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FEATURE|その道の識者9名が表現する、新しいビッグヤンクのかたち。 CASE7_丸山剛彦(Sanca ディレクター)

その道の識者9名が表現する、新しいビッグヤンクのかたち。 CASE7_丸山剛彦(Sanca ディレクター)

BIG YANK The Third Edition 2nd Collection

その道の識者9名が表現する、新しいビッグヤンクのかたち。 CASE7_丸山剛彦(Sanca ディレクター)

2016年の春夏よりスタートした〈ビッグヤンク(BIG YANK)〉の『ザ・サードエディション』のセカンドコレクションが発表された。これは2011年に実名復刻を果たした〈ビッグヤンク〉が、様々なジャンルのクリエーターたちとコラボレーションしたコレクションで、洋服のデザイナーはもちろんのこと、ミュージシャン、理容師、古着屋オーナーなど、バラエティに富んでいる。前回は5人であったが、今回は9人にスケールアップ。各々が感じる〈ビッグヤンク〉の魅力を引き出したプロダクトは、インラインのワークウエアにはないものばかりだ。その全貌を参加したクリエーターのインタビューを通して解析していこう。

  • Photo_Toyoaki Masuda
  • Text_Shuhei Sato
  • Edit_Yosuke Ishii
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丸山

旧き良き時代のアーカイブを日本の高い技術を用い、今の時代に即したプロダクトを提供する〈サンカ(Sanca)〉のディレクター、丸山剛彦氏。過去には大手セレクトショップのチーフバイヤーを務めるなど、長きに渡り日本のファッションシーンの一線で活躍する人物です。そんな丸山氏が『ザ・サードエディション』で提案したのは、カットソーのワークシャツ。素材の載せ替えでみせたアレンジセンスには流石の一言。洋服にとって素材がいかに重要であるかを知ることができました。

ビッグヤンクとの出会いはベージュのシャンブレーシャツ

ーさっそくですが、丸山さんと〈ビッグヤンク〉の出会いについて教えてください

丸山:ブランドの存在自体は古着屋を回っているうちにいつのまにか覚えました。初めて〈ビッグヤンク〉を買ったのは確か15年以上前、高円寺の古着屋で手に入れたガチャポケットのベージュのシャンブレーシャツですね。色がすごく気に入っていたのを覚えています。今でも所有していますよ。

ーベージュは特に珍しいですね。今ではほとんど見かけません。

丸山:インディゴじゃないシャンブレーシャツをなんとなく探していたところ偶然出会って、見た瞬間にすっかり気に入ったんです。「ビームス(BEAMS)」でバイヤーをやっていた時代に、これを基に「東洋エンタープライズ」さんにお願いをして別注も作りましたよ。モカとレッドの2色展開でした。

ー確かに丸山さんはシャンブレーシャツのイメージがあります。

丸山:そうですね、シャンブレーは好きなファブリックのひとつです。〈サンカ〉でも定番でシャンブレーシャツは作っていますね。

元々のデザインを生かしながら素材の妙でみせる絶妙なアレンジ

BIG YANK × Takehiko Maruyama(Sanca) 1935 INDIGO JERSEY ¥35,000+TAX(USED WASH)、¥30,000+TAX(ONE WASH)

ーでも今回の〈ビッグヤンク〉ではあえてシャンブレー風のカットソー生地にしていますよね?

丸山:この話をもらった時に、まず〈ビッグヤンク〉のデザインに手を加えたくないと思ったんです。だってほら、もうすでに完成しているでしょう? そういうこともあってデザインはあまりいじらず、素材の載せ替えがいいなと思ったんです。だけれど普通の生地を使っても何もおもしろくない。そこで思いついたのが、〈サンカ〉の16年秋冬シーズンにリリースした裏毛の5ポケットパンツでした。この素材の“載せ替え感”を今回の企画でも生かして、インディゴの天竺をシャツに落とし込んでみました。

ーそれはいいタイミングですね。しかも丸山さんっぽいアプローチというか。

丸山:もともとファブリックの載せ替えは好きなんです。例えばテーラードジャケットにカットソー生地を使うような。形はベーシックなんだけど、生地がおもしろいっていうモノ作りはブランドでもよくしますね。

ー分かりやすくもあり、ヒネリも効いたおもしろい発想ですよね。

丸山:しかしこれが作るとなると意外と難しいんです。カットソーとシャツ生地って得意とする縫製工場が別々なんですよ。生地の柔らかさも違えば、縫いの工程も違うので、シャツ工場にカットソーを縫ってもらうことは技術が高くないとできないんです。ソフトな質感のものをしっかりと形を出すことは、思っている以上に難しい作業。しかし〈ビッグヤンク〉を請け負っている工場は技術があるので、安心して任せることができました。こうした工場背景をみても、サーティーファイブサマーズさん(編注:今回のプロジェクトを仕掛けた〈ビッグヤンク〉の代理店)のプロダクトに対するこだわりを感じましたね。

カットソーを用いながらも、シャツ同様の細かなディテールワークを忠実に再現している

ーカットソーとシャンブレーで縮率も違いそうですよね。

丸山:そこは縮率を計算して、縮んだ状態でのサイジングに設定しています。だから買ってから小さくて着られないなんて心配はまったくありませんよ。

ーできあがったシャツの感想は率直にいかがでしょうか?

丸山:思っている以上に良い出来で気に入っています。正直、自分のブランドでもやりたいくらいですよ(笑)

先染めのインディゴ糸による、デニムのような色落ち

ーそれにしても素晴らしい色落ちですね。

丸山:糸自体は30双で、デニムやシャンブレーに使う先染めインディゴの天竺になります。なかなか贅沢な良い生地ですよ。この色落ちはまさに先染めのインディゴ糸のおかげですね。糸の中心まで染まっていないので、洗うと中の白い部分が出てきて、デニムのような表情になるんです。

三本針を用いた箇所に見られるアタリ。その様はまるでデニムのよう

印象的なバックショット。色落ちにより、ラウンドしたショルダーヨークが一層際立つ

ーなるほど、だから先染めのインディゴ糸にこだわったんですね。実際にワンウォッシュも着込むと、この加工モデルのような表情になりますか?

丸山:もちろん頻度にもよりますが、頻繁に着ていたら1年くらいでかなりいい風合いになるはずです。最初は洗う度にけっこう色が落ちるので、洗濯のときは白いものと一緒に洗わない方がいいですね。この加工モデルまで落ちたら、色移りの心配はないと思いますが。

ーそれでは最後に、こちらのシャツのお勧めのコーディネートをお教えください。

丸山:ここまでリアルな表情が出ているから、シャンブレーシャツ感覚で着ますね。遠目から見たらカットソーだとわからないでしょう?ベーシックなデザインなので、いろいろなコーディネートに合うと思います。カットソーだから快適だし、気軽に着て欲しいですね。

丸山剛彦

1965年生まれ。新潟県長岡市出身。中学時代から上京し、西麻布にあったクラブのスタッフを経て1985年に「ビームス」に入社。チーフバイヤーとして数々のコラボレーションや別注品などを手掛け、多くのヒット作を世に輩出してきた。その後2007年に独立し、MADE IN JAPANブランド〈サンカ〉をスタート。日本の高い技術を用いたカジュアルウエアは、多方面から賞賛され、今年で設立10周年を迎える。

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