藤本:インテリアとして楽しむのもあるし、コレクターっぽいところもあります。ですのでコンプリート欲に駆られてブルース・ウェーバーの写真集も全冊買い集めたり、『Esquire』を全冊集めようとしたりしますね。いやらしい話ですが「この写真集は値段が上がってるから、今のうちに買っておこう」みたいなこともあります。日本だけでは見つからないので世界中から探して買うんですが、40年代の『Esquire』はなかなか見つからないですね。いまはかなり整理して表に出てるのはなるべく1冊ずつにしているんですけど、気に入ったものは閲覧用と保存用で2冊欲しい。特にブルース・ウェーバーの『O RIO DE JANEIRO』は本屋で見掛けたら「僕が救わないと」みたいな気分になって買ってしまうので、5、6冊ぐらい持ってます。
—エディトリアル関連で影響を受けた本や写真集はなにかありますか。
藤本:一番はやはり、ブルース・ウェーバーの『O RIO DE JANEIRO』ですね。あの写真集を見て『STUDIO VOICE』をデザインしたので。表紙や中面の紙質とか、写真に色かぶせたりとか、編集や装丁の仕方まで物凄く影響を受けています。ブルース・ウェーバーって造本や編集がすごく上手いんですよ。実は以前にブルース・ウェーバーが日本で初めて写真を販売したんだけど、何も買わずにギャラリーを後にしたことがあります。写真集を全冊持っているほど彼の作品が好きなのに、単体で欲しいと思う写真が1枚も無かったんですね。彼はエディットがうまいので、僕にとってはオリジナルプリントよりも写真集のほうが魅力的みたいです。
—言われてみると、確かに『O RIO DE JANEIRO』と『STUDIO VOICE』は何か同じものを感じます。