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AMRICAN EAGLE OUTFITTERS®と考えるアメカジのイロハ。 vol.2

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Photo_Yozo Yoshino[takibi]
Text_Ryo Kikuchi
Edit_Jun Namekata[The VOICE]

正統的なジーンズの証

アメリカンカルチャーを原体験にもつ人は多い。米国製のアイテムに有無を言わさず飛びつき、我先にと身に着けていた人たち。とりわけジーンズは、その象徴みたいなものだから、誰もが古着屋で食い入るように観察していた。そこで、とっておきの一本を探す度に必ずといっていいほど裾をペロッとめくる。

それは、セルビッジデニムかどうかを確認するお決まりの作業。目当てはデニム地の耳端に通された色糸、通称“ミミ”と呼ばれるものだ。今じゃ気にする人は少ないかもしれないけど、当時の若者たちからすれば、「ロックやるならエレキでしょ」ってぐらいジーンズはセルビッジ生地が常道。その価値観は、大人になっても変わることはないのだ。

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デニム生地の織端がほつれないように施された処理。それがこの色糸を通す目的。なぜ色糸かというと、メーカーを分別しやすくするためだったとか。ひと昔前までは(現在も僅かに使用しているブランドはある)旧式の織機が主流で、今ほど幅広の生地を織ることが叶わなかった。だから裁断の際、生地の端までめいっぱい使う。(写真右がミミあり、左がミミなし)

ある意味“ミミ”は、旧織機で仕上げました、という証のようなもので、オーセンティックな一本を嗜好する人たちにとっては引けない要素だ。生地の端っこを使うから必然的にシルエットもまっすぐしか作れなかった、という制約もあるのだけど。

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さて、セルビッジデニムを好む理由は、何も古き佳きアメリカへの慕情からだけではない。そのひとつが、ジーンズの醍醐味である経年変化で、穿き続けるほどに表れるアジのある表情は、一番のこだわり所と言っていい。色の落ち方はタテ落ちが基本だし、ヒゲやアタリがうっすら出てくれば内心「してやったり」と思う。

だからこそ、ほつれ処理を施すことで生まれる縫製部分の凹凸が、独特なアタリを生み出すセルビッジは欠かせないのだ。しかも、ロールアップをすればそれがアクセントとなり、足元に効果的なアクセントを加えてくれるし。

旧織機は幅広い生地を織ることが出来ない反面、より肉厚な生地が織れる。だからこそ、元来ワークウェアで、頑丈さが信条のジーンズを作るには格好の設備だった。今ではさほど必要ないかもしれないが。それでも“ミミ”を見るとそのオーセンティックな魅力に気づくことができる。それが、今なお大人たちを惹きつける所以なのかもしれない。

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(右)スリムストレートジーンズ ¥11,990+税
使用した生地は、1900年代初頭の織り方を参考にした高品質のプレミアムセルビッジデニム。 シルエットはやや細身のストレートでもたつきがなく、ヒゲ加工などを加えたヴィンテージ顔も魅力的。

(左)スリムストレートジーンズ ¥11,990+税
右と同様のモデルで、こちらは色味をさらに抜いたアイスウォッシュカラー。ハイブリーチに、膝部分へあしらったダメージも相まって、長年穿き続けたようなシブい表情を描き出している。

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