねが付きにくい」という発言をされているんですが、imiarigeさんもそういう現象って起こりますか?

imiarige:ありますね。でも、そのズレがおもしろい。

加賀美:なんでもかんでも「いいね」が300とか400つくようになると、ちょっと気を付けたほうがいいかもしれない。それってたぶん、おもしろくなくなっているときだから。ジェネラルでスタンダードな感覚も大切なんだけど、やっぱり個性がいちばん重要だからね。

imiarige:そういう意味では、ぼくはたくさん「いいね」を取ろうと思ってやってないですね。ハッシュタグとかも使わないですし。

加賀美:なんか最近、自分の顔を出さないで洋服のコーディネートをあげている人いるでしょ? たぶん普通の主婦なんだけど、そういう人が何万人もフォロワーいたりする。で、「いつもお洋服が素敵です! トップスはどちらのですか?」ってコメントが書いてあって、「ありがとうございます! 今日着ているのは●●●ですよ」、「◯◯さんが着るとすごくおしゃれに見えます」、「本当ですか? ありがとうございます!」みたいなやりとりを毎回やってるんだよね。それが逆におもしろくなってきちゃって(笑)。そういう人に限って、自分の顔出さないのに子供や旦那の顔はガンガン出してたりするんだよね(笑)

imiarige:掘るとおもしろい人たちがいっぱいいますよね。むかし、ハッシュタグで「#婚姻届」って検索するのにハマってた時期があったんですけど、立ち会い保証人が結婚したカップルが婚姻届を提出する瞬間をアップしてたりするんですよ。「友だちの個人情報をお前がアップしてどうすんだよ!」ってツッコミたくなるような写真がいっぱいある(笑)

加賀美:おもしろいアカウントがたくさんあるんだよね。本人はおしゃれだと思ってやってるんだけど、客観的に見るとすごい笑える。でもそれは、ぼくらのポストをおもしろがってくれる人がいる一方で、逆に「なにがおもしろいの?」って思う人もいるということで。その多様性がSNSの魅力でもあるよね。ツイッターでもきっとおもしろい人はたくさんいると思う。

インスタグラムはバーチャル世界の一種のギャラリー。

ー題府さんはフォトグラファーとして活動をしているわけですが、写真を投稿するインスタグラムというツールとはどんな向き合い方をしているんですか?

題府:自分の撮った作品をアップする人とかもいると思うんですけど、ぼくは単純に日常をアップしてますね。あとは展示会の情報を流したりとか。

加賀美:SNSで自分の作品を公開するのはあまりおもしろくないよね。ぼくは生っぽいほうが好きだな。

題府:使い方によってはギャラリーみたいに自分で世界観をつくることができますよね。インスタグラムという箱があって、そのなかでなにを表現するかだと思うんです。ある意味では独立した世界だから、自分が現実世界で表現している作品とはまったく別物として捉えていますね。



初の共同作業 #fumikoimano #keizokitajima

Motoyuki Daifuさん(@motoyukidaifu)が投稿した写真 -



有馬さんのパッキング!!

Motoyuki Daifuさん(@motoyukidaifu)が投稿した写真 -


加賀美:でも、最近はギャラリーがインスタグラムでアカウントを持つようになってる。むしろ持っていないのが遅いくらい。単純にDMだすよりも、インスタグラムに展示会の情報を流したほうが効率がいいもんね。あとは、SNSの世界って国境がないから海外の人たちとコンタクトが取れるところも便利で、インスタグラムを通じて仕事が舞い込んできたりするから侮れない。その反面、変なやつから連絡がきたりもするんだけど。

ーそれでもアーティストとしてはプラスの面のほうが大きいんじゃないですか?

加賀美:そうかもしれないね。でも一般の人とかも、例えば気になるショップのアカウントから新しいアイテムが入荷しましたっていう情報が流れてきて、「欲しいです」ってコメントすると、「お店に電話ください」って返事がきて、そこでビジネスが成立するパターンもあるわけでしょ。お店もお客さんも、お互いにとってプラスになるよね。

ーとはいえビジネス的なアカウントが増えてしまうのも、それはそれでリアリティに欠けてしまいますね。

題府:さっき健さんがツイッターもおもしろい人がいると思うって話してましたけど、ぼくも最近はインスタよりツイッターのほうがおもしろいような気がするんですよ。文章だけのほうが嘘くささが増して、当たり前だけどインスタとはちがった見方ができるな、と思って。

加賀美:「宝くじ当たりました」とか呟いてたらおもしろいもんね。ぼくもインスタグラムに書けないようなことはツイッターでつぶやいてる。あとツイッターはヒマくん(平山昌尚 / アーティスト)との連絡用に使ってる(笑)。彼とぼくのやり取りを楽しんで見ている人が結構いるんだよ。

imiarigeはインスタグラム界のバンクシー!?

ーでは今回も、そろそろまとめに入りたいと思います。

題府:さっきもちょっとだけ話しましたが、imiarigeさんがユニークなのは、SNSを通じて新しい発想の転換方法をぼくたちに気付かせてくれているところにあると思うんです。

加賀美:ぼくもまったく同じ意見。一見するとポップなんだけど、すごく高度なことをしているよね。絶妙なさじ加減で。

題府:アートでも、すごくいい作品に触れたときに衝撃を受けるじゃないですか。例えば、ウルス・フィッシャーがギャラリーの壁や床に穴を空けて、それを「アートだ!」と言っていろんな物の価値を変えちゃうのとおなじ感覚がimiarigeさんのポストにはある。大喜利的なフォーマットでギャグっぽいことをしているんだけど、じつはそれがすごくアート的というか。

ーimiarigeさんは誰かを笑わそうっていう意識でやっているんですか?

imiarige:ウケを狙ってやっているわけはなくて、このポストをして誰が「いいね」を押してくれるか見てみたいっていう好奇心がいちばん大きいですね。

加賀美:全員に分からせる必要ないもんね。そこがアートの魅力でもあり、寂しさでもあるんだけど。

imiarige:だからポストもコンスタントにあげるようにしているんです。一球入魂っていう感じだと、意味ありげになって狙ってるように見えちゃうんで。

加賀美:ウマい! でも確かに奇をてらう感じがないし、素でやってる感じが伝わるのがいいんだと思う。

ー今回加賀美さんや題府さんにフックアップされて意識が変わったとかありますか? 例えばもうちょっとアート的な思考を強めよう、とか。

imiarige:いえ、とくにないです。人を怒らせたり、傷つけるようなことはなるべく避けようと思うだけですね。

加賀美:真面目か(笑)。でも、そういうの大切。怒られたりするとやりにくくなるもんね。でもきっと大丈夫だよ、ぼくの〈シュプリーム〉にまつわる一連の投稿に対して、いまのところお咎めはないし。

一同:(笑)。

題府:誰も傷つけないし、怒らせたりもしない。その絶妙なラインをつきながらおもしろいことができるのは、やっぱりセンスだと思いますね。

加賀美:そうそう、題府くんの言う通り。さっきも話したけど万人にウケるものって危険なんだよね。だから、ある意味ではフォロワーに対する裏切りが必要なわけで。その裏切り方にセンスがあるんだよ、imiarigeさんは。いまぼくの隣に座っているimiarigeさんだと思われる人物も、じつは本物ではなくて影武者だった、っていう裏切りがあってもいいかもしれない。てか、本当にその可能性もあるからね。

題府:黒幕が操っている的な(笑)。彼女が10年いないっていうのも、インスタグラムについて語っていたのも、全部その黒幕の指示だった、とか。

加賀美:そうそう! なんかバンクシーみたいだね(笑)。“インスタグラム界のバンクシー”(笑)。そう考えるとSNSには夢があるね。

加賀美 健 / 現代美術アーティスト
1974年生まれ。東京都出身。ドローイングや彫刻などの作品をリリースし、国内外問わず多数の美術展に出展。アパレルブランドとのコラボレートも積極的に行ない、自身が運営する代官山の「ストレンジストア(stranges.exblog.jp)」では、自作のTシャツなどグッズ類を展開している。
Instagram:@kenkagamikenkagamiart.blogspot.jp

題府基之 / フォトグラファー
1985年東京生まれ。2007年東京ビジュアルアーツ専門学校卒業。同年、「ひとつぼ展」に入選。2013年には国際写真賞「Prix Pictet」にノミネートする。積極的に作品の展示も行なっており、国内に留まらず海外でも活動を行うなど、国際的な活躍をみせている。
Instagram:@motoyukidaifumotoyukidaifu.blogspot.jp

imiarige / インスタグラマー

ーあなたは本当にimiarigeさんなんですか? それとも影武者?

imiarige:本人ですが、それを示すものがないので、自分自身影武者のような気分でここにいます。

ー男なんですか? 女なんですか?

imiarige:見ての通りです。

ーあなたにとってのインスタグラムとはどんなものですか?

imiarige:スパイス。更新量です。

Instagram:@imiarige

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