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FEATURE| ベルベルジン・藤原裕のミリタリー談義。

ベルベルジン・藤原裕のミリタリー談義。

ベルベルジン・藤原裕のミリタリー談義。

1959年創業のアメリカ軍御用達のミリタリーウエアブランドとして知られる〈アルファ インダストリーズ〉。多くのブランドやショップがこぞって別注をかける、その魅力はなんといってもその“本物感”だろう。もはやファッションのスタイルにおいて欠かせない要素となったミリタリーだが、アイテム自体がもつその魅力とはなんだろうか。ヴィンテージの分野に広く精通する原宿のショップ「ベルベルジン」の藤原裕さんに、ファンにとっては垂涎ものレアな私物ミリタリーアイテムを交えて、ミリタリーのおもしろさについて聞いてみました。

  • Photo_Teppei Hoshida
  • Text_Yuho Nomura
  • Edit_Shinri Kobayashi
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藤原裕/「ベルベルジン」ディレクター

古着全盛の時代から今も現存するヴィンテージの名店「ベルベルジン」の名物ディレクター。業界内でも屈指のヴィンテージマスターとしても知られ、フイナム恒例のシリーズ企画『古着サミット』にも登場している。古着はコレクターというより実際に着る派。

ファッションの視点でみる、デザインの豊富さ。

ー今回のお話の入り口として、なぜ男はミリタリーに惹かれてしまうのか、その魅力はなにか。そんな大きな話からまずはお聞きできたらと思います(笑)。

藤原:古着でいえばデニム・スウェット・スニーカーなどと並ぶファッションのひとつのジャンルとして認識されたことや、その視点で捉えた時のデザインの豊富さが大きいと思います。

軍パン(藤原さん私物)
「これは通常市場で流通していたモデルよりも細いタイプとなる珍しい軍パン。ボディとポケットで異なる素材を使用していて、2トーンになっているのが珍しいですね。 おそらくコスト削減などの理由があったんだと思います。 さらにデットストックによく見られる紙タグがつけられているのもポイントかなと」(藤原さん)

ーデザイナーの方もデザインのインスピレーション元にミリタリーアイテムをコレクションする方もいらっしゃいますしね。

藤原:そうですね、最近でもモノ作りの視点からも使っているパーツや縫製の手法など新しい発見があるんですよ。あとは品質のよさ。たとえば1940年〜50年代のもので、古着としてこのクオリティを保てているのがすごい。それは、縫製やパーツなどのクオリティが高いからで、やはり国がお金を出しているから、なんですよね。

M-65(藤原さん私物)
「3年前にアメリカでデットストックの状態で見つけて購入したM-65です。フードがあるともこもこするので、カットオフしています。80年代くらいのモノは多いんですけど、こちらの70年代のモデルでタイガーカモ柄は特に珍しいんです。しかも裏地には違うデザインのカモ柄を採用していますね」(藤原さん)

藤原さん着用の L-2ジャケット(藤原さん私物)
「このアウターは、軍へ支給される前段階のテストサンプルのL-2ジャケットです。これは装飾がほとんど施されていないことから、あくまで完成ボディのベースであったことが予想できます。そうした検証などから推測していくこともヴィンテージでは多いんです」(藤原さん)

ーなるほど。ミリタリーの古着ものはピンキリだとは思うのですが、知識と経験をもってないとおいそれと手は出せそうにないですね。

藤原:かもしれません。お店でちゃんと買えば問題ないですが、ちがいの判別が難しいので価値がわからなかったりとか。ミリタリーに詳しい人であれば、生地の色を見ただけで年代がわかるんですよ。同じオリーブでも厳密には会社によって色がちがうんです。

アサルトベスト(藤原さん私物)
「これもヴィンテージの山に埋もれていた一品で、この出で立ちを見てただならぬ雰囲気を感じ取りました。珍しいことに、このポケットのところにシャベルを入れる仕様なんです。」(藤原さん)

ヘルメットバッグ(藤原さん私物)
「外側にポケットがまだついていなくうえにハンドルはコットン製、いわゆる初期型のヘルメットバッグ。おそらく1960年代のモノです。ちょっとした荷物のときなどには丁度いいサイズ感なんですよね」(藤原さん)

ーやはり情報共有の場として、コレクター同士の親交も盛んなのでしょうか?

藤原:例えば、表参道の「カミカゼ」の佐藤さんもその世界ではよく知られる人物で、ひんぱんにミリタリー談義をしたりしていますね。あとはやっぱり、この本『FULL GEAR』を発刊された青田充弘さんはすごいですよ。

ー『FULL GEAR』は確か自費出版で出されたんですよね。この本一冊に、ミリタリーに魅了される男たちの、その理由が集約されているといっても過言ではなさそうですね。

藤原:はい。ミリタリーを追及していくなかで最終的に辿り着く終着点が、この本なんだと思います。僕らのお店にもスタッフがボロボロになるまで読んだ一冊があるんですけど、アパレル業界全体としても貴重な永久保存版ですね。本当に青田さんはオタクの域を超えた、別格の存在ですよ(笑)。そう思うと、男ってやっぱり歴史が好きだったりするので、年代ごとに異なるディテールがあって、それが一つの年表として過程もふくめて把握できていくとおもしろいんでしょうね、やっぱり。

軽く、現代的なデザインのミリタリー。

ーそんなミリタリー古着を観測されてきた藤原さんから見ると、〈アルファ インダストリーズ〉というブランドはどんな印象ですか?

藤原:ブランドの背景として、アメリカの軍にも正規支給しているほどの信頼性がありながらも、きちんとファッションとして落とし込めているのがすごいですよね。プロダクトも現代的にアップデートされたデザインだったり、実際に触れたり、着るとわかる画期的な軽さには驚きました。

ー最新のミリタリーならともかく、ヴィンテージものはやはり重いですからね。

藤原:そうですね。あとは男性のハートをしっかりと掴みながらも、最近では女性にも浸透していますよね。最近はジャケットを中心に街中でも男性より女性の方が圧倒的に着ている数も多いと思いますし、いまは性別関係なくオーバーサイズで着るのが主流ですからね。そういった点では〈アルファ インダストリーズ〉のシルエットはハマっていると思います。

ー確かに、いまMA-1を着る女性は本当に多いですよね。

藤原:あとは機能美とはまた異なる、デザインとしての機能を併せ持っているのも面白い一面ですね。たとえばこのジャケットの左袖にあるシガーポケットなんかはいい例で、実際に現代で活用している人ってまだ見たことないですから(笑)。

ーこの赤のリボンも象徴的ですよね。

藤原:これもブランドのアイデンティティーを示すデザインですよね。デザイン上のアクセントにもなっていますし。ヴィンテージは本気すぎるから、あくまで一部の人たちに限っての需要と価値になってしまいます。広くミリタリーを知るための入り口として、そして現代のファッションとしていまの若い人達にも着やすいプロダクトが見つかるのが、〈アルファ インダストリーズ〉の魅力なのかなと思いますね。

ー最後に、藤原さん自身ヴィンテージだけではなく現行のミリタリーウエアについてはどんなイメージをお持ちですか?

藤原:最近であれば、アウトドアブランドのタクティカルラインなどは興味がありますね。オフィシャルに公表していないブランドもありますが、やはり現在の最新テクノロジーを駆使した機能面であったり、着心地の良さでいったら最高峰だと思います。そしてまた何年後かに軍の放出品となって、デットストックやヴィンテージとなった時、そうしたアイテムたちにまた新しい価値が見出されていくのも楽しみでもあります。

N-3B TIGHT(ソリッド)¥24,800+TAX / WOOD LAND CAMO¥27,500+TAX
「ベージュやグレー、迷彩などオリジンカラーでないカラーバリエーションを選べるのがいいですね。好みにあわせてファーも取り外せるのは便利ですね。僕はつけないので、カットオフしてしまうんです。あとは圧倒的に軽いです。女性もうれしいですよね」(藤原さん)

HOODED RIB JACKET ¥18,500+TAX
「こちらはポケットのデザインなどオリジナルから現代的なデザインへとアップデートしていて、一見どのモデルからアレンジしているのかわからないのがいまっぽいと思います。フードも取り外し可能で、今季流行りそうなスタンドカラーになるのもポイントかなと。ショート丈というのも現代的ですね」(藤原さん)

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