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FEATURE|The Man Who is Working At The Place.

独特の存在感を放つ
心斎橋店の守り神。

古着から派生して好きになった
ヴィンテージポスターやインテリアグッズ。

ショップのこだわりが詰まった〈J.S.ホームステッド〉。このラインを根本の部分から理解し発信するには、洋服の知識がないとかなわない。「ファッション」の部分でも軽く触れたけど、亀山さんはコアな古着好きで、いろんなヴィンテージショップに通いながらさまざまなアイテムを見て、触って、その知識を蓄えている。

「高校生の頃にファッションが好きになって、どこに行けばカッコいい洋服が手に入るかわからなかったので、とりあえず地元のセレクトショップや古着屋に通うようになったんです。それから古着はもちろん、デザイナーズのアイテムも着ていたんですけど、やっぱりいい服ってそれなりに値段もするんですよね(笑)。でも、どうしてこんなに高いんだろう? って自分のなかで疑問が生まれたんです。で、その理由を知るために洋服のつくりや生地に関することを勉強したいなと思ってヴィンテージのアイテムを研究するようになったんですよ」

モノのルーツを辿る。洋服屋で働く人にとっては、とくに珍しい行ないではない。だけど亀山さんの場合は洋服だけに留まらず、インテリアやアートに至るまで興味の対象が派生している。それを裏付けるように、亀山さんの自宅にはたくさんのヴィンテージのポスターを中心にさまざまなインテリアグッズが部屋のなかに飾られている。

「そもそもこういったものが好きになったのは、古着のTシャツのアートワークがきっかけなんです。Tシャツのグラフィックがカッコよくて、それを描いているアーティストのことを調べてポスターを買ったりしていたら部屋中がモノだらけになっちゃったんですよ(笑)」

グラフィックのなかに常軌を逸した世界が広がっている。

亀山さんの部屋には、60年代のヒッピームーブメントの勢いを感じるものから、80年代のスケートカルチャーのポスターなど、色とりどりのアイテムがひしめきあっている。これらのアートワークにみられる共通点は、とにかく力強いということ。見る者を瞬間的にグラフィックの世界へと引き込んでしまうのだ。

「普通の絵だとつまらないので、やっぱり尋常じゃない絵力を感じるグラフィックがぼくは好きなんです。60年代のものだとアーティストがトランス状態で描いているものも多くて、常軌を逸した世界がそこには広がっている。なんだか時間を忘れて見入ってしまうんですよ(笑)」

普通の人に描くことのできない突き抜けた感性があるからこそ、サーフブランドやスケートブランド、またはミュージシャンのアートワークに至るまでを手掛け、ひとりのアーティストにも関わらず多彩な表現力を目の当たりにすることができるところも魅力だという。

亀山さんが敬愛する3人のアーティスト。

ヴィンテージのアートワークの魅力を語ってくれた亀山さん。とくに好きなアーティストは? という問いかけに対して、3人のアーティストの名前を挙げてくれた。

「まず真っ先に思い浮かんだのはピーター・マックスです。このアーティストはビートルズのアートワークを手掛けたこともあるので、一度は目にしたことがある人も多いと思います。カラフルな配色や、表現の幅広さに魅力を感じますね」

「次はこのリック・グリフィンです。〈バンズ〉や〈ハーレーダビッドソン〉などのブランドのアートワークを手掛けていることから好きになりました。一方ではジミー・ヘンドリックスやグレイトフル・デッドなどのミュージシャンたちにもグラッフィックを提供していて、そういった多彩な活躍も心を惹きつけるポイントですね」

「最後に紹介するのはパスヘッドです。スカルをモチーフにした作品をたくさんリリースしているんですけど、彼の描くスカルはどこか愛嬌があっていいんですよね(笑)。主にスケートブランドのTシャツや、メタリカなどのミュージシャンのアートワークも手掛けています」

次に狙っているのはローレン・シュナイダー。

Tシャツやポスターなどを通してアートの世界へとどっぷり浸かってしまった亀山さん。いまでは使命感にかられて、いいと思ったものはすぐに買ってしまう傾向にあるんだとか。

「本物の絵は高くて買えないけど、Tシャツやポスターならまだなんとか手に入れることができるじゃないですか。そういう身近なところもこういったアート作品の魅力だと思うんですよね。家に帰ると好きなものに囲まれて過ごせるので、気分が上がりますしすごく幸せですね」

最後に、そんな亀山さんにいま狙っているアート作品について聞いてみた。

「いま狙っているのはローレン・シュナイダーの『war is not hearthy for children and other living things』と書いてあるポスターですね。じつはキーホルダーのモチーフは持っているんですけど、ポスターはまだなくて。フォント系のポスターはあまり集めたことないんですが、これにはメッセージを感じるんです。これを4枚集めて額装して壁に貼りたいんですけど、ポスターがありすぎて飾る場所がないんですよね…。でもまぁ、とりあえず集めてから考えることにします(笑)」