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CONVERSE TOKYO ONE 落合宏理が語る「コンバース」というブランド、「トウキョウ」というカルチャー。

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さまざまな文化が交錯する東京という街。〈コンバース トウキョウ〉は、東京だからこそ表現できるファッションやカルチャーを、ファッションを通して発信するブランドだ。その新ラインとしてスタートした「コンバース トウキョウ ワン」。デザインを担当した落合宏理氏は、このプロジェクトを通して何を表現しようとしたのか。ファーストコレクションが並ぶ「コンバース トウキョウ 青山」にてインタビュー。

Photo_Satomi Yamauchi
Text_Yuichiro Tsuji
Edit_Hiroshi Yamamoto

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落合宏理
1977年生まれ、東京都出身。1999年に文化服装学院卒業後、テキスタイル会社に勤務する。8年間務めたあと、2007年にかねてからの目標であった自身のブランド〈ファセッタズム〉を設立。2012年には初のランウェイショーを開催。その後もイタリアの「PITTI UOMO」や、ミラノのメンズファッションウィークにてショーを行うなど、世界へと進出している。

クリエーションで主張をしていれば、自分自身が前にでる必要はない。

ーそもそも落合さんがファッションを意識したのはいつ頃ですか?

落合:小学校のころですね。服好きの両親の影響もありましたし、東京出身なのも手伝って、わりと自然におしゃれを楽しんでいました。一方でファッションデザインを強く意識したのは中学生のころに買った、ラルフのビッグポロがきっかけでした。

ービッグポロでファッションデザインを意識するというのは?

落合:当時、ポロシャツといえばタックインするのが当たり前で、オジサンスタイルの象徴のようなダサいアイテムでした。だけどビッグポロの出現によって、ポロシャツはタックアウトするのが当たり前になってしまったんです。文字通りビッグなシルエットにポロのマークを裾に入れただけなんですけどね。たった2つのディテールで価値観が変わっていくことに気付いたとき、とにかく衝撃を憶えたんですよ。

ーそのころの鮮烈な印象が落合さんのファッションのルーツになるわけですね。

落合:あとは『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングや『E.T.』の主人公、『グーニーズ』の少年たちのような、わりとベタなアメリカ映画に出てくるユース的な着こなしは参考にしていましたね。いまだにBMXで通勤しているのも、その影響ですし。

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ー〈コンバース〉を最初に履かれたのはいつ頃ですか?

落合:これが憶えていないんですよ。気付いたら履いていました。それだけ普遍的に存在していたブランドなんですよね。ただ、高校生のころには意識的にジャック・パーセルを履いていました。ニルヴァーナのカート・コヴァーンの真似をして。

ーここ数年はほぼ毎日〈コンバース〉を履いていると伺いました。

落合:ファッションデザイナーというのは、自身のスタイルではなくクリエイションで自己主張するべきじゃないですか。となると自然と足もとがベーシックになっていって、辿り着いたのが〈コンバース〉でした。オールスターにジャック・パーセル、ワンスター、どのモデルもとにかく汎用性が高いんですよね。

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ー最近お気に入りのモデルはありますか?

落合:今日履いているワンスターは、わりと気に入ってよく履いています。いまの自分にしっくり来るというか、最近の東京の空気感になじむ気がするんですよね。

ー落合さんの〈コンバース〉に対する情熱が伝わり、今回遂に〈コンバース トウキョウ ワン〉のデザイナーに就任されました。

落合:とてもありがたいお話だなと思いました。自然の成り行きというとおこがましいんですけど、これだけコンバースばかり履いているファッションデザイナーは、ぼく以外に東京にはいないと思うんです。それだけ〈コンバース〉には愛着があるので、このオファーは素直に嬉しかったです。

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