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1969 full version 後編 揺るぎない個性。そしてアメリカ。強烈な「個」を生み出した、1969生まれのセンパイに訊く。

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なぜ、現場に立ち続けるのか。

中島:この通りはね、ウッチーと俺とアッキーの同い年がたまたまいるけど、あんまり現役でお店に立ってる人、同い年でいないよね?

内田:いないんだよ。

中島:ウッチーはさっき自分から(生涯)現役を選んだっていったけど、俺は選ばざるを得ない状況っていう(笑)。

内田:つらいですよ。現役で立ってるのもなかなか。

中島:ウッチーは自分で選んでやってるからすごいよね。

内田:たぶんそれって、たとえば高校生だった頃に買いに来てた人がお母さんになって「若いときあそこに行ってたよ」って子供に言ってる世代だよね。

秋山:間違いなくもうそういう年齢ですもん。

内田:ね、コワイね。

—その、現役でいたいっていうのは、動機とかあるんですか?

内田:いろいろあるんですけど、やっぱり仕事を続けていくうえでいちばんの花形は店員だと思ってるんです。自分はずっとこうファッション業界をみてて、なんか話を聞くと事務所入りました、みたいなかっこつけて言ってるやつ多いなと思ってて。だから何?みたいな。事務所はおもしろいのか?って思うんですよ。

—洋服屋さんの…本部的な。

内田:はい。仕事が大きいって言いたいのかな~って思うんですけど、やっぱり根本はお店でお客さんに接するっていうのはあって。お客さんの顔を見ながら仕入れを知るのが普通かなっていう部分はあるんですけど、でもつらいんですよね。お客さんは若くなってくるから。

—なるほど(笑)。

内田:半分以上は辛いです。

—腹立つ!みたいなやついませんか?若すぎて。

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内田:自分が当たり前な部分が当たり前じゃないから。それを自分は噛み砕いて、イチから教えていくのが下手みたいなんですよ。なので、いろいろこう悩みながら立ってるんですけど、みなさんも得手不得手あるとおもうんですよ。たとえば(二人は)話がうまいとおもうんです。

—はいはい。

内田:オレは下手だから。だから変な商品構成にしちゃう、みたいなね。

中島:中目黒は若い子たちが増えたんでね。やっぱり自分で商売やってる以上は、来てくれる若いお客さんに対応していかないといけないと思うよね。古着の良さを伝えたりとかそういう風にしていかないと古着、切れちゃうんでね。

内田:それはあります。ヨーロッパはわりとね、(年齢が)上の店員多いんですよね。それみてかっこいいな~と思う部分と、これまで古着に携わってきたなかで、そのときにあったクオリティというのは覚えているので、それを継続するにはどうしたらいいかを試行錯誤しながら現場に立つのは、大事な仕事かなと思います。

—お店にスタッフの方もいらっしゃるじゃないですか。育てるみたいなこともやってますか?

内田:まったくしてなかったんですが、そろそろやっていかないといけないなと。そういう次の世代、お客さんも含めてですけど、わりと自分の世代は、社長に「(買い付けに)どこに行ったか親兄弟にも絶対言うな」と教えられて仕入れしてきてたから。

—へぇ~!

内田:情報の交換すらしてきてないんですよ。まぁ今はそういう時代でもないし、誰でもどこに行ったかは知ってるだろうし。地方の人でも、簡単にインターネットで売れるようにもなってるだろうし。

中島:相手が日本人だけじゃなくなったしね。むしろ情報交換してたほうがいいですよね。

内田:若い子はやってるんじゃないかな。

中島:うん、そうだよね。

内田:海外レベルでみてもおもしろくない古着屋さんも増えつつあるけど。東京はまだクオリティが高いお店が多いので、それを継続していく。お店としてはそれをやっていけたらと思ってますけどね。

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