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スノーボードにまつわるいくつかのコラム。 Vol.08 相澤陽介が見た ベイルとBURTON US OPEN

BURTON Presents DIGGIN’ SNOWBOARD!

スノーボードにまつわるいくつかのコラム。 Vol.08 相澤陽介が見た ベイルとBURTON US OPEN

冬の定番スポーツとして人気を博す一方で、ファッションや音楽をミックスしたカルチャースポーツとして側面も併せ持つスノーボード。そんなスノーボードシーンを形成し、今なおリードする〈バートン〉をパートナーに迎え、現在進行形のスノーボードの魅力をいくつかのコラムでご紹介。シーズンを迎える直前まで連載していきます。

  • Text_Yosuke Aizawa
  • Photo_Takemi Yabuki(W)
  • Edit_Kai Tokuhara
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前回のジェイク・バートンとの対談に続き、今度は相澤陽介自らが、ベイル、そして〈バートンUSオープン〉について書き記す。〈バートン サーティーン〉のデザイナーとして、本場のスノーボードカルチャーに触れ、肌で感じた思いとは。

アメリカとヨーロッパが融合した
スノーリゾートには、好きなものが詰まっていた

僕はここ数年、色々な場所へ旅をしてきた。

もちろん仕事が絡むことが多いけれど、出張を旅と定義づけすることで、ただ単に仕事として捉えて行くよりもいろいろなことを感じることができる。例えば今年の1月。ピッティ ウオモとパリでショーを行ったとき、それぞれの日程の合間を縫ってスイスのツェルマットにスノーボードをしに出かけた。

2ブランドのショーを行うということはそれなりにサンプルを運ばなければならないわけだが、その中にこっそりと〈バートン〉のウェアやブーツを忍ばせてマッターホルンを拝みにいく計画を立てた。周りからはショーをやりに行くデザイナーの荷物ではないと言われたが、僕にとって雪山を感じることはデザインする上で必要な要素であり、モノ作りの活力になっているため、少しの時間も無駄にしたくないのである。

まぁ、スノーボードをしたい言い訳に聞こえるかもしれないけれど。

そんなわけで、同じく今年の2月末、アメリカ有数のスノーリゾートであるコロラド州ベイルで〈バートン〉が主催する世界的なイベント〈USオープン〉が開催されるということで、どうしても観ておきたい、その山を実際に滑ってみたいという思いにかき立てられて現地へと向かった。

羽田からダラスを経由し、デンバーに到着。そこからさらに車で3時間かけてベイルに到着したときには、日本を離れて25時間が経っていた。なかなかの長旅だ。しかしベイルの街はすぐにその疲れを忘れさせてくれた。いわゆる高級スノーリゾート地として有名なベイルではあるが、広大なゲレンデとスイスの街並を参考に作られた風景はとても美しく、まるでアメリカとヨーロッパの文化が融合したような独特の世界には、僕の好きなものが詰まっていた。

標高3000mを越える頂上からダイナミックに滑り下りることができる壮大なゲレンデ、滑り終えてクタクタになった体を温かく包み込んでくれるようなモダンなビレッジ。誰もがスノーウェアのまま雪山と街中を自由に行き来し、独特のムードを楽しんでいる。夜はおいしいステーキとお酒。ホテルも高級感がありながらローカルな温もりに満ちていて実に心地いい。スノートリップの醍醐味は、滑ることだけでなくその街の文化や空気を五感で楽しむものなのだと、あらためて感じることができた。

〈バートンUSオープン〉観戦から、 スノーボード文化のすばらしさを再確認

今回の旅の目的のメインとなったのは、〈USオープン〉を観戦することで今のスノーボードのトップシーンと〈バートン〉の今を感じること。そして、そこから今後のモノ作りへのアイデアをインプットすることであったが、この数日間の経験でとても大切なことを学ぶことができた。

それは、〈バートン〉というブランドがスノーボードを通じて人生を楽しむ手段を提案しているんだなということ。ショーン・ホワイトのライディングは素晴らしかったし、大会自体すごくハイレベルで競技として見る価値は本当に高い。けれど、老若男女、会場にいる誰もが大会の内容や結果以上に、ただ雪山の雰囲気を楽しみ、スノーボードを観て、滑って、そして音楽を聴いてお酒を楽しむことの方に重きを置いている感じがとても印象的だった。それこそ、僕がイメージしていたスノーボードの楽しみ方の理想に近い。

前回のコラムで対談させてもらったジェイク(・バートン)は、スノーボードは子供のような存在だと言っていた。こうやって大会をあらためて振り返ってみて、なるほどなと。〈バートン〉の創始者である彼は、このスノーボードという文化そのものを、ずっと大切に育てているのだということがよくわかった。

仕事という現実的な事の先にあるエモーショルな衝動を感じさせてくれるブランドはそう多くはない。

バートンのデザインをはじめて3年目になるが、関わるスタッフも含めスノーボードに対する愛情を持っているのだと改めて実感する事ができた。

僕はそんな〈バートン〉という会社と仕事ができて本当に幸せである。

さあ、今年も雪の知らせが届き始めた。

彼らが育ててきた文化を今年も思う存分に楽しんでいこうじゃないか。

相澤陽介

相澤陽介

1977年生まれ。多摩美術大学を卒業後、コム デ ギャルソンを経て2006年に〈ホワイトマウンテニアリング〉を開始。現在はパリコレクションでも活躍中。2014年より〈バートン サーティーン〉のデザイナーを務め、雪山と街の境界を無くしたオリジナリティ豊かなコレクションを発表し続けている。

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