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FEATURE|古着サミット4 あの古着好事家が1年ぶりに集結!

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古着サミット4 あの古着好事家が1年ぶりに集結!

興味のない人にはチンプンカンプンの内容ですが、ごく一部の間では驚くべき賛辞を得ている一か八かのマイノリティ人気コンテンツ「古着サミット」。第4弾となる今回もフイナムブロガーである今野智弘、栗原道彦、阿部孝史のレギュラー陣に加えて、藤原 裕も参戦。4人が“いま気になる”古着は何か? 今回も自己満足感が否めない、ヴィンテージ用語満載のスペシャル会談です。

  • Photo_Shinji Serizawa
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今野智弘(写真左)
〈ネクサスセブン(NEXUSVII.)〉デザイナー。1977年生まれ。2001年 N.Yより〈ネクサスセブン〉を始動。膨大な量におよぶ希有なヴィンテージコレクションをアーカイブした、オリジナルブックの出版をただ今思案中。
藤原裕(写真中左)
「ベルベルジン(Ber Ber Jin)」ディレクター。1977年生まれ。博学級の知識を生かし、ヴィンテージデニムアドバイザーとしても活躍。『THE 501XX® – A COLLECTION OF VINTAGE JEANS(ワールドフォトプレス刊)』の発起人。
栗原道彦(写真中右)
フリーバイヤー。1977年生まれ。2011年よりフリーでの活動を開始。古着屋のみならず数々のセレクトショップやブランドからも絶大な信頼を得る、日本屈指のヴィンテージディーラー。
阿部孝史(写真右)
ビームス オンラインショップ スタッフ。1976年生まれ。出版社、ECサイト勤務を経て現職。自社サイトのライティングなどを担当。ヴィンテージバンダナをこよなく愛し、時間を見つけては古着屋を巡回する日々。

第一講 今野智弘
「ようやく自分サイズのサード型ムートンジャケットを手に入れました」

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今野:最初は〈リーバイス(Levi’s)〉のサード型ムートンジャケットを。

藤原:このサイズ感は珍しいですね。

今野:あとはボタンが飛んでたり、コンディションが悪いのが多いよね。

阿部:ムートンってステッチ部分で裂けちゃってるのをよく見る気がする。

今野:そうですよね。ムートンなので強度は弱いです。これはボストックで買ったんですけど、コンディションもさほど悪くなかったし、何よりサイズが良かったので。オリンピックイヤーということもあり今年に入ってから買いました。

阿部:あんまり見ないよね?

栗原:レークプラシッドオリンピックの時ですよね。1980年とそこまで古くないわりに玉数が少ないですよね。僕も欲しくて昔から探してるんですけど、見つかりません。アメリカでも1度も出会ったことないですし。

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藤原:ごくまれに出るんですけど、その場合はデッドストック状態のモノが多いんですが、今野さんが所有しているジャケットのようにユーズドのコンディションで出ることは滅多にないですね。あとはサイズが大きいのが多かったり。

栗原:ムートンの場合、コンディションが悪いのはバクテリアが原因らしいよ。それが繁殖して破れたりするって。だから古いものは特に壊れやすいらしいです。保存した時の環境次第みたい。

藤原:そっちまでオタクか(笑)。

今野:以前「ベルベルジン」でサイズMが出たんだけど、とにかく大きくて断念したんだよね。でも、これはサイズLなのにジャストサイズ。

栗原:スエードのサードタイプも同じことが言えるんですが、革物って個体差ありますよね。あれもとんでもなく酷い形、革質のモノがありますから。

阿部:コレは、38とか40とかでなく、S、M、L表記なんだね。

今野:そうですね。ただ、これに関してはなぜかL表記なのにジャストサイズでした(笑)。

阿部:なんでだろうね?

栗原:いや〜、個体差じゃないですか(笑)。サイズ間違いとかだったらタグが切れてるはずですけど、これはタグがしっかり残っているので、B品などではないですからね。

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阿部:「ベルベルジン」だったら、いくらくらいで販売するの?

藤原:うーん、サイズが良ければ128,000円くらいですかね。でもだいたい大きいサイズしか出ないんです。で、僕もこのジャケットがボストックで売られているのを見て「あ、サイズSだ」って思ってタグを見たらサイズLだったので、ちょっと驚きました。通常のLであれば、もっと大きいはずですから。

今野:このサイズはラッキーでしたね。

栗原:そういえば冬用のジャケットなのに、ハンドウォーマーポケットがないんですね(笑)。

今野:まー、ムートンだから裂けやすいしね。時代的にはハンドウォーマーポケットがある時代だけど、片玉のポケットを付けるのは作業工程も大変だし、付けなかったんだろうね。

阿部:でもあのハンドウォーマーポケットが付いてたら、ヴィンテージ感が半減するよね…。

栗原:そんなこと言わないでくださいよ。今はもうハンドウォーマーポケットの付いた「70506」もれっきとしたヴィンテージです(笑)。いやー、厳しい時代です(笑)。

阿部:「70506」でも売れるの?

栗原:サイズが良くて、色も良かったら1万オーバーで売れますよ。

今野:え、1万いくの??

藤原:今は1万以上でも売れますね。

栗原:若い子はそんなに気にしないですからね。「70506」でも良い色のやつ、ありますよね。

今野:そうなんだね。でも昔からヴィンテージを見ちゃってるから、俺も“なし”なんだよね、あのディテール(笑)。

栗原:あの時代感が良いって言う人も多いんですよね。

今野:そういえばブラックデニムで4つポケじゃないのもあるのかな?

栗原:確かにないかもしれないですね。そういえば、ブラックデニムの501でも赤耳があるって噂もありましたよね。

藤原:ほとんど都市伝説だよね(笑)。

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阿部:次はUSMAのスウェットですか。

今野:はい。USMAのプリントなしを色々持ってきました。このイレギュラー感が面白いかなと。あとは、ちょうど’80sや’90sブームっていうファッションの流れもあるし、僕自身一時期はこのリバースウィーブならではの形に抵抗を感じてあまり着てなかったんですけど、逆に今ならこの太いアームホールも良いのかなぁと。

阿部:そういえば、高校時代にこのUSMAのプリントなしを見て「前Vのヴィンテージだ!」って本気で勘違いしてた(笑)。

栗原:僕もです(笑)。初めて買ったチャンピオンのスウェットが、コレだったんですけど「リブ長だから’50年代に間違いない」って。’80年代なのに(笑)。

阿部:クルーネックが2枚あるけど、それは時代の違い?

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今野:はい、1枚が単色タグで、もう1枚がトリコロールです。ただ、この2枚を色々比べてみたんですが、袖に目(チャンピオンのマーク)が付いているかいないかの違いくらいで、あとはほとんど同じ仕様でした(笑)。

藤原:タタキのタグの頃(’60年代)は、ガゼットがもっと鋭角になってますね。無地は見たことないですが…。

阿部:このリブは他のリバースウィーブとは異なり、このUSMAのために作られているのに、なんで無地モノが存在するんだろうね?

今野:なんででしょうね。ちゃんと内側に名前を記すために白のヘリンボーンテープも付けられてるのに。

栗原:そういえばUSMAの下に“PHYSICAL EDUCATION”って書かれているものとないものがありますよね。それも不思議です。

今野:そうなんだよね。以前は“PHYSICAL EDUCATION”も持ってたんだけど、明らかにあっちの方が球数が多いし、デザインがちょっとうるさいから、こっちのUSMA表記だけを残しておいてる。

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今野:こっちのパーカは、最近「ベルベルジン」で買わせてもらいました。

阿部:これで幾らくらい?

今野:確か39,800円だったと思います。

阿部:えっ!?トリコ(ロールタグ)なのに、そんなにするの?

今野:滅多に出ないんですよ。

栗原:USMAのプリントが入ってたら「ベルベルジン」で幾らくらい?

藤原:25,800円かな。やっぱりTシャツも含めて〈チャンピオン〉は染み込みだったり、段数だったり、プリントの仕様で値段が大きく違うんですけど、最近は「とはいえ、やっぱり無地モノがないよね」って流れになってて、無地モノは人気があるんですよね。そこに巷の無地Tブームも重なり、トリコ(ロールタグ)の無地Tも2,800円だったのが、今は5,800円くらいになり、コンディションがいいと7,800円くらいで、さらに見つからないって言われてるポケット付きが19,800円くらいして、Vネックが29,800円になったりと時代に流れにもよるんですが、値段は変わりますね。そんな話をちょっと前に今野さんとしてたんです。そしたらその翌月に、この無地のスエットパーカがうちに入荷して、買っていただきました。

栗原:その話をした直後だから、さらに値段を高くしたってことはない(笑)?

藤原:そんなこと、今野さんにできるわけないでしょ(笑)。

今野:もしかしたら倉庫にしばらく眠らせてて、わざとこの話をした後に、入荷させたのかも(笑)。

藤原:勘弁してください(笑)。

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阿部:次は、ツナギ?

今野:はい、デニム縛りで持ってきました。〈ベンデイビス>と〈スーパービッグマック〉のツナギです。なんか最近ツナギがちょうど一周した感じで面白いなぁと。’90年代とか2000年代初頭くらいに、現行の〈カーハート〉のツナギとかをよく着ていたんですけど、その懐かしさもちょうど一周した感じで新鮮ですよね。

栗原:ちょうどその頃、ヘリンボーンのツナギとか流行って着てましたよ。

今野:ね。俺も当時、ドカタのバイトをする時は、ヘリンボーンのツナギを着てたよ(笑)。デニム以外のつなぎもいくつかもってますが、やっぱりデニムが一番面白いですよね。この時代のデニムをパンツやジャケットで買うと結構高いけど、ツナギだとまだ見つかるし、値段もそんなに高くないから、探しやすいよね。

阿部:〈ベンデイビス〉の古いのって珍しいよね。これで何年代くらい?

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今野:おそらく’40年代か’50年代だと思います。

阿部:全然知らないんだけど、〈ベンデイビス〉っていつ頃からあるの??

栗原:詳しい年代はわからないんですけど、多分’30年代だと思います。ベンデイビスってヤコブ・デイビスの甥っ子ですよね。

藤原:そうそう、〈リーバイス〉の創業者の片割れの甥っ子。

阿部:へぇ、そうなんだ。ちなみにコレはいつ頃買ったの?

今野:コレはもう10年以上前ですね。「ベルベルジン」で買ったんですけど、かなり安かったと思いますよ。19,800円くらいだったかな。まだこの当時は社長の山田さんとは挨拶をする程度の間柄だったから、交渉せずに普通に買いました(笑)。

藤原:(笑)。話を変えるわけじゃないですけど、こっちの〈スーパービッグマック〉もヤバいですね(笑)。これはいつ頃買われたんですか?

今野:こっちは今年の夏だね。水戸にある「ストレイシープ」っていうUKヴィンテージをメインに扱う良いお店があって、そこへ行った時にこの〈スーパービッグマック〉を見つけて、買わせてもらったんだよね。このお店、ヨーロッパを中心に買い付けに行ってるんですけど、メチャメチャ良いお店なんだよね。

阿部:これで何年代くらい?

今野:“スーパー”が付いているので、’40年代だと思います。

阿部:’50年代以降に〈スーパービッグマック〉ってないんだね。

藤原:多分ないと思います。

阿部:よく見るとスナップボタンのデザインも〈ビッグマック〉のフォントとは違ってるね。

今野:そうですね。コレ、デニムの色もかなり綺麗なんです。裾部分の色の落ち方を見て、多分良い縦糸を使ってるなぁって。やっぱり今のデニムって縦糸に差が出てきちゃって、色んなメーカーが“耳付きです”って堂々とやってますけど、ピンからキリまであって(笑)。この〈スーパービッグマック〉で使っているような生地は、なかなか簡単には作れないと思います。

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阿部:タグにショートって書かれてるけど、これはレングスのこと?

今野:はい、ショートとロングがあるはずですが、残念ながら僕はショートで充分でした(笑)。

栗原:大きいサイズが多いので、このサイズは少ないですよね。アメリカでの呼び名は“カバーオール”ですから。

今野:そうだよね。そういえば〈リーバイス〉のカバーオールって頭文字が“C”ではなく“K”になってるけど、あれっていつ頃?

藤原:キッズのやつは’30年代ですね。

阿部:あれってなんで“C”ではなく“K”なの?

栗原:あれは’20年代や’30年代の流行らしいですね。

阿部:そういえば“K”じゃないけど、バンダナで〈トゥーサイド(TUSIDE)〉って昔あったんだけど、あれもわざと“TWO”を“TU”に変えていたのかもね。そういえば、児島(晋輔)先生のブランド〈キャプテンサンシャイン(Kaptain Sunshine)〉も頭文字が“C”ではなく“K”だね。

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今野:最後は〈パタゴニア(patagonia)〉です。

阿部:今野君が〈パタゴニア〉を着ているイメージってあまりないよね。

今野:昔はスーパーアルパインジャケットのブラックが好きで雪なしタグと雪ありタグをそれぞれ持ってたりもしました。ただ、それぞれ違いがあるのかと思いきや、タグ以外違いが全くなくて、気づいたら両方手放してました(笑)。〈パタゴニア〉に関しては、正直そんなに詳しくないんですけど、ちょっと見た目から入ったところもあったりして、今単純にこういう良いフリースがないので、自分で作るよりも既存の良いモノを買った方がよいかなと思って、今回持ってきました。

阿部:この2モデルを選んだ理由は?

今野:単純に〈パタゴニア〉のこのパープルとブルーの色みが好きなんですよね。

阿部:この2トーンのモデルって、サンプルなんだっけ?

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今野:はい。だからポケットも付いてないんですよね。あまり見かけないんですが、こういう左右異なるサンプルがちょこちょこ存在してるんです。ただ、結構奇抜な配色だったりして、着れないものも多くて。でもこの配色はどちらも好きな色なので、気に入ってます。

栗原:このタイプのボーイズサイズはチャリティ用って聞いたことがありますね。余った生地で作っていたらしいです。

阿部:いつ頃買ったの?

今野:これはつい最近。リニューアルオープンした「オキドキ」で買いました。

阿部:あ、コレ、インスタで紹介されてたね。

今野:それです(笑)。でもコレ、オープンしてからしばらく残ってたんです。

藤原:僕もオープンしてから何日後かに行ったんですけど、コレ見ました(笑)。

栗原:僕もお店で実物を見ました(笑)。一度見て悩んで、国内出張から帰ってきて見に行ったら売れちゃってて。で、スタッフに聞いたら「今野さんが昨日来て買ってくださいました」って(笑)。

藤原:僕もかなり悩んだんですけど、サンプルだから左右の袖の長さが違うし、それが気になって諦めました。

栗原:僕も試着しました(笑)。でも、やっぱり片方だけ袖が長いから買うのをためらいました。

今野:え!? 俺もちゃんと試着して買ったんだけど全く気にならなかったよ(笑)。

次のページは、「ベルベルジン」藤原 裕氏の私物をご紹介します。
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