HOUYHNHNM

FEATURE|The Man Who is Working At The Place.

あの街のこのひと。

- JOURNAL STANDARD KANAZAWA -

Photo_Yousuke Morimoto
Edit_Yuichiro Tsuji

01グルメも景色もおいしい金沢。

全国津々浦々、各地に名産、名所、名物があるように、
〈ジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)〉のお店にも
“名物スタッフ”と呼ばれるひとがいる。
ファッションに対して熱い情熱を燃やし、誰にも負けない趣味を持っていて、
自身が働く街に対して深い愛情を抱いている。
そんな彼らに、ファッションのこと、自分自身のこと、
そして街のことを語ってもらおう。きっと、おもしろい話が聞けるにちがいない。

金沢店の名物スタッフは、真面目で低姿勢。

「ジャーナルスタンダード 金沢店」は、2011年の秋にオープンした比較的新しいお店。このショップにオープニングスタッフとして入社した梅本恭平さんは、腰が低く、接客に対する情熱に満ちあふれたスタッフだ。お店のムードメーカー的存在で、明るく大きな声でハキハキと喋りながら、常に笑顔でお客さまと接していると、店長も太鼓判を押していた。そんな彼に、どうして〈ジャーナルスタンダード〉に入ったのか? そんな質問からぶつけてみた。

「数あるセレクトショップのなかで、〈ジャーナルスタンダード〉が自分にとっていちばん身近に感じたんです。シンプルなものが好きな自分は、ベーシックなアイテムもしっかりと取り揃えているこのお店の商品ラインナップに魅了されていて。地元にお店がなかったので、大阪や京都へ旅行へ行ったときには必ず寄っていましたね。そんなときに金沢にもショップがオープンすると聞いて、いの一番で採用に応募したんです」

梅本さんの動作を近くで見ているとわかるけど、彼は誰に対しても礼儀正しくて、“超”がつくほど真面目だ。そんな性格だから、面接のときは全身〈ジャーナルスタンダード〉のアイテムで臨もうと、名古屋のお店までおもむき、名古屋店のスタッフにコーディネート組んでもらったんだとか。じつは、そこにまたひとつドラマがある。「これ、ウソみたいな本当の話なんですけど」と言いながら、そのエピソードを話してくれた。

「そのコーディネートがぼくはすごく気に入って、だから面接当日もしっかりと受け答えができたように思うんです。それで晴れて採用になったんですが、オープン前のスタッフ顔合わせのとき、このお店の店長と紹介された人が、なんと名古屋でぼくにコーディネートを組んでくれたスタッフだったんです。そのときにすごく縁を感じて、自分が入るべきお店はやっぱりここだったんだって思いましたね」

顧客さまからみた普段の梅本さんの姿。

そうして日々真面目に働きながら、接客の技術を磨き、ファッションに対する造詣を深めていった梅本さん。そんな彼が「ぼくの大切なお客さまのひとりです」と紹介してくれたのが、顧客さまの三宅勝広さんだ。三宅さんと出会ったのは3年前のこと。なんとも梅本さんらしくてほっこりするのが、はじめは三宅さんの落ち着いた雰囲気に緊張して上手にしゃべることができなかったそうだ。それからは、三宅さんが来店されるたびに店内をご案内して距離を縮めていったんだとか。はじめて接客を受けたときのことを振り返りながら、三宅さんが梅本さんについて語ってくれた。

「ショップスタッフの方って、ぼくのなかでちょっとかっこつけているイメージがあるんですよ。いらっしゃいませっていうあいさつも、わざとだらしなく言う人とかいるじゃないですか。でも、梅本さんの場合はちがったんです。常に低姿勢で、あいさつも丁寧。ぼくが買物して帰るときも深々と頭をさげて『本当にありがとうございました』って3、4回くらい言うんですよ(笑)。それで、この人はほかのお店のスタッフと違うなぁって思ったのが最初の印象ですね」

そんな梅本さんの心温まる接客に、三宅さんも徐々に心を開いていったんだとか。

「ぼくはその時々によって服の好みが変わるんですけど、梅本さんはそんなぼくの性格をしっかり把握していて、お店へ行くたびにいろんな提案をしてくれるんです。しかも、それが押しつけがましくない。販売員として正解なのかはわからないですが、売ろうっていう気持ちがあまり感じられないんですよ(笑)。それが自分にとって心地いいんです」

この三宅さんの言葉に対して、梅本さんも口を開く。

「とてもうれしい言葉をいただいて、本当にありがとうございます。お店で働く以上、売上げを取らなきゃいけないのはもちろんなんですが、ぼくはその気持ちが前のめりになりすぎてお客さまのことを不愉快な気持ちにさせたくないんです。これは三宅さまに限らず、すべてのお客さまにそういう気持ちで接客させてもらっています。居心地のいいお店づくりを心掛けていたら、おのずとそんな接客スタイルが身に付いたんです」

自分がどういった行動をとればお客さまに喜んでいただけるのか、常にそれを考えながら梅本さんは店頭に立っている。そうしてお客さまの居心地を優先させる想いは、三宅さんにも届いているそうだ。その証拠に、こんな話をしてくれた。

「ぼくはいつも妻とこのお店に買物へ来るんですが、ぼくが接客されているあいだは妻が手持ち無沙汰になる。そんなとき、梅本さんは妻と会話しながらそのケアをしてくれているんです。そうしたさり気ない気配りがうれしい。だからぼくも安心して買物ができるんです。梅本さんがお休みの日は、ほかのスタッフさんがぼくのケアをしてくれることもあったりして。本当にいいお店ですよ、ここは」

この日も、三宅さんの気分に合わせてさまざまな提案をしていた梅本さん。スタイルのいい三宅さんに細身のセットアップを合わせて、ゆるめのシャツとスニーカーでカジュアルさを演出していた。

「三宅さまってどんな洋服でも似合うんです。だから、いつもいろんなアイテムをご案内するように心掛けています。ファッションを通して三宅さまに喜んでいただけることが、自分にとっても幸せなんです」

どこまでもお客さま想いな梅本さん。彼にショップスタッフとしての今後の目標について聞いてみた。

「後輩からはもちろん、先輩たちからもひと目置かれる存在になりたいです。それは決して目立ちたいという意味ではなく、接客の技術など販売員としての姿勢の部分のこと。簡単にいえば、みんなのお手本になりたいんです。日々プロとしての自覚を持って、これからも努力していこうと思っています!」

JOURNAL STANDARD 金沢店
石川県金沢市香林坊2-4-30 香林坊ラモーダ 1F・2F
電話:076-221-5061
11:00〜20:00 / 不定休