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FEATURE|スティーブン アランが行き着いた “オーガニックコットン” という選択。

スティーブン アランが行き着いた “オーガニックコットン” という選択。

スティーブン アランが行き着いた “オーガニックコットン” という選択。

ニューヨークブランドらしい、正統派トラッドの流れを汲みながら洗練されたコレクション。セレクトショップのオリジナルブランドとして設立されて約20年、〈スティーブン アラン(Steven Alan)〉はそんなスタイルを貫き、ここ日本でも確かに認知され、磐石の人気を手に入れた。その新たな一歩が、オーガニックコットンを使った物作りだ。着ていくほどに増す風合いと、漂う温かみ。何より無垢なこの素材に、彼らはどんな思いを込めたのか。

  • Photo_Naoya Matsumoto(Model), Hiroyuki Takashima(Still Life)
  • Text_Rui Konno
  • Edit_Ryo Muramatsu
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食べる物を選ぶように、服の生地にも自分なりの価値観を。

幼少期からファッションやアートに触れて育ったスティーブン・アランが、ホームタウンであるニューヨークに自身の名を冠したセレクトショップをオープンしたのが1994年のこと。それから約4年後にブランドをスタートしてからは、過剰な装飾や分かりやすいロゴなどには頼らずに、素材の良さとカッティングの美しさを大切にしたクリエーションで多くのファンを生んできた。そんなミニマルな服作りを得意とするスティーブン・アランだけに、生地選びは特に大きな意味を持つ。

都会的なニューヨークスタイルを地で行くこのブランドがオーガニックコットンというどこか土臭いイメージのある素材を選んだことは、ファンならずとも意外に思うことだろう。そこに至るまでの背景には、〈スティーブン アラン〉の日本のディストリビューターを務めるユナイテッドアローズからのある提案があったようだ。同社で企画担当の責任者を務める秋田博行さんはこう話す。

「僕たちが〈スティーブン アラン〉を取り扱うようになって今季で10シーズン目になるんですが、スティーブンに会いにニューヨークへ行く回数が増えてくるにつれて、現地のお店や街の雰囲気を肌で感じるようになったんです。オーガニックっていう概念についても、日本にいるときには食品とか化粧品くらいのイメージでしたけど、それがニューヨークには自分に優しいもの、環境に優しいものを大切にするっていう価値観として根付いていることに気づかされました」。

サステナブルという言葉が世界的に浸透してきた現代において、オーガニックコットンは心地良い暮らしを大切にする、米国らしいライフスタイルとも親和性の高い素材でもあった。しかし、それが〈スティーブン アラン〉のコレクションに加わるには、もう少し時間を要することになる。そしてそのきっかけとなる出会いが、ユナイテッドアローズに訪れた。

「僕たちがいつものように東京でいろんな展示会を回っている時に、偶然オーガニックの素材だけを扱う生地屋さんや商社さんのブースがあったんです。そこで、オーガニックコットンの素材感とか、生産している人たちの写真なんかを見て、背景や品質にすごく共感できて。それで、ふとそれが〈スティーブン アラン〉にも合うんじゃないかと思って、次にニューヨークへ行った時、スティーブンにそれを話したんです。そうしたら彼も、『うん、悪くないね』って言って興味を持ってくれたんです」。

レイヤードにも便利なラウンドした裾と、甘めに織られ、やわらかく伸縮性に優れたスウェット生地が特徴的な一着。身頃には適度なゆとりがあり、クルーネックも広めに設定された、リラックス感の漂うカットソーだ。¥11,000+TAX

ハーフスリーブのスウェットシャツはTシャツ感覚で着られる、汎用性の高いアイテム。落ちた肩に大きめのスリーブ、ルーズなボックスシルエットなど、シンプルに着るだけで旬なスタイルに。大きめのサイズを選びたい。¥9,000+TAX

下で紹介するB.D.シャツと同様のタイプライタークロスを使ったプルオーバーのトップだが、こちらはより薄手でトーンも淡いのが特徴的。大きめの袖やボディにリブを組み合わせたことで、空気を含んだ独特のシルエットに。¥17,000+TAX

オーガニックコットンの風合いを際立たせた、〈スティーブン アラン〉の定番であるリバースシームシャツ。ミニマルで普遍的なデザインはもちろん、肌へのストレスがないのも、長く愛せる理由だ。¥17,000+TAX

偶然、翌年の2月に、オーガニックなプロダクトが集まるポップアップショップがニューヨークで開催される予定だと秋田さんはスティーブンから聞いたという。そうして日本の提案と米国の時流が偶然重なり、オーガニックコットンを使ったプロダクションが具体化されていく。「スティーブンは『せっかくやるなら、ただ素材を変えるだけじゃなくて、ちゃんとネームタグも作ってしっかりと見せていこう』と言っていました」。

そうして生まれたのは、ブランドを象徴するB.D.シャツにスラックスやキャップを加えた9つのアイテム。その中にはドロップショルダーのプルオーバートップスやバルーンシルエットのスラックスなど、現代的なアレンジを利かせたものも少なくない。日本で多く見られる、クラシックでベーシックなオーガニックコットン製品とは趣を異にするアプローチだ。

「やっぱり〈スティーブン アラン〉である以上、デザイナーの審美眼やファッション性が入っていなくてはいけないなと感じていました。それでも、〈スティーブン アラン〉のお店の一角に、こういう優しい風合いの商品が静かに置かれていたらすごく素敵だなっていうイメージはずっとありましたね。実際、日本で〈スティーブン アラン〉を買ってくれるお客さまはこういう世界観に関心が高い人も多いんですよ。美意識が高いっていうんですかね。例えば、自分が使うシャンプーにしてもこっちじゃなくてこれの方がいいなとか、紅茶を飲むならこの茶葉で、とかっていう風に、自分の考えを持っていて。そういう方々になら、僕らのオーガニック観っていうのを理解していただけそうだと思いました。オーガニックな服を着ているからかっこいいとか、トレンドだとかっていうよりも、物の質感や考え方に共鳴していただけたら嬉しいですね」。

製法もデザインも、無駄を削ぎ落としたこれらのプロダクト。それは強いインパクトはないけれど長く付き合えて時間を経るほどに良さが実感できる “後効き” のコレクションだ。ファッションのサイクルがどんどん早くなり、消費される服が増える中で、その質素なデザインは本当の豊かさが何かをファッショニスタへ静かに語りかけている。

アメリカンヴィンテージを彷彿とさせる肉厚なワッフル地のサーマルは、程よい重みとやわらかさを兼ね備えているのが魅力的。オーバーサイズで着ても絵になるラグランスリーブで、7分丈のスリーブもさりげなく今っぽい。¥12,000+TAX

ブランドを象徴するB.D.シャツを温かみのあるタイプライタークロスでアップデート。小振りな襟の端正な仕立ては素材が変わっても健在だ。洗いざらしをさらっと着てもサマになる、自然体の魅力が詰まった一枚。¥17,000+TAX

台襟の付かないオープンカラーシャツは、薄手のダック地でカバーオールのような骨太さも感じさせる。インナーとしてもライトアウターとしても活用できるので、ワードローブに加えれば着こなしの幅がぐっと広がる。¥18,000+TAX

オープンカラーシャツとセットアップで着られる、ダック地のトラウザー。腰回りや腿にはゆとりを持たせ、裾にかけて強めにテーパードさせることで独特のボリューム感が生まれ、程よく力が抜けた着こなしが楽しめる。¥16,000+TAX

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