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alternative concept shop 旅人たちの立つ場所。最高の売店「FROM WHERE I STAND」が福岡に堂々オープン!

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博多のデザインホテル「WITH THE STYLE FUKUOKA」の敷地内にオープンしたコンセプトストア「FROM WHERE I STAND」。オープン直後から、多くの人の話題に上り、いま一番注目されているといっても過言ではないホットスポットです。その理由のひとつに、従来のセレクトショップとは一線を画す、新鮮なセレクションがあります。東京ではおそらく実現できなかった意欲的な試みを形にしたのは、とにかく一筋縄ではいかない個性的な面々でした。クリエイティブディレクターに写真家の水谷太郎、企画・バイイングに〈サンカッケー〉、〈フィルメランジェ〉の尾崎雄飛、そしてプロデュースは注目のブランドを多数抱えるPRエージェンシーの中室太輔が担当。これは面白くならないはずがないということで、オープン当日の様子を取材してきました。

Photo_Shunya Arai[yard]
Edit_Ryo Komuta

FROM WHERE I STAND

住所:福岡県福岡市 博多区博多駅南 1-9-18 WITH THE STYLE FUKUOKA
営業:8:00~24:00 無休
電話:092-433-1139
fwis.jp/

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ーまず、このメンバーでやることになった経緯を教えてください。

中室:今回のホテル「WITH THE STYLE FUKUOKA」の運営会社の方に、僕がお話をいただいたのが始まりです。この場所でリテールストアをやってほしい、というご依頼でした。ホテルの中に作るということで、“旅”と紐づいたお店にするというのはわりと早い段階で決まっていましたね。

ー旅とモノを繋ぎ、カルチャーとスタイルを提案するストアというのがコンセプトだそうですね。

中室:はい。旅をテーマにした時点で、どういうお店になるにせよ、いろいろなものをセレクトするお店になるだろうなとは思っていました。それで、僕の中で旅を頻繁にしていて、行く先々でもうちょっとこんなものがあったらいいなとか、そんなことを客観的に、そして純粋に消費者として見られる人は、(水谷)太郎さんなんじゃないかな、というのがポンッと出てきたんです。

ーそこからなんですね。

中室:はい。その時点で、太郎さんにどういう形で入ってもらうのかは明確にはなっていませんでした。ただ、とにかくやってもらおうと(笑)。結局いろいろなものを統括するクリエイティブディレクターになってもらおうと思ったのは、話を進めていくなかで決まったことです。で、お店となれば、当然仕入れが必要だし、オリジナルも作ることになるだろうなと。そうなったら企画とバイイングができる人ということで尾崎に声をかけました。

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ーアートディレクションやインテリアに関しても、旧知の方に声をかけています。

中室:そうですね。イメージビジュアルやロゴマークは峯崎(ノリテル氏。『spectotor』ADなど)さんに、インテリアデザインは太郎さんから、佐々木(一也氏。SMALLCLONE主宰)さんのお名前があがりました。

ーところで水谷さんは、最初にこの話を聞いたとき、率直にどう思いましたか?

水谷:んんん??って(笑)。でも、お店をやるのであれば、こういうことがいいんじゃないとか、いろいろアイデアはありました。そんな風にムロ(中室氏)と話をしていたら、本格的にプレゼンする段階になってきて。それならば、本当にやりたいことを本気でプレゼンして、それを評価してもらえるのならトライしよう、ダメならやめようかなと思っていました。

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ー初めに提案したコンセプトはどんなものだったんですか?

水谷:自分が旅をしてホテルに泊まるのであれば、こういうものがあって欲しいとか、なんでこういうものがないんだろうなというものを、全部取り入れました。ホテルの中にある“最高の売店”というのは、そのなかで出てきたコンセプトです。ちなみに店名の「FROM WHERE I STAND」なんですが、これはもともとインスタグラムのハッシュタグなんです。スマートフォンで自分の足元を撮って、自分が今立っている場所はここなんだという写真です。検索してもらえればわかりますが、すでに何百万件ものポストがあるハッシュタグです。この「FROM WHERE I STAND」という語感が、ニューヨークとかパリとかにあるキヨスクみたいなスタンド「ニュースペーパースタンド」のイメージと繋がってきました。なので、最初の段階で店名までセットで提案していましたね。

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ー水谷さんは、普段のエディトリアルの仕事においても、ページのタイトル付けや誌面に落としこむフレーズに関するアイデアを出すなど、似たような作業をしていたように思います。

水谷:そうですね。一見初めてのことばかりで、いつものスピード感では決断できないような大きなこともありましたが、終わった今振り返ってみると、そこまで特別なことをしたわけではないなという風に思います。いつもは写真を撮るという、すごく瞬間的な作業に従事していますが、今回はとても長い映画を撮るような感覚でした。時間をかけて細かくディレクションをして、撮り直すところはもう一回考え直して、やり直したり。

ー最初に“売店”というキーワードを耳にしていたので、実際にお店に入ってみたら、その広さに驚きました。ここは以前はどんな空間だったんですか?

中室:ホテルの中のカフェやレストランを利用している方だけが使える隠れ家的なラウンジでした。道路に面した入り口がなくて、あちら側からは入れないようになっていましたね。

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