1977年の初登場から時を経て、昨年リローンチを果たした〈アシックスタイガー(ASICS Tiger)〉。スポーツパフォーマンスの〈アシックス(ASICS)〉、スポーツファッションの〈オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)〉の中間地点に立ち、スポーツライフスタイルブランドとして注目を集めつつある。ここでは、日常使いにマッチするさまざまなテイストのモデル紹介しながら、ファッション内外の人たちの視点を通して、〈アシックスタイガー〉の新しいカタチを追った。
Photo_Kazumasa Takeuchi
Interview&Text_Yuho Nomura
Edit_Shinri Kobayashi
山田陵太/スタイリスト
文化服装学院を卒業後、ショップスタッフを経てスタイリスト小沢氏に師事。2007年に独立後、数々のメンズファッション誌を中心に活躍。レディース雑誌のスタイリングやFACETASMのコレクションなども手掛けている。
ースタイリストというご職業柄、シューズと接する機会も多いとは思うのですが、お仕事のときはどんなものを履くことが多いですか?
山田:リースのときなどは車で移動することが多いので、意外と革靴やブーツを履いていることも多いです。スタジオなどの屋内撮影だと、着脱しやすいシューズが必然と増えます。特にスニーカーは履きやすさが重要なので、ローカットのモデルが便利ですね。
—では、普段履くスニーカーはどんなものが多いですか?
山田:最近はスケートシューズが気になっています。そもそもハイテクよりもローテクが多いですね。スタイリングという観点では靴下感覚でスニーカーを履くというか、コーディネートを邪魔しないデザインのシューズが好きなので、ワントーンものには魅かれます。スニーカー単体のデザインに魅かれて主張がある物を購入したりもするんですが、あまり自分の私服には馴染まなかったりで徐々に履くタイミングが減っていき…。
—なるほど。〈アシックス〉というブランドは、日本人なら誰もがなじみのあるブランドだと思いますが、山田さんにとってはどんなイメージですか?
山田:学生時代から今に至るまでバスケをしていることもあって、昔から〈アシックス〉は知っていて当たり前のものでした。印象としては、本気でバスケットをしている強豪校なんかのチームが履いている印象だったので、シブいなあって感じでしたね。
—そして今回、新たにスポーツライフスタイルブランドとして〈アシックスタイガー〉が復刻されたわけですが、実際にご覧になっていかがですか?
山田:当時はクラシカルなバスケットシューズの代名詞という認識でしたけど、今実際に見てみると機能性の部分と今っぽいファッションとしてのデザインアプローチをそれぞれ感じ取れますよね。あとは、今はまだ猫も杓子も履いているという状況ではないからこそ、“差別化”という点では履く楽しさ、気持ちよさもあるのかもしれません。こういったところも時にはファッションには大事なことでしょう。
GT-DS ¥12,000+TAX
—では個別に見ていきますが、こちらのエボリューションラインの「GT-DS」はいかがでしょう?
山田:すごくニュートラルなモデルだなと。デザインが先鋭すぎたり、ハイテクすぎるモデルって賞味期限がありそうって感じるんですよね。それがワントーンのカラーリングで、素材に特徴があったりする感じが、良い意味でスポーツブランドらしくなくていいなと思いました。ファッションブランドが作るスニーカーに近い感覚なのかもしれませんね。
—かたやヘリテージラインである「GEL-LYTE III」に関してはどうですか?
山田:「ゲル ライト」シリーズはもはや完成されたデザインといえるような骨格がしっかりとありますよね。そこに細かなエッセンスをアレンジすることで、その時々で懐かしくも新しくも感じさせてくれる気がします。
GEL-LYTE III ¥12,000+TAX
—懐かしい中に新しさがある。これも〈アシックスタイガー〉が持つ魅力のひとつなのかもしれないですね。
山田:時代が進化して選択肢が広がっていくなかで、時をさかのぼって古きよきものに立ち返るということもあると思うんです。という観点からみても〈アシックスタイガー〉は、当時の空気感やブランドの歴史が持つ厳かさを感じられるのも魅力なのかなと。