いまや「アンルートの顔」に。オリジナルのセットアップ誕生秘話。
- —〈アンルート〉のオリジナルコレクションのなかでも、立ち上げの当初から展開されているセットアップはリピーターが続出するほどの人気アイテムだそうですが、このアイテムが生まれた経緯を教えていただけますか。
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加藤:実は最初はセットアップではなく、パンツ単体でつくったものでした。それが予想をはるかに上回る人気を博したので、そのパンツにあわせてジャケットをつくったというわけです。
そもそもこのパンツは、〈アンルート〉のオリジナルコレクションの立ち上げにあたって、ディレクターの沼田からの「きちっとしたスラックスやドレスパンツのような緊張感を持ちながら、はきやすくて動きやすいスポーティなパンツをつくりたい」というリクエストを受けて企画しました。
- —このパンツの素材やディテールについて詳しく教えていただけますか。
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加藤:素材は縮れた加工がされているストレッチ性の高いナイロンにポリウレタンを6%織り込んでいます。パンツはある程度軽いほうが動きやすいのはたしかですが、ただ軽ければいいというものでなく、適度な重みや厚みがあったほうが、シルエットがきれいに出ます。そのあたりのバランスを鑑みながらこの素材を選びました。また、素材や縫製はすべてメイドインジャパンにこだわっています。
ディテールに関しては、スポーティであることを意識すると要素を省いてしまいがちですが、あまり省きすぎると服としては味気ないものになってしまう。そこで、ベルトループ、ポケット、ファスナーなど、テーラードのパンツのクラシックなディテールはそのまま残しました。
シルエットはかなりテーパードで、丈は短め。クッションせずにくるぶしくらいで止まるほうが美しく見えますから。
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加藤:最初はノータックのみでしたが、2017年春夏から2タックが加わりました。いま私がはいているのは2タックのほうです。こちらのほうがわたりによりゆとりがあるので、下半身ががっちりしている方には2タックがおすすめです。
- —そしてこのパンツにあわせてジャケットをつくった、と。
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加藤:はい。素材使いや基本的なコンセプトはこのパンツのコンセプトを踏襲し、テーラードのジャケットのクラシックな雰囲気やディテールを踏襲しながら、パンツと同じ素材でジャケットをつくりました。
- —お客さんからの反応はいかがですか?
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加藤:素材の性質上、ほとんどシワにならず、手入れがラク。デスクワークが多くずっと座りっぱなしの方や、出張の多い方にもご愛用いただいています。
実はこれ、社内での人気も非常に高くて、「あのセットアップ、ある?」って私のところに他の社員から問い合わせが来たりします(笑)。
また、このセットアップは定番として継続展開していますが、同じように見えながらも毎シーズンすこしずつパターンやディテールの見直しを加えています。
〈アンルート〉のジャケット ¥35,000+TAX、〈アンルート〉のパンツ ノータックタイプ、2タックタイプ 各¥15,000+TAX
これからの季節に最適。軽やかな素材を用いたタイプも。
- —オリジナルコレクションのセットアップは他にどんなバリエーションがありますか?
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加藤:いくつかありまして、まずはポリエステル100%のタイプ。今季の新作です。
〈アンルート〉のジャケット ¥28,000+TAX、〈アンルート〉のパンツ ¥13,000+TAX
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シルエットは定番タイプと同様ですが、こちらは夏の着用に対応したもの。より軽やかで涼しげな着心地です。
そしてこちらも今季の新作。コットン100%のタイプです。
〈アンルート〉のジャケット ¥26,000+TAX、〈アンルート〉のパンツ ¥14,000+TAX
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シリコンコーディングを施した特殊な加工で、コットンとは思えないハリのある質感が特徴です。こちらはシワになりにくいというよりも、シワがむしろかっこよく見える素材感。ただのカジュアルなセットアップとはまた違った、〈アンルート〉らしい雰囲気の一着に仕上がったと思います。