今年10月1日に、国内初の旗艦店となるショップをオープンさせたブルックリン発の高感度なセレクトショップ「ピルグリム サーフ+サプライ(Pilgrim Surf+Supply)」。日本を代表するセレクトショップである「ビームス(BEAMS)」による丁寧なディレクションのもと、このたび待望の日本上陸と相成りました。この度、オープンのタイミングで来日していたディレクターのクリス・ジェンティール氏に「ピルグリム サーフ+サプライ」の魅力と彼らが目指す次なるライフスタイルの形について話を訊くことができました。

Photo_Erina Fujiwara
Text_Yuho Nomura
Edit_Ryo Komuta
Presented by BEAMS(Pilgrim Surf+Supply)

広々とした店内には、“アウトドア”にまつわる様々なコンテンツが並びます。強調しておきたいのは“サーフィン“だけではなく、“アウトドア”であるということ。


—日本1号店となる「ピルグリム サーフ+サプライ」の東京店の大きな特徴はなんでしょう?

東京でお店を始めたのは、僕自身が単純にいいなと思えた場所だったからなんだ。それはきっと日本を代表するセレクトショップの「ビームス」の存在もあっただろうし、日本が持つ独自の文化というものも好きだったのが大きな理由かな。当然、扱うアイテムやディスプレイはブルックリンの店舗とは異なっているし、「ピルグリム サーフ+サプライ」の世界観と僕が思う日本へのイメージが詰まったお店になっていると思うよ。

言うまでもなく、サーフィンはショップにとっては欠かせない存在。サーフボードだけではなくウェットスーツも揃います。


—パートナーでもある「ビームス」はクリスにとってどんな存在なのですか?

家族みたいなものだね。僕ら「ピルグリム サーフ+サプライ」のチームも少ない人数の中で、それぞれがファミリーとしての感覚で接し合いながら生活している。それと同じように「ビームス」も大きな企業でありながら、みんなが会社のために(家族のために)なにか貢献したいと考えている。そんなマインドが僕らと似ているなと感じたんです。

自慢のオーディオスペース。アンプやら細かいところにまでこだわりがぎっしり。信じられないほど音がいいので、ぜひショップで確かめてみてください。


—お互いがコミットしていくきっかけはなんだったのですか?

直感的なものだったかな。お互いをまずは友達、そして家族として迎え入れていることが大きくて、商社のような付き合い方ではこうした関係にはなっていなかったと思う。決して契約上のライセンサーではなく、同志として、また家族としてディスカッションしていけたことが、これまでのポップアップショップもそうだけど、こうした旗艦店のオープンにも繋がったのかなと感じているよ。

カメラを向けるとこの通り!すこぶるお茶目なオーナー兼ファウンダーのクリス。快活で誰に対してもフレンドリーなスタンスで、すぐに仲良くなってしまう、彼の人柄もピルグリムを象徴する一面でもある。

—クリスにとって拠点でもあるブルックリンはどんな街なのでしょうか?

ニューヨークに住み始めた理由が、僕の周りのクリエイターが多く移り住んでいたことが大きなポイントだったね。そうしたクリエイティブなコミュニティに近い距離で生活していくことで毎日がとても刺激的なものになったし、お互いをサポートしながらクリエイションしていくことができたんだ。仕事だけではなくて、遊びもそうだし、常にそうした人たちと一緒にいることが僕のライフスタイルの中でもすごく大切なものになっているよ。

〈クリーン カンティーン(Klean Kanteen)〉とのコラボレーションで制作されたステンレスボトル。オリーブ色がとくに渋い。各 ¥4,000+TAX

クリス自慢のコレクションである、色鮮やかなヴィンテージフィン。ショップを象徴するコーナーとなっています。※すべて非売品です。


—過去に働いていた、ウィリアムズバーグにあったショップ「モラスク サーフ ショップ(Mollusk Surf Shop)」では、どんなことを感じ、学んできたのでしょうか?

基本的には今と変わらないよ。「ピルグリム サーフ+サプライ」で表現したいなと思ったことは、「モラスク サーフ ショップ」で働いていた時から常に考えていたことだったから。好きなことを仕事にしていくことは、いつどんな時も僕自身の基本だからね。

店内には、こうした植物なども置かれ、レイドバックした心地よい雰囲気が流れています。

クリスが長年愛用してきたという〈ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(THE NORTH FACE PURPLE LABEL )〉のシンプルなジップパーカ。現在インラインでは生産されていないものを、今回特別に復刻! ¥25,000+TAX

みんな大好き〈カシオ(CASIO)〉の「G-SHOCK」。今回、「ピルグリム サーフ+サプライ」の別注モデルは、波の満ち引きが確認できる、“いかにも”なモデル。控えめなフラッグロゴも好印象。¥18,000+TAX

友人の家に遊びに来たかのような、バラエティに富んだ棚の中身。ショップの世界観を表すような写真集なども置かれているので、買い物の合間にパラパラとめくって楽しむこともできます。

ーブランドにとってのアイコンでもある、三角形のフラッグロゴにはどんな意味が込められているのですか?

港町でもあるロードアイランドで生まれ育ったこともあって、幼少期から船舶場などで船のフラッグをよく見ていたし、僕自身のルーツへの表れなんだと思う。ロゴに関しては、タイプフェイスではなくてマークとして認識できるものが良かったんだ。あとは船のフラッグには、その人がどこに存在し、どこにいるのかが示されていたりと色んな意味が込められているんだよね。このブランドのロゴは友人にデザインしてもらったんだけど、少し傾いた三角形になっていて、前進している動きや波をイメージしているんだ。

話題沸騰中の〈スノーピーク(snow peak)〉のアパレルともコラボモデルを制作。後述しますが、オリーブとネイビーの2色で展開しているのには深い理油が。 ダウンベスト ¥24,000+TAX

オリーブ一色に染まった、〈ノンネイティブ(nonnative)〉のラック。デザイナーの藤井氏とクリス氏の深い交流から生み出されたコレクションは、今回の目玉の一つ。

「アウトドア」をテーマに掲げる同店において、オリーブは山、ネイビーは海を表しています。そんなわけで、〈ノンネイティブ〉や〈スノーピーク〉ではこの2色でのコレクションが展開されています。

ーサーフカルチャーを中心に捉えたショップがここ日本でも増えてきていますが、どんな理由が考えられますか?

「ピルグリム サーフ+サプライ」もそうだけど、サーフだけに限らずにそれぞれのお店が独自の視点でお店を展開している。そうした活動が幅広い層へ認識されていって、サーフカルチャーの底上げやサポートに繋がっていると思う。僕たちもこれからどんどんと新しい提案やアプローチをしていきたいなと思っているよ。

サンフランシスコにあるWOOD SHOPを主宰するDANNY HESS(ダニー・ヘス)によるハンドプレーンボード、優れたギアであり美しいオブジェでもある。¥29,000+TAX

ー先日、宮崎・鎌倉に行かれていたようですが、日本のサーフカルチャーにどんな印象を受けましたか?

大きなスポットが多いことにびっくりしたね! 日本にも表面的ではなく、しっかりとした深いサーフカルチャーが根付いていることを再認識したよ。シャイパーやグラッサーなどとても優れた人が多くて、スキルのあるサーファーも多いしね。あとは〈ラッシュ(RUSH)〉のウェットスーツなどは本当にモノが良くて、アメリカでもとても評判が良いよ。日本の素晴らしい部分でもある物事を掘り下げる姿勢というのが、そうした部分にもしっかりと反映されていていつも驚かされているよ。

ー先日公開されたプロフィール動画を拝見しましたが、とても素晴らしい内容でした。その中で「いろいろなひとが集える場所を用意して、自分はただドアを開けておくだけ」という言葉がありましたが、そうした考えに至るようになったきっかけはなんだったのでしょうか?

アイデアやコンセプトを生んでいく中で、雑誌とかもそうだと思うけど僕らだけではなく、その周りのサポートがあって成り立つことばかりなんだよね。僕らが持つカルチャーを表現したお店にたくさんの人が集まって、様々なコミュニティが生まれていく。そうしたスポットからまた新しいカルチャーが発信されていくことはとても自然なことで、むしろそれ以外はありえない。だから僕は場所を提供しているだけなんだよ。そんな感覚をこれからも大切にしたいんだ。

ー今後、この日本のお店でやっていきたいことはありますか?

もっと自由に色んなアイデアを出しながら、新しいことを提案していきたい。コンビニに行くような感覚で気軽に遊びに来れるような場所になってほしいね。これからイベントとかもたくさん予定しているけど、今はこの日本でしっかりとしたコミュニティを築いていきたいなと思っているよ。

サーフ、アート、写真、レジャーなど様々なカルチャーを背景に、ブルックリンを代表するセレクトショップとなった「ピルグリム サーフ+サプライ」。オーナー兼ファウンダーであるクリスとそのパートナーとしての「ビームス」が見つめるセレクトショップのその先には、物を売るということだけではなく、誰もが気軽に訪れることで繋がっていけるコミュニティスポットとしての姿がありました。クリス自身のマインドがダイレクトに感じられる新たなこの空間を、是非あなた自身の五感で直接感じてみてください。

Pilgrim Surf+Supply
住所:東京都渋谷区神南1-14-7 1F
電話:03-5459-1690
営業:11:00~20:00
http://www.beams.co.jp/
http://pilgrimsurfsupply.jp/