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“クラフトフード”の新しいかたち。手作りの良さを感じられる、GARDEN HOUSE CRAFTSの試みとは?

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ー関口さんが、アメリカの西海岸、ロサンゼルス、サンフランシスコなどによく出張されていると思いますが、今向こうではどんな食文化が盛んなのでしょう?

関口:関口:まず、できる限り自分たちの手で作ろうよという考え方がありますよね。それで、何を作るかとなったときに、まったく新しいものを作るのではなく、昔からあったものを今の時代感を加えて、そして自分たちの手で作ることによってこんなに新しく見えるんですよ、というプレゼンテーションが多く見られるような気がします。

ーまさに今回、「ガーデンハウス クラフツ」で行ったようなことですね。

関口:はい。こうした動きが、サンフランシスコ、ロサンゼルスを起点にしたフードトラックだったり、LAのダウンタウンにある「グランドセントラルマーケット(Grand Central Market)」などで見られます。ちょっと前に話題になった、ブルックリンの「スモーガスバーグ(Smorgasburg)」もそうですね。

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ーなるほど、わかりやすいです。

関口:僕はそういうものを総じて、“クラフトフーズ”と呼んでいるんです。例えばタコスです。タコスってアメリカではものすごく一般的な食べ物ですし、一般のひとたちに根付いているローカルフーズなんですが、そうした昔ながらのタコスって添加物をたくさん使っていたりするわけです。使っている小麦やコーンも大量生産しているもので、あまりフレッシュではないですよね。

ータコスに関して言えば、あまり健康的なイメージはないですね。そもそもタコスにそういう部分を求めていないかもしれないです。

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関口:ですよね。それはそれで美味しいんだけど、じゃあ自分の子供に安心して食べさせられるのかっていうと少し疑問かなという。そんななか、オーガニックのコーンを使ってトルティーヤを作り、プルドビーフを使って、ベジタブルに関してはファーマーズマーケットで顔の見える人から買えば安心じゃないですか。別にタコス自体が新しいわけではないんだけど、そういった物を使って自分たちの手で作るっていうことを軸にして、作り方や素材、考え方をフラッシュアップすることで、いくらでも今っぽいものになると思うんです。

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ー話を聞いただけでも、そのタコスが食べてみたくなりました。

関口:この話はなにも珍しいことではなくて、例えば「ブルーボトルコーヒー(Blue Bottle Coffee)」に関して言えば、日本の純喫茶を影響を強く受けていますし、「タルティーンベーカリー(TARTINE BAKERY)」のカントリーブレッドにしたって、もともとドイツにあるカンパーニュなわけです。こうして、今の価値観、今の解釈で作っていく“クラフトフーズ”はこれから向かうべき方向性の一つだと思っています。

ーその他に、今後手がけていきたいと思っている事業・業態はあるんですか?

関口:その土地土地の特性を生かした素材があるような場所で、自分たちの手でものづくりをする、そしてそれを軸としたお店つくりというか、価値つくりみたいなことはやっていきたいと思ってます。

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ー地産地消的なところのお話ですね。

関口:はい。ただ、この考えは地域特性があるところでしかも素材力のあるところ、そして一方で消費されるマーケットまでないとビジネスとしては成立しないんですよね。そういったバランスを見ていくと、例えば長野県の軽井沢とか北海道のニセコとか福岡などが思い浮かびます。地域色があって素材力があって、そこにフォローする人が集積するような、そんな場所で自分たちの食の形を表現していきたいです。食を中心に考えていくと、周辺の生活領域を必然的に考えることになりますし、提案もしていかないといけない。なので、「食を中心とした上質な生活提案」が僕の課題というかミッションなんです。

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