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FEATURE|古着サミット4 あの古着好事家が1年ぶりに集結!

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第二講 藤原 裕
「今野さん、このL-2のテストサンプルは手放しません(笑)」

阿部:お次は、裕君、お願いします。

藤原:はい。まずはイタリアンカラーの半袖シャツです。

阿部:コレ、可愛いね。今日着ているのも同じブランド?

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藤原:今日着てるのは、また別のブランドなんですが、持ってきたのはともに〈タウンクラフト(TOWN CRAFT)〉製です。

今野:最近買ったの?

藤原:はい。昔見たことはあったんですが、最近は全く見かけることもなく…。そしたらたまたまとある古着屋さんで見かけたです。でも、3万台後半だったので諦めて…。その直後に、また別の古着屋さんでこの赤いストライプを見つけたんです。しかも7,800円で。なので即買いしました。

阿部:ブルーの方はいつ買ったの?

藤原:こっちは「Ber Ber Jin 静岡店」の大石がこれを着て、うちの店に来たんです。で、明らかにサイズも合ってなかったので、すぐに「脱げ」と命じて、譲ってもらいました(笑)。

今野:完全なるカツアゲだね(笑)。他の色もあったりするの?

藤原:おそらくなんですが、エンジとグリーンもあると思います。

阿部:何年代くらい?

藤原:おそらく’60年代だと思います。

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阿部:左胸の山ポケも良いよね。これを元ネタにまた欣児さん(サーティーファイブサマーズ代表・寺本欣児氏)のところで〈ビッグヤンク〉のオリジナルを作ろうとしてない(笑)? シグネチャーモデルの第2弾を。

藤原:いや、実はそうなんです(笑)。このデザインで作らせてもらおうと思ってます(笑)。

栗原:山ポケも特許があったはずだし、特許が切れてから、このデザインになったのかな?

藤原:もしかしたらそうかもね。

今野:コレってシガーポケット(マチ付きの特殊ポケット)じゃないし、形が違うから使えたのかもしれないよ。

栗原:確かにそうかもしれませんね。

今野:昔、ビッグヤンク以外の山ポケのヴィンテージを集めようとしたんだけど、全然集まらなかったんだよね。他のブランドであることはあったんだけど、それも全部ストライプだった気がする。しかも無地は見たことないかも。

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藤原:へ〜、そうなんですね。

阿部:イタリアンカラーという点も気に入ってるの?

藤原:そうですね。いつも〈ゴローズ〉のネックレスをつけているんですけど、この襟だとチラっとネックレスが見えて、いいんですよね(笑)。

今野:イタリアンカラーは’50sに流行ったんだよね。イタリアンカラーのボーリングシャツを沢山作っているメーカーがあったりして、人気があったみたい。この襟って生地の取り都合が悪いんだよね。だから高級だったのかもしれないね。

藤原:なるほど、そうなんですね。この辺りのシャツって今は落ち着いてるので、今見つかれば、安いと思うんですよね。ただ人気がないので、扱ってるお店が少なくて…。

栗原:あとは綿100%素材のシャツって生地が弱いし、寿命が短いから見つけるのは難しいかもね。

藤原:確かに。見つかればラッキーかもね。

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阿部:お次は?

藤原:ペンキものです。

阿部:ジャケットもカットオフも〈リーバイス〉だね。

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藤原:はい。

今野:そういえば最近〈リー(Lee)を着てないよね? まだ色々持ってるの?

藤原:もちろん今も好きなんですけど、大人の事情もありまして、最近は着てませんね(笑)。そんなこともあり、ちょっと整理しようと思って〈リー〉も何点かは手放しちゃいました。

今野:あの角ポケ(角張ったポケットデザインが特徴的な’30年代以前のリーのカバーオール)は売ったの?

藤原:いや、あれはまだ残してます。

阿部:ちなみに、ペンキものの良さは(笑)?

藤原:デニムはコンディションの良いモノももちろん好きなんですけど、最近ペンキものが気になるんですよね。ひと言でペンキといっても、意外とペンキの付き方が千差万別で、いい感じでペンキが付いているのってあまりないんです。

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栗原:もしかして「ベルベルジン」の倉庫にペンキものを溜め込んだりしてないよね(笑)?

藤原:ないない(笑)。

阿部:こないだブログでペンキ屋さんでの経験がある人をスタッフとして募集してなかったっけ(笑)?

今野:ストック用のパッキン(段ボール)の中に“ペンキ用”って書かれたパッキンがあるかもしれませんね(笑)。

藤原:募集もしてないし、ストックもしてませんから(笑)。昔の話なんですけど、ペンキ屋で働いている友達に「俺のデニムを預けるから、それを穿いて仕事してよ」って頼んだことがあるんです。そしたら「いやいやいや、もちろんペンキは付くけど、雰囲気よくペンキが飛ぶことなんてないし、ただ汚なくなるだけだよ」って言われました。日曜大工くらいのレベルじゃないと、綺麗な雰囲気でペンキが付くことはありえないらしいです。

栗原:そもそも本業の人ならカバーオールにペインターパンツを合わせたりするでしょ。アメリカ人って部屋の壁とか普通に塗ったりするから、そういう人たちであれば、もしかしたら綺麗にペンキが飛ぶのかもしれないね。

阿部:他にもペンキものは持ってるの?

藤原:手放しちゃったりもしたので、デニムはこの2つだけですね。

今野:前に違うペンキものを着た裕君を見た気がするけど?

藤原:あれは脱がされました(笑)。

栗原:いつものパターンね(笑)。

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阿部:やっぱりこのジャケットは、セパレートだから?

藤原:そうですね。

栗原:当然です、っていう言い方だな(笑)。

阿部:そういえばこのセパレートを“Tバック”って呼んだの、裕君だよね(笑)?

藤原:まぁ、一応そうですね(笑)。

今野:じゃぁ、今何枚持ってるの、Tバック(笑)?

栗原:裕のTバック(笑)。

藤原:今は5枚ですね(笑)。ファースト4枚にセカンド1枚。

栗原:5枚も持ってるなんてさすがだわ、Tバックを(笑)。

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藤原:お次は、L-2シリーズです。

今野:いやー、このブラウンはヤバいよね。

藤原:これは出ないですよね。一番最初に買った「L-2」はコレなんですけど、かなり前に古着屋さんで見かけて、パーツが全然付いてないし、色もダークブラウンだし、テストサンプルのタグも付いてなくて…。でも生地やジップ等を見る限り、明らかに軍ものだと思ったので、マニアの人に聞いたら、テストサンプルで間違いないとのことだったので、購入しました。買ったお店の人もわかっていなかったようなので、かなり安く買うことができました。

今野:たまに裕君がコレ着てるのを見かけるんだけど、いつも袖をまくって着てるから会う度に「リブが伸びるからやめてくれ」って言ってるよね。勝手に譲ってもらう前提で(笑)。

阿部:元々「L-2」が好きなの?

藤原:そうですね、「MA-1」のようなボリュームのあるシルエットはあまり好きじゃないし、似合わなくて。「L-2」シリーズはすっきりしてるし、好きなんですよね。

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阿部:テストサンプルってブラウン以外にもあるの?

藤原:マニアの人にあまり言わないでくれって言われてるんですけど、基本的にブラウン系が多いみたいです。

阿部:なんで言っちゃいけないの?

藤原:知られるとみんな探しちゃうじゃないですか。

阿部:なるほど。

藤原:決してテストサンプルだから好きっていうわけではないんですけど、このダークブラウンは特に気に入ってますね。

今野:そういえばセレモニージャケットって知ってる? 最近一緒に仕事をさせてもらった某ブランドの先輩から教えてもらったんだけど、パイロットの人たちが参列する式典用のジャケットのことらしいんだけど、そのディテールがまさにコレと一緒なんだよね。エポーレットなし、中綿なし、そして裾フラップありっていう形なんだよね。年代はもっと新しいんだけど。

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藤原:「L-2」が製造されたのは’49年からなんですけど、’48年からあると言われていて、僕のテストサンプルは「G-1」に使用されるリブと近いのと、2段リブという点でも’40年代のテストサンプルという可能性が高いですね。

阿部:裕君は幾らくらいで買ったの?

藤原:9年くらい前ですが、かなり安かったですよ。

阿部:今、お店で売られるとしたらいくらくらい?

藤原:まず店頭には出ないと思いますね。マニアの方に言わせると100万以上ではって話です。

今野:でも裕君は袖をまくって着て、リブが伸びてしまったので、そこはマイナス査定だね(笑)。

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阿部:今探している「L-2」シリーズのモデルってある?

藤原:以前から「L-2A」を探してるんですが、見つかって試着してもなんかドカジャンみたいになっちゃうんですよね。サイズの問題だとは思うんですが、やっぱり諦めきれず。そして、できるならやっぱり〈スペリールトグス(SUPERIOR TOGS)〉の「L-2A」が手に入れたいですね。

今野:あれ、栗ちゃん持ってなかったっけ?

栗原:はい、持ってますよ。

阿部:このメーカーは他社とは違うの?

藤原:〈スペリオールトグス〉はリブにコットンを使用しているので、水を通したら変色しちゃうんです。それが逆に珍しいってミリタリー好きの間ではなっていて、希少とされているメーカーなんです。本当は「L-2」以外にも欲しいウエアはあるんですが、ミリタリーって奥が深すぎてハマると大変なことになりそうなので、〈スペリオールトグス〉の「L-2A」を手に入れたら、とりあえず終了かなと思ってます。

栗原:でもまたそれも脱がされるんでしょ(笑)?

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藤原:最後はワーク系アウターです。

阿部:裕君といえばジージャンのイメージだから、あまりこっち系のアウターを着ているイメージがないよね。

藤原:この辺りも昔から好きで、それこそ〈リー〉のカバーオールも色々持っているんですが、大人の事情で着れないので、最近はジージャンばかりでした(笑)。でも最近カバーオールやショップコートが着たくなったので、これから着ようかと。ジージャンはダボっと着るのが好きなんですけど、同じ感じでカバーオールやショップコートを着るといかんせん似合わないので、サイズ選びにはかなり気を配ってます。基本は38くらいですね。

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阿部:このショップコートは?

藤原:これは〈キャントリッパム(CANTRIPUM)〉というブランドのものです。チェンジボタンは元々オリジナルがついてなかったので〈カーハート〉のハート型ボタンに換えてます。

栗原:あ、これ〈カーハート〉じゃないんだ?

藤原:そう。チェンジボタンだけ〈カーハート〉にしてるんだよね。

今野:ステッチから見て、コレ、大戦モデルだよね。

阿部:確かにショップコートで5つボタンってちょっと少ないし。

藤原:これ、本当は今よりも20cm長かったんです。自分にはちょっと長いなぁとは思っていたんですが、初めて着た日に自転車に乗ってたら、裾を巻き込まれちゃって、20cmほど短くしました(笑)。結果的にはバランスもよくなって、気に入ってますけど。

今野:これはどこで買ったの?

藤原:これはうちで買いました。でも1ヶ月売れてなくて、自分で試着してみたら良いサイズだったので、じゃぁ買おうと。〈カーハート〉のボタンは地道に集めてたので、ようやく日の目を見ることができました(笑)。

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今野:このチェンジボタン、ブランド表記のない古いタイプだね。

藤原:はい、ブランド表記が入っちゃうといかにも〈カーハート〉って感じがするので、表記なしをずっと集めてました。

今野:いやらしいね(笑)。

栗原:この状態で着てるのを見たら、みんな〈カーハート〉のショップコートだと思っちゃうよね。なんならタグ切って〈カーハート〉って言っちゃえば(笑)?

藤原:いやいやいや(笑)。

阿部:そういえばこの形、ショップコートとエンジニアコート、両方で呼ばれることが多いよね?

栗原:生地によってですかね?僕は薄手の生地を使ったものだとショップコートってイメージですね。

阿部:なるほど。日本ではよくショップコートって言うけど、個人的にはエンジニアコートっていうイメージが強いからどっちなのかなぁってずっと思ってたんだよね。

栗原:確かに背中に〈フォード〉の刺繍が入ってたり、エンジニア用のコートって多いですよね。

藤原:あの背中に刺繍が入ってるのがちょっと嫌だから、探す場合は刺繍なしで流してるんだよね。

阿部:あ、そうなんだ。個人的には逆にあれが面白いと思うんだけどな。

藤原:時代にもよるんですが、ジージャンでも今って刺繍入りって人気ないんです。それもあってか、刺繍なしの方が人気はあると思いますよ。

阿部:へー、そうなんだね。ちなみに〈カーハート〉のチェンボタンって今いくらくらいするの?

藤原:昔と変わらず9800円ですね。

今野:これは下がることはなさそうだね。

藤原:人気の波は多少ありますけど値段は変わりませんね。女性は、ヘアゴム用に買っていく人も多いですね。

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今野:この〈フィッツ〉のカバーオールもいいね。

藤原:いいですよね。4つボタンの大戦なんですが、さっき言ったようにサイズが自分に合っていたので、これは気に入ってます。デニムのカバーオールも持ってるんですが、デニムパンツを穿くことが多いので、デニム以外もあると便利だと思い。生成りのカバーオールも持ってるんですが、〈リー〉なので今は着れず…(笑)。

阿部:〈フィッツ〉ってこの時代くらいまでしかないよね?

藤原:そうですね。おそらく’40年代で消滅してると思いますよ。’50年代の〈フィッツ〉って見たことない気がします。

阿部:どこかに吸収されたりしたのかな?

栗原:吸収されるほどのシェアを持ってなさそうですよね(笑)。

阿部:〈フィッツ〉のマスコットであるおじさんの需要は少なかったのかな(笑)。

今野:あれ、可愛いですけどね。

阿部:今は愛嬌のあるキャラクターに見えるけど、当時はどうだったんだろうね(笑)。ちなみにカバーオールは他に持ってるの?

藤原:これと〈リー〉以外だと、〈USMC〉のヘリンボーンの3ポケタイプですね。月桂樹ボタンにこだわって探しました。

栗原:黒ラッカーの月桂樹ボタンね。

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藤原:そう。あとは〈GWG〉もデニムカバーオールも持ってます。

阿部:〈GWG〉って?

今野:カナダのメーカーで“グレイト・ウエススタン・ガーメント(GREAT WESTERN GARMENT)”の略なんですけど、元々カナダの<リーバイス>を作っていた会社で、’67年頃〈リーバイス〉に吸収されたと思います。ネームのデザインもすごく格好いいんですよね。

阿部:あ、たまに見かけるね、あのタグ。でもそんなに有名だとは思わなかった。

栗原:ウィキペディアに載るくらいなので、かなり大きな会社だったと思いますよ。

藤原:その〈GWG〉のデニムカバーオールを持ってます。昔うちのお店に入ってきたんでど、うちの社長、カナダ製に全く興味がないので、かなり安かったですよ(笑)。で「しばらく売れなかったから買わせてください」ってお願いしたら、本当にしばらく売れなかったので、買わせてもらいました(笑)。

今野:山田さんって不思議なくらいカナダ製に興味ないよね(笑)。何か嫌な思い出でもあるのかな(笑)?

藤原:ほんと買ってきませんからね(笑)。

今野:僕もカナディアンブランドにはあまり興味ないんだけど、〈GWG〉は別かな。デザインだけでなく生地やディテールなどかなり面白いものを作ってるブランドだから好きで色々持ってるけど、「ベルベルジン」では全然仕入れてくれない(笑)。〈リーバイス〉に吸収されるのに、〈リー〉のデザインにそっくりなデザインとかも作ってたもんね。

阿部:〈リーバイス〉に吸収されるなんて思ってなかったら、仕方ないよね(笑)。

栗原:確かに(笑)。

今野:他にも面白いデザインとかディテールが色々あったよね。あの赤目のボタンとか。

藤原:はい、面白いですね。……ただ、ここまで話しておきながら、あいにく今日は〈GWG〉を一点も持ってきてないんです(笑)。

栗原:さっきから気づいてたけど2人が熱く語ってたから、あえて言わないでおきました(笑)。

藤原:じゃぁ、次回のネタということで(笑)。

今野:実はもう溜め込んでて、倉庫に〈GWG〉って書かれたパッキンがあるんじゃないの(笑)?

次のページは、栗原 道彦氏の私物をご紹介します。
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