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FEATURE|override meets 4 designers. overrideに新たな息吹をもたらす4人のデザイナーたち。Vol.1

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override meets 4 designers.

overrideに新たな息吹をもたらす4人のデザイナーたち。Vol.1

古くから頭部を着飾る風習があったという日本。帽子のセレクトショップ「オーバーライド(override)」は、日本人が育んできた感性を時代ごとにアップデートし、帽子というアイテムが持つ魅力を幅広く伝えています。そんな「オーバーライド」と、フイナムがプッシュする4つのブランドとのコラボレートが実現! 今回の特集ではブランドのデザイナーたちのインタビューと、コラボアイテムを使ったスタイリングを前後編に渡って披露し、アイテムの魅力を紐解いていきます。前編はフイナムブログでもおなじみの〈ミソグラフィー(mythography)〉の宮城秀貴さんと、モデルとしても活躍する〈イクミ(IKUMI)〉のikumiさんが登場。一筋縄ではいかないアイテムはどのようにして生まれたのか? その背景に迫ります。

  • Photo_Fumihiko Ikemoto
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yosuke Ishii

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override × mythography

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宮城秀貴 / mythography
2012年秋冬よりシューズブランド〈ミソグラフィー〉を設立。ブランド名は神話や神話芸術を意味する。グッドイヤーウェルト製法にこだわったレザーシューズや、新しい技術を用いたスニーカーなど、スタンダードなアイテムからモード性を感じるシューズに至るまで、その表現方法は幅広い。今秋から自身の名前を冠したウェアのレーベル〈ミヤギヒデタカ(MIYAGIHIDETAKA)〉をスタートさせる。

自分の好きなものや、いまの気分をアイテムに盛り込んだ。

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宮城さんはずっとシューズの販売をされていたんですよね。

宮城そうです。シューズブランドのお店に7年ほど務めていました。とくに靴が好きだったというわけではないんですが(笑)、とにかくファッションの仕事がしたいと思ってそこに入ったんです。お店にいるとデザイナーが来たりして、当時若かった自分はその人を憧れの眼差しで見ていました。いろいろと靴のことについて教えてくれたんですけど、知識がない自分には何を言っているのか全然理解できなくて(笑)。でも、わからないなりに興味を持ったんですよ、靴に対して。それで空いた時間があればデッサンを描いたり、靴を分解してその構造を勉強したり。独学ではあるんですけど、いろいろ学んでいるうちに、気づいたら靴にどっぷりハマっていたんです。

それで自分のブランドをスタートしたわけですね。デザインの着想はどんなところから得ているんですか?

宮城いままではシーズンごとにテーマを設けていて、それに沿ってデザインしていました。でも、今年の秋冬はちょっと違って、自分の生活から感じるインスピレーションを靴に落し込んでいます。いまと昔で変わらないのは、自分に嘘をつかないようにデザインすること。そのときの自分の気持ちにフィットするものづくりを心掛けているんです。靴はもちろんですが、いまは服のデザインにも興味があって、そちらにも力を入れています。

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服も独学で?

宮城そうですね。思い立ったらすぐに行動しちゃうタイプなんです(笑)。というか、自分でやらないとわからないことが多いから、まずは自分でやってみて理解する。靴づくりに関してもそうなんですが、自分が理解しないと、工場とやりとりをするときに自分の表現したいことが伝わらないんです。

ファッションに関してはどんなものに影響を受けてきたんですか?

宮城若い頃、とにかく〈ナンバーナイン〉が大好きでした。当時は宮下(貴裕)さんがデザインを手掛けていて、その世界観にいつも魅了されていたんです。宮下さんから受けた影響は計りしれないですね。

宮城さんのファッションを見ていると、いつも帽子を被っている印象があります。

宮城帽子が好きなんです。自分のブランドの展示会のときはハットで、普段はキャップやベレー帽を被ります。レザーのキャップが好きでいくつか持っていますね。

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今回の「オーバーライド」とのコラボアイテムもレザーのキャップですね。

宮城自分の好きなものを作りました(笑)。レザーだと、育てようという意識が生まれるし、メンテナンスをすることで愛着が湧くことってありますよね。このアイテムも、手に取ることで同じような感覚になるかな、と。とくにブラウンのほうは時間と共に色が変化していくと思うので、それを楽しんでもらいたいです。

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バイザーが長めに設定されているのも特徴的です。

宮城ぼくが持っているもののほとんどがバイザーが長いアイテムで、これもそうしています。なぜかこういう形のほうが自分にフィットするんです。ハットもブリムが長いほうが好きですし。

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バイザーの裏側には刺繍が施されていますね。

宮城ウェスタンブーツに見られるステッチワークをここに落し込みました。ぼくはウェスタンのディテールがすごく好きで、このプロジェクトがはじまるときからどこかにこの要素を入れようと思っていたんです。ぼくはなんだかこういう装飾性に惹かれるみたいで(笑)。シューズブランドで働いていたとき、デザイナーにとある写真集をすすめられて買ったんです。パリで生きる人々や街並がそこには収められていたんですけど、一番目を奪われたのは建物の装飾でした。それ以来、装飾というものが気になって、美術館へ行っても、絵よりも額縁ばかり眺めてしまうんです。

このステッチで描かれている線には、なにか意味があるんですか?

宮城実は〈ミソグラフィー〉の秋冬のテーマとリンクさせています。今シーズンは“スーツ”をテーマにコレクションを展開しているんですが、スーツってボタンを留めたときに前立てが重なるじゃないですか。このステッチが重なっているのは、それを意味しているんです。あと、花に見えるように意識しました。

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スーツと花?

宮城そうです。スーツを着るという行為は、大人の余裕に繋がると思うんです。ある意味では花もおなじく余裕というか、大人になってから分かる美しさがある。そういう気持ちが自分のなかに芽生えてきたので、ここにスーツと花を表現しました。今回「なにをやってもいい」と言われたので、いまの自分の気分や好きなものを「これでもか!」ってくらい盛り込みました(笑)。

Style of Hidetaka Miyagi.

自分の好きな要素をたくさん盛り込んだ」と宮城さんが話すコラボアイテム。普段からバイザーの長いキャップを被っているという宮城さんに、このアイテムを使ったスタイリングを披露してもらった。インタビューでは、バンダナをリメイクしたシャツに黒いスラックスという着こなしをしていた一方で、ロングコートを羽織ったキレイ目なスタイリングにもしっかりとなじんでいる。

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このアイテムの汎用性を伝えたくて、インタビュー中とは異なる着こなしを意識しました。スーツが自分のなかでのトレンドなので、スカーフを巻いたり、スラックスにオペラシューズを合わせて紳士のようなイメージでコーディネートしています。レザーで光沢のあるキャップなので、カジュアルなときは品を与えてくれるし、このスタイリングのようにモードで大人っぽいコーディネートにも当然マッチする。このアイテムを手に取ってくれたお客さんも、個人的には、ちょっときれい目なスタイルに合わせて欲しいですね」

随所にこだわりが散りばめられた大人のレザーキャップ。

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override × mythography LEATHER CAP ¥18,000+TAX

素材に牛革を用いたキャップは、バイザー裏に細かなウェスタンステッチを施した意欲作。長年使用することで、レザーの経年変化を楽しめる。バイザーは長めに設計され、どこかモードな印象。ライニングにはサテンを採用し、艶っぽい光沢が高級感を醸し出すと共に、大人の上品さを感じさせてくれる。


次のページでは〈IKUMI〉のデザイナーikumiさんに今回の別注のお話しと、ご自身によるスタイリング提案を披露していただきます。
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