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FEATURE|Let’s Try Trail Running!
トレイルランナー鏑木さん、山を走るってそんなに面白いんですか?

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Let’s Try Trail Running!

トレイルランナー鏑木さん、山を走るってそんなに面白いんですか?

近頃話題の山を走るアクティビティ「トレイルランニング」。道路や公園ではなく、なんでわざわざ山を走るの? ロードランニングにはない魅力って? この世界の第一人者であり、48歳を迎えた現在も現役トレイルランナーとして第一線で活躍する鏑木毅さんに、トレイルランニングにまつわるあれこれを聞いてみました!

  • Photo_Shin Hamada
  • Interview & Text_Issey Enomoto
  • Edit_Hiroshi Yamamoto

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鏑木 毅 / プロトレイルランナー
1968年群馬県生まれ。早稲田大学在学中は競走部に所属し、箱根駅伝を目指したが怪我のために断念。卒業後は群馬県庁に勤務。在職中にトレイルランニングと出会い、富士登山競走や日本山岳耐久レースなど数々のレースで優勝。2009年にUTMBで3位入賞、同年のウエスタンステイツで準優勝など、世界トップレベルのレースでも輝かしい戦績を残す。現在も現役トレイルランナーとして第一線で活躍しながら、UTMFをはじめとするトレイルレースのオーガナイザーを務める。

48歳を迎えた今も、レースで戦っているときがいちばん楽しい。

ー鏑木さんは今年4月、南米チリのパタゴニアで開催された141kmのウルトラトレイルレース「ウルトラフィヨルド」で準優勝を果たし、その模様はテレビ番組『NHKスペシャル 神の領域を走る』で放映され話題を呼びました。なぜ、48歳を迎えた今も、現役の競技者であることにこだわり続けているのでしょうか?

鏑木:ピーク時に比べたら体力は年々落ちていますし、自分の立ち位置は徐々にレースのオーガナイザーにシフトしつつあるとは思います。でもやっぱり、いつまでも選手目線でいたいし、選手としての気持ちを忘れたくないという気持ちが強いんです。そしてその気持ちや経験が、オーガナイザーとしての活動にも活きると思っています。

そしてなにより、自分自身、戦っているときがいちばん楽しいんですよね。レースでの自分がもっともいきいきしているという実感がある。競技者であることをやめたら、自分でいられなくなる気がします。今後も続けられる限りは競技者でありたいですね。

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今年4月のレースで南米パタゴニアの大地を疾走する鏑木さん

ー次に出場するレースは決まっていますか?

鏑木:探しているところです、自分自身が湧き上がるようなレースを。一度出たレースに再び出るのではなく、新しいチャレンジをしたいと思っています。

レースに向けたトレーニングは、月間1,000km以上!

ーレースに向けてどのようなトレーニングを積んでいるんですか?

鏑木:ウルトラフィヨルドのときは5ヶ月前から準備をしました。トレーニング内容は、細かいことを言うと専門的な話になってしまうので、ざっくり言うと、前半は脚力を鍛えるトレーニングを集中的に行い、後半は長い距離を走るトレーニングを積みました。それが今回はうまくいったなという実感があります。

ー長い距離というのは、具体的にどれくらいですか?

鏑木:月間1,000km以上です。

ーせ、1,000km!

鏑木:でも、それをやるのはレース前の2ヶ月間くらいですよ。以前の自分はとにかく距離を増やすことに重きを置いていたのですが、それを続けると疲労が抜けにくくなってしまうため、長い距離を走る期間は直前期に集中させて、前半は脚力やスピードを高めることを意識しました。

トレイルランニングの世界って先駆者がいないので、自分のように歳をとってからどんなトレーニングをすればいいかというノウハウがないんですよ。この歳まで現役でバリバリやっている選手って、日本ではおそらく自分が初めて。自分の身体を使った人体実験みたいな感じです。それなりに大変ですが、楽しいですよ。

「走りたくない」という日は、無理せず休むことも。

ーちなみに、鏑木さんでも、朝起きて「今日は走りたくないな〜」ということってありますか?

鏑木:もちろんありますよ。でも、それにも2種類あって、「走りたくない」というときは身体が走ることを拒絶している状態なので、トレーニングをやってはいけないときだったりします。そういうときは無理せず休みます。

ただ、身体は走れる状態だけど、単純に「今日は嫌だな」というときもありますよね。そういうときは、レース本番をイメージして、自分を奮い立たせるようにしています。自分が目標としているレースに出ていることを想定しながら、颯爽と走る自分をイメージする。そうすると、「やらなきゃ」という気持ちになっていくんです。

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筋肉痛になるということは、まだ伸びしろがあるという証拠。

ーちなみに、鏑木さんレベルでも、レース後に筋肉痛になることはあるんですか?

鏑木:70km以下のミドルレースでは、筋肉痛になることはないですね。100kmを超えるロングレースだとなることもあります。

ーそんなに長い距離を走っても筋肉痛にならないとは……すごいですね。

鏑木:でも、筋肉痛になるということは、筋再生が進んでいるということであり、まだ伸びしろがあるという証拠。それってすごくハッピーなことですよ。僕があまり筋肉痛にならないというのは、もう伸びしろがないということですから……。

自分も稀にですが練習中に筋肉痛になることがあって、そういうときは「お、筋肉痛だ、ラッキー!」って思っちゃいます。

ーなるほど。筋肉痛って実は良いことなんですね。

鏑木:そう。筋肉痛はどんどん起こしたほうがいい(笑)。

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