SPECIAL

「フイナム」が様々なブランドやヒトと
コラボレーションしたスペシャルサイトです。

CLOSE

HOUYHNHNM

FEATURE15th ANNIVERSARY COLLABORATION
ネクサスセブンの15周年。珠玉のコラボアイテムの裏側に迫る、熱きトークセッション。CASE4_copano 86

ー今回作ったものについて少しお話を聞かせてください。黒とオリーブの2色展開なんですね。

今野:はい。イメージしていた当時のミリタリーの制服がオリーブというか、オリーブドラブという色で作られていたんですよね。オリーブよりももう少し茶色が差し込まれたような色味というか。なので、ミリタリーという軸で考えても、この色で作る意味、意義がありました。単純に見ても色合いもすごく落ち着いているので、着やすいと思います。この色でカチッとした雰囲気のものって古着ぐらいしかないんですよね。さっき小木くんも、50年代以前になるとミリタリーにテーラーの要素が入ってくるという話をしていましたが、昔の軍ものってとにかく丁寧に作られているんです。やっぱり職人さんの手が感じられるものが多くて、何十年も昔の物でも今でも充分に着れるくらい仕立ても良い。機械でラインに乗せただけのような現代のものとは全然違うんですよね。

スーツ ¥75,000+TAX

ーよく聞く話ではありますよね。

今野:自分が作りたいのは、大量生産ものではなく、人の手の温かみをどこかに感じられる服なんです。ジャケットは決して安いアイテムではないので、長く着るということを考えると、やっぱりきちんと作ったものの方が長持ちするんです。ただ(高級とされている)馬の毛芯を使っていればいいのかというとそんなことはないんですよね。表生地との相性もありますし、時間が経つと毛芯が勝って表生地を突き破ってしまうなんてこともよくあります。今回はまずデザインをなるべく削ぎ落としてシンプルに着られるものをというのが前提にありました。その上で、まずダーツの取り方にアクセントを入れました。軍物で斜めのダーツが入っているものがあるんですが、ジャケットやコートなどで実際に取り入れているブランドを見かけなかったのでウチのアイコンにもなる様にと思い、これを取り入れてみました。安島さん、これって結構大変なんですよね?

安島:そうですね。バイアスになるとねじれてしまうので、あまりやらないんです。今回は今野さんの希望があったので、斜めに入れてなおかつやや強調しています。

今野:ダーツは普通縦に入れることが多いですが、やっぱりどこかにミリタリーを連想しやすい要素とウチのアイコン的な要素を入れたかったんです。それはポケットのフラップの形もそうなんですけど。全体をシンプルにする分、どこにアクセントを持っていくかという点に悩みました。この斜めダーツとフラップを見たら、〈ネクサスセブン〉のアイテムだと認識されるような大切なアイコンです。

ー確かに強いディテールですね。

今野:裏地にはオリーブのヘリンボーンの生地を使っています。これはいわゆる大戦モデルと呼ばれる1940年代の第二次世界大戦中に作られていたアイテムによく使われていたものです。生地に強度を持たせるためにつくられた生地で、70年代にリップストップが普及するまでよく使われていました。そういった経緯もあり、オリーブのヘリンボーンといえば、僕のなかではミリタリーを感じさせる大切な生地なんです。

安島:そんな感じで、大枠を軍ものというコンセプトで作って、あとはよそにないものを取り入れようということで、僕の方で裏地の仕様をアレンジしました。こうして、中をぜんぶ見せてしまうという。普通はここを全部縫ってしまうんですが。

今野:これによって、空気の通りもよくなって、通気性もいいんです。

安島:こんな風に中の構造にまで手を加えているものって、あまりないですよね。

今野:こういう知識が僕にはなかったので、安島さんにお話をうかがいながら勉強させてもらいました。一見、着やすい普通のジャケットなんですが、こうしたディテールが男心をくすぐるのではないでしょうか。ほかにも、ぱっと見た時に目がいくボタンもミリタリー仕様の、外に一本縁があるタイプのボタンを使っています。

ー生地はどんなものなんでしょう?

今野:ツイルの生地を使いたいというのがまずありました。というのも、こうしたツイルで軍服が作られていたという歴史があるんです。あとはオリーブドラブのツイルでスーツを作りたいというイメージが最初からあったので、生地を探すときもその二点を前提にして探しました。生地捜索の際にも安島さんには何度も付き合っていただきましたね。

安島:そこはだいぶ強調してたもんね。

今野:そうですね。

ーこれでいくらぐらいですか?

小木:税込で8万くらいだったと思います。これ、本当に安いと思いますよ。

今野:その点はもう安島さんが、直接、職人さんや工場さんとやり取りをしてくださったお陰です。安島さんが長年耕してくださったそういった“畑”を使わせていただいているので、この値段でリリースすることができました。

安島:本来だったら、10万くらいしてもいいですよね。人の手のぬくもりが多少入ってるわけだし。

今野:そうですね。やっぱり職人さんの手がこれだけ入っていると違いますね。僕もスーツのことがあまりわかってない時期に、いろいろなスーツを見ていたんですけど、やっぱりハンドで仕上げる箇所が入るだけで全然違うんですよね。あとはこのジャケット、さっき説明したように裏地が開放的で背裏に空気が入るので、着用時にふわっとしたシルエットになるのも魅力ですね。

安島:素材を抑えないので、そういう風になるんです。工場さんとしてはその部分は、ものすごくいやがってましたね。手間暇かかってるんです。あと、かんぬきの部分は手縫いですね。

今野:初めは『ミリタリー』というところからの着想だったんですが、結果このようなセットアップに仕上がりました。あとは他にも実はジャケットにもパンツにも主張したいディテールが数カ所、取り入れられているんですが、こちらは実際に商品を見て頂いた方だけが分かるデザイン、ディテールとしてここではあえて伏せさせて下さい。とにかく流れ作業で作っているようなものではない、素晴らしい職人さんの仕事によって産まれたものということが、着た方に伝わるといいなと思います。

有限会社ニュートラックス
03-5771-4776
NEXUSVII.jp

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Page Top