日本でも限られたショップでのみ展開され、他の有名ブランドを差し置いて入荷後即完売するという、不思議なサングラス〈ワンダーランド〉。手に取ったとき、顔に掛けたとき、レンズ越しに見たその景色。すべての過程で新しい感動を与えてくれる、そんなえもいえぬ魅力を放つ〈ワンダーランド〉について、デザイナー兼オーナーのクリストファー・フリエル氏本人に訊いてみた。
PROFILE
クリストファー・フリエル
〈ワンダーランド〉のオーナー兼デザイナー。南カリフォルニア出身。高校入学と共にニューポートビーチへ引っ越し、カレッジ卒業後にクロージングカンパニーへ就職。主にマーケティングの仕事に携わり、その後は日本でも名の通ったウォッチブランド、アイウェアブランドを今日の規模にまで押し上げた功労者の1人。その頃からセグメントやカテゴライズされたマーケットに窮屈さを感じ、毎年トレンドに合わせて新しいモデルをリリースすることに疑問を抱き始める。その後、2012年よりタイムレスで長く愛用できるアイテムを作りたいという思いから、自身のサングラスブランド〈ワンダーランド〉を立ち上げ、今日に至る。
ー まず、〈ワンダーランド〉が誕生した経緯を教えてください。
僕はこれまでサングラスのブランドをはじめ、様々なファッションブランドでマーケティングを担当してきました。そのなかで、僕がひしひしと感じていたことは、服や靴というのはトレンドの移り変わりが激しいということでした。至極あたりまえなことかもしれませんが、体感するのと知っているのでは全然違いますからね。そういった実体験を通じて、タイムレスでクラシックなモノにこそ真の価値を見出すようなっていったんです。
ー 自身のマーケティング的な視点から、服ではなくアイウェアのブランドを立ち上げたということですか。
そうですね。日々視野を広げて仕事に励んでいると、サングラスは比較的トレンドに流されにくいアイテムだという見解が生まれました。様々なブランドのマーケティングに携わってきたので、どんなブランドでどんなプロダクトがベストかというのが理解できたのは非常にラッキーなことだったと思います。そこから、他にはないオリジナリティ溢れるブランドを作るため、様々なプロセスを歩んでいったわけです。
ーワンダーランドというブランド名もキャッチーかつ独特ですよね。そもそもの由来はなんですか?
カリフォルニアのママス山という場所にある遊園地「ワンダーランド」というところから引用したんです。幼かった頃の僕が、もっとも幸せを感じた思い出の場所なんですよ。残念ながら、世界中の人が知っている、あの『アリス オブ ワンダーランド』からではありません(笑)。ただ、普遍的で誰もが聞いたことのある言葉をブランド名に使いたかったので、結果的に恩恵を受けているのかもしれませんね。ブランドの名前ってすごくユニークなモノか、親しみのあるモノのどちらかだと思いますし。『アリス オブ ワンダーランド』のように、皆が知っている言葉と〈ワンダーランド〉というブランド名が近いのは、そういった意味でとてもポジティブに捉えていますよ。
ー なるほど。このブランドロゴはどのようにして生まれたんですか?
ブランド名と同様に、ロゴもタイムレスで親しみのあるものにしたかったんです。これは上にWがあって下にLがあって、数学の方程式のような普遍的なデザインにしました。昨日と今日、過去と未来みたいな、タイムレスなブランドイメージを象徴するメッセージでもありますね。
ー 他のブランドから影響を受けたりましすか? また尊敬しているブランドはありますか?
〈レイバン〉や〈ペルソール〉といったアイウェアブランドは本当にすばらしいブランドだと思います。しかし、唯一無二の世界観を作りたかったので、基本的には他のブランドから影響を受けるということはありません。尊敬するブランドを強いて挙げるなら、〈バンズ〉や〈リーバイス〉のようなタイムレスで多くの人に愛されるブランドですね。何世代にも渡って身につけられて、他のブランドに興味を示したとしても、またいつか戻ってくるような。世界中で親しまれるスタンダードなブランドに育てていきたいと思っています。